「あきたこまちR」によるマンガン不足は補うのが困難

 必須ミネラルのマンガン、農水省はコメから採らなくても、他の食品から取ればいいと言っていた。でもそれは難しい。
 重イオンビーム放射線によって遺伝子を改変した「コシヒカリ環1号」から作った「あきたこまちR」。カドミウムを吸いにくいことが売りなのだが、カドミウムを吸う遺伝子を破壊することによってそれを実現している。だけどその遺伝子は同時にマンガンを吸収する上でも必要な遺伝子だった。だから、「あきたこまちR」は従来の「あきたこまち」に比べ、マンガンが3分の1未満になってしまう。
 農水省が言うには、マンガンはさまざまな食品に含まれるからコメから採らなくても他の食品から採ればいいので問題ない、という。しかし、日本消費者連盟の原さんは東京衛研の調査ではマンガン摂取は4割が穀類からだという事実を指摘する¹。

 グラフを見てもらえればわかるが、マンガン摂取する食品は穀類が4割で、調味嗜好飲料類が約3割。この調味嗜好飲料類というのはお茶などを意味するようだ。つまりコメとお茶で7割を占める。肉類や魚介類はほとんど貢献がなく、野菜類(緑色野菜や他の野菜、イモ)や豆類合計で約2割だから、お茶を飲まない子どもだったら、野菜を何倍も食べないとマンガンは十分摂取できないということになる。果たしてそれは現実的だろうか?
 
 マンガンは、人にとっては体内でのさまざまな代謝の酵素活性に関わるため、体内の機能維持に必要ということで、体の調整に欠かせないミネラルであり、特に骨の形成や生殖、成長、脳機能に関わる、ということで成長期の子どもはもちろん、すべての年齢の人に不可欠な物質。
 
 コメから摂取するマンガンが3分の1未満になってしまえば、コメを主食とする食事をしていればその不足する分のマンガンを他の食品で補うことはかなり難しいのが実際ではないか。
 それにも関わらず、従来の品種との違いを知らせずに同じ銘柄として売ることが問題ないと言うというのは許されるだろうか?
 
 そしてこのマンガンはイネの生育そのものにも不可欠(光合成のために不可欠な物質)で、マンガンの少ない水田では病気になりやすく、また穂が出る時に高温状態が続き、マンガンの少ない水田だと収穫が激減する可能性が指摘されている。農家にとって大打撃になりかねない²。
 
 6月14日には国会議員会館の中で、この「あきたこまちR」の表示をめぐり、消費者庁や農水省の方たちと討論したが、彼らの説明はとても納得いくものではなかった³。法的な手続きとしても問題が指摘されている。
 
 この問題を放置していたら、今後、「あきたこまちR」だけの問題ではなくなっていく。昨年4月段階では農研機構のイネ品種データベース検索システムで検索できるコシヒカリ環1号系品種は39品種だったが、それが現在は51品種に増加している。
 山口県は「晴るるR04」を品種登録出願し、品種登録された品種も昨年の1品種から5品種に拡大している。「コシヒカリ環1号」、「にこまる環1号」、「たちはるか環1号」、「あきだわら環1号」、「ほしじるし環1号」で、このうち、「たちはるか環1号」は西日本向き品種であり、「にこまる環1号」は九州向け品種である。北海道を除く全国どこで始まってもおかしくないことになる。
 秋田県では「あきたこまちR」に続き、「ぎんさん」、「秋のきらめき」、「ゆめおばこ」でも「コシヒカリ環1号」との交配種が準備されている。
 
 「あきたこまちR」の栽培が始まる来年までまだ時間がある。なんとか解決する方向を見出したい。

(1) 東京衛研年報2001 「都民の栄養状況」から算出したビタミン,ミネラル推定量
https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/files/archive/issue/kenkyunenpo/nenpou52/52-33.pdf

(2) 「あきたこまちR」を「あきたこまち」として表示することは虚偽表示
https://project.inyaku.net/archives/10643

(3) 集会報告:消費者庁に「あきたこまちR」の不当表示を防ぐ措置を42団体が申し入れ―6月14日、市民が院内集会
https://okseed.jp/news/radiation/entry-262.html

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