ラウンドアップの延命策、ジカンバの認可が取り消しに

 モンサント(現バイエル)にとっては底なし沼に。かつての稼ぎ頭のラウンドアップは今は世界各地で訴訟の山、たとえ訴訟を乗り切ってもラウンドアップは効力を失いつつあり、それを補うために引っ張り出した古い農薬ジカンバも認可が取り消される事態に。泣きっ面に蜂とはこのことだろう。
 ラウンドアップは1970年代から売られ始めたモンサントの農薬の主力商品。世界でもっとも売られた農薬と言われる。モンサントは2000年の特許切れの後でも独占販売が続けられるように遺伝子組み換え作物を作り出したとも言われる。
 でもラウンドアップの集中的な利用によって、耐性雑草が増え、もはやラウンドアップだけでは除草効果が薄れてきた。そこでモンサントが引っ張り出したのはラウンドアップよりも古い1960年代に出たジカンバという農薬。もっともこの農薬は揮発しやすく、周辺の農地や生態系にも影響を与える危惧があった。モンサントはその欠点を改良したとするジカンバをラウンドアップに混合させた農薬に耐える遺伝子組み換え大豆やコットンを作り、すでに数百万エーカーで使われているが、その「改良」ジカンバも揮発し続け、周辺のジカンバ耐性でない作物に被害を与え、農家間の紛争(殺人事件も発生)や訴訟という事態になっている。その結果、1500万エーカーの農地に影響を与えて、北米を象徴する蝶、オオカバマダラやマルハナバチという花粉媒介者の絶滅危機も作り出してしまっていると指摘されている。
 
 今回の判決で、その使用を米国の裁判所は禁止を命じ、この農薬の流通を許可した環境保護庁(EPA)は法律違反を犯したと認定した。バイエルだけでなく、BASFやシンジェンタが作るジカンバもその対象となる⁽¹⁾。この判決は一度トランプ前政権が覆したが、再度の判決は以前よりも重いものとなるだろう。 “ラウンドアップの延命策、ジカンバの認可が取り消しに” の続きを読む

遺伝子組み換え農業もラウンドアップも終わりが見えた

「9割近い遺伝子組み換え作物の終わりの始まり」ついに終わりが見えた!
 モンサント(現バイエル)を相手に闘ってきた弁護士アンドルー・キンブレル氏(Andrew Kimbrell)がインタビューで語る。キンブレル氏はモンサントと闘う運動の中心を担ってきた人と言っていいだろう。Center for Food Safety(CFS)というNGOを作り、数々の訴訟でモンサントを追い詰めてきた。その彼が現在のラウンドアップ訴訟をどう見ているか、この重要なインタビューで語られる(1)。 “遺伝子組み換え農業もラウンドアップも終わりが見えた” の続きを読む

第1次世代の遺伝子組み換え産業の敗北を決定づけるジカンバ承認違法判決

 「巨大な勝利!」と米国の市民組織、食品安全センター(CFS)代表。米国連邦控訴裁判所が3日、モンサントがもちこんだ除草剤ジカンバの環境保護局による承認を違法とする判決を下した(1)。 “第1次世代の遺伝子組み換え産業の敗北を決定づけるジカンバ承認違法判決” の続きを読む

モンサントの決算は明るい未来を語るか?

 モンサントは2018会計年度第1四半期決算が好調なのだそうだ。「世界から反対が高まって追い詰められてなんかいないんだ。モンサントが危ないなんて言うヤツは嘘つきだ」と言われそうだが、果たしてモンサントの未来は明るいだろうか? どう見ても真っ暗だ。 “モンサントの決算は明るい未来を語るか?” の続きを読む

ブラジルでジカンバ耐性GM大豆の栽培? メキシコでは最高裁を無視

 大豆に関して厳しい話しを2つほど。どちらも問題はモンサント。モンサントはブラジルでジカンバ耐性の遺伝子組み換え大豆の栽培開始を射程に入れた、という話し。もう1つはモンサントはメキシコの最高裁にユカタン半島での遺伝子組み換え大豆の栽培を禁止される判決を受けたのだけど、それを無視してGM大豆の販売を続け、その結果、ユカタン半島で養蜂業を営む先住民族は採集した蜂蜜に遺伝子組み換え花粉が混じり、ヨーロッパでの市場を失ってしまっているという話し。 “ブラジルでジカンバ耐性GM大豆の栽培? メキシコでは最高裁を無視” の続きを読む

日本政府、またジカンバ耐性遺伝子組み換えの承認へ

 また日本はジカンバ耐性遺伝子組み換え大豆を追加承認しようとしている。このジカンバをめぐり、米国ではReuterが特集を組み、New York Timesなどのメディアもその甚大な被害やその訴訟について報道しているというのに、たぶん、日本のマスメディアは完全に黙殺だろう。 “日本政府、またジカンバ耐性遺伝子組み換えの承認へ” の続きを読む