COP28は最初の食のCOPに!? 食を変えるこそ気候危機対策の柱

 気候危機に対処するためのCOP28(国連気候変動枠組条約第28 回締約国会議)が予定された会期の終わりに近づいている。気候危機というと化石燃料をどうするか、ということが大きな焦点だ。石油や石炭消費をどう止めるか、これが重要であることは疑いない。けれども、近年のCOP会議で焦点の1つになり始めているのが食・農業である。なぜかというと食のシステムは温暖化効果ガスの3分の1を直接排出、間接に排出しているものも含めるとほぼ半分を占めるとも言われる。つまり気候危機を解決するには食を変えなければならない。
 またたとえ排出を減らしたとしてもすでに大気は温暖化効果ガスで満ちており、気候危機は止まらない。大気中に放出された温暖化効果ガスは地球の気候を不安定にし続けるからだ。しかし、世界大で生態系を守る農業に転換することで地球上の最大の炭素の保存庫である土の力を取り戻し、炭素を蓄積する力を回復させることで、食は気候危機を緩和させていくこともできる。だからこそ、食の問題は気候危機対策の中心に躍り出ざるをえないのだ。 “COP28は最初の食のCOPに!? 食を変えるこそ気候危機対策の柱” の続きを読む

放射線育種米「あきたこまちR」への全量転換に関する秋田県議会への意見

 秋田県議会が8月21日まで11のテーマに関するパブリックコメントを求めています。そのテーマの1つが「あきたこまちR」への全量転換についてです。この問題についてはすでにいろいろ書いてきたように大きな問題があり、以下のコメントを送ることにしました。秋田県議会のパブリックコメントに関する情報は以下から得ることができます(手紙、ファックス、メール、Webフォームのどれでも送ることができます)。https://pref.akita.gsl-service.net/doc/2018050800035/

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民間企業だけに種子は任せられない

 だから言わんこっちゃない。三井化学が作る稲の品種「みつひかり」が消えるかもしれない。交配不良で十分な品質の種籾が作れなかったからだという。天候不順が理由にされている。「みつひかり」は稲ではめずらしいF1品種。毎回、異種交配させないといけないからタネを作る負荷も通常の固定種よりも高い。気候変動に弱いことが露呈したと言えるかもしれない。
 
 2017年に種子法廃止を決めた理由は種子法があると民間企業が活躍できないからというものだった。その種子法が2018年に廃止され、すでに5年が経とうとしているのに、民間企業が活躍しているという話は聞こえてこない。 “民間企業だけに種子は任せられない” の続きを読む

フードテック推進ビジョンを批判する:「ゲノム編集」・細胞培養食に未来はない

 完全に見逃していた。「ゲノム編集」や細胞培養肉などのフードテックを推進する政策に関するパブリックコメント。締切がなんと1月9日(今度の月曜日)。一言で冗談じゃない、という内容なのだけど、期間の限られた時間の中でなんとか一人でも多くの人がコメントを寄せていただきたい。問題点について書き出すと切りが無いのだが、まずは基本的な考え方についてまとめてみたい。 “フードテック推進ビジョンを批判する:「ゲノム編集」・細胞培養食に未来はない” の続きを読む

「みどりの食料システム戦略」に関するパブリックコメント出しました(第2弾)

「みどりの食料システム戦略」に関するパブコメ、締め切り当日なのだけど、昨日出したコメントは農薬について、何も言及しなかったので、あらためて、農薬についての追加のコメントを出します(例によってコメントという体裁になっていませんが)。 “「みどりの食料システム戦略」に関するパブリックコメント出しました(第2弾)” の続きを読む

「みどりの食料システム戦略」に関するパブリックコメント出しました

 明日8月9日締め切りの「みどりの食料システム戦略」に関するパブリックコメント、何も書かないのは不本意なので、書いてみました。殴り書き状態で、全然模範的なコメントからはほど遠いのですが、あえてさらします。 “「みどりの食料システム戦略」に関するパブリックコメント出しました” の続きを読む

みどりの食料システム戦略に関するパブリックコメント

「みどりの食料システム戦略」に関するパブコメが相次いで出ている。1つは締め切りが8月9日。
環境負荷低減事業活動の促進及びその基盤の確立に関する基本的な方針(案)についての意見・情報の募集について
 
 さらに8月25日が締め切りのパブコメも。
環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律第39条第4項の規定に基づく基盤確立事業実施計画の認定に係る審査基準及び標準処理期間案についての意見・情報の募集について “みどりの食料システム戦略に関するパブリックコメント” の続きを読む

根本的な政策整備が不可欠(種子法・種苗法)

 どうにも現実の表面的な動きにとらわれてもっと大きな波に呑まれてしまうことが多い。僕が主なフィールドとしてきたのは日本の国外の動き。2010年頃から世界で「モンサント法案」と言われる動きがラテンアメリカ、アフリカ、アジアなど世界各地で本格化していて、その動向を追っていたのだけど、2017年日本でも種子法廃止が閣議決定されてしまった。国内の動きは誰かがやってくれるだろうと思っていたけど、結局、追わざるをえなくなった。しかし、問題を詰めていくと、この動きをつかむためには1990年代あたりからの動きを見ないとその本質が見えないことがわかってきた。
各国新品種届け出推移
 2001年の統計では日本の新品種出願数は世界第2位。ところがそれは年々落ちていき、2009年には中国に、2015年には韓国に抜かれている。中国は別格としても他国は毎年、新品種開発する数は順調に増えているのに、日本だけ逆に急速に落ちている。この20年間で半分くらいに落ちてしまった。 “根本的な政策整備が不可欠(種子法・種苗法)” の続きを読む