圧倒的な力のある勢力によってすさまじい勢いで社会が変わり、それにはもう、なすべき手はないように思えてしまうことがある。でも、現実から目を遠ざけてしまえば、その無敵であるかのような勢力は実は大きな問題を抱え、没落の恐怖に慄いていること、そして、実に醜い手を打って、その没落のシナリオから逃れることを許してしまう。希望は現実の中にある。それを見逃してはならない。
たとえばモンサント・バイエル・住友化学がまさにその典型だ。世界でもっとも売れたモンサントの農薬ラウンドアップ(有効成分グリホサート)は、その有害性ゆえ、次々と禁止・規制の動きが世界で起きる。でもその動きを米国政府が圧力をかけて撤回させる。
しかし、いくら圧力をかけても、ラウンドアップの現状は厳しい。耐性雑草が増えて、効力を失う。さらには多くの人に健康被害が出た。その動きに鈍感なバイエルがモンサントを買収したが、その結果、モンサントが抱えていた構造的な債務を引き受けることになる。ラウンドアップ訴訟で16万7000件もの訴訟が起こされ、バイエルはすでに多額の賠償金の支払いを余儀なくされたばかりか、今なお5万件を超す訴訟に直面している。バイエルの株価は7割下落し、リストラを余儀なくされている。 “モンサント・バイエル・住友化学時代の終わり” の続きを読む
遺伝子組み換え作物による遺伝子汚染
遺伝子組み換え作物の商業栽培が始まって25年。その負の影響はもはやさまざまな分野で明らかになっているが、その最大の問題の1つが、遺伝子汚染だと言えるだろう。この問題は「ゲノム編集」ではさらに危険になると言わざるを得ない。この問題を解決しないで、「ゲノム編集」作物の栽培は許されてはならない。
モンサントなどによって世に出された最初の世代の遺伝子組み換えトウモロコシ、40を超える品種がスクラップになろうとしている。なぜかというと、もはや無用の長物でしかないからだ。虫が食べたら虫が死ぬようなタンパク(Bt毒素)を作り出すように遺伝子組み換えされたトウモロコシが作られているが、このBt毒素に対して虫たちは耐性をつけてしまったのでその品種はもはやまったく意味がない。遺伝資源としても保持する意味がない。
でも、スクラップにしようとしても、商品棚から外すだけで、話は済まない。というのもその遺伝子は花粉の飛散によって在来種にその遺伝子を移してしまっているからだ。 “遺伝子組み換え作物による遺伝子汚染” の続きを読む