歴史的快挙! メキシコ政府がモンサントと米国政府に勝った! 

 オブラドール前大統領は2020年に大統領令でモンサントの農薬ラウンドアップ(主成分グリホサート)と遺伝子組み換えトウモロコシの人の食用に使うことを禁止する政策を打ち出し、それ以来、モンサント(現バイエル)や米国のアグリビジネスはメキシコのこの政策を総攻撃して潰そうとしてきた。 “歴史的快挙! メキシコ政府がモンサントと米国政府に勝った! ” の続きを読む

リオグランデドスル水害、ブラジルの食料危機に?

 リオグランデドスル州の被害は想像超えて、大きな問題になってしまいそうだ。大規模農業が盛んな地域だがセラード地域が輸出向けの大豆生産が多いのに対して、リオグランデドスル州ではブラジルの稲の7割を占め、それは国内向け。収穫が進んでいたものの、それは終わっておらず、国内の食料事情に大きな影響を与えそうだ。
 そして、この地域はアグロエコロジーによる米生産の半分を生産する地域。1万トンの有機米が失われた可能性がある。この有機米の多くはMST(土地なし農業労働者運動)に属する農民たちが作っている。もともと土地を持たない農業労働者が農地改革によって土地を得て、農薬も化学肥料も使わないアグロエコロジーによって生産を拡大してきた。そしてそのお米は都市部のホームレスにも提供されてきた。MSTはラテンアメリカ最大の有機米生産団体となっている。 “リオグランデドスル水害、ブラジルの食料危機に?” の続きを読む

モンサント・バイエル・住友化学時代の終わり

 圧倒的な力のある勢力によってすさまじい勢いで社会が変わり、それにはもう、なすべき手はないように思えてしまうことがある。でも、現実から目を遠ざけてしまえば、その無敵であるかのような勢力は実は大きな問題を抱え、没落の恐怖に慄いていること、そして、実に醜い手を打って、その没落のシナリオから逃れることを許してしまう。希望は現実の中にある。それを見逃してはならない。
 たとえばモンサント・バイエル・住友化学がまさにその典型だ。世界でもっとも売れたモンサントの農薬ラウンドアップ(有効成分グリホサート)は、その有害性ゆえ、次々と禁止・規制の動きが世界で起きる。でもその動きを米国政府が圧力をかけて撤回させる。
 しかし、いくら圧力をかけても、ラウンドアップの現状は厳しい。耐性雑草が増えて、効力を失う。さらには多くの人に健康被害が出た。その動きに鈍感なバイエルがモンサントを買収したが、その結果、モンサントが抱えていた構造的な債務を引き受けることになる。ラウンドアップ訴訟で16万7000件もの訴訟が起こされ、バイエルはすでに多額の賠償金の支払いを余儀なくされたばかりか、今なお5万件を超す訴訟に直面している。バイエルの株価は7割下落し、リストラを余儀なくされている。 “モンサント・バイエル・住友化学時代の終わり” の続きを読む

EUでグリホサート大訴訟がスタート! 米国の訴訟含めバイエルはより窮地に

 昨年、EUはモンサント(現バイエル)の農薬ラウンドアップ(主成分グリホサート)の使用を10年再承認した。実際には加盟国の過半数の賛成を得られず、再承認も禁止も過半数にいかなかったため、欧州委員会の判断に任されて、10年の再使用が承認されたということになる。
 
 この決定に対して、農薬問題で活動する6つのヨーロッパのNGOが欧州食品安全機関(EFSA)と欧州化学機関(ECHA)を相手に訴訟を起こした。その名も「グリホサート大訴訟」(The Great Glyphosate Court Case)。その具体的な一歩を踏み出した。 “EUでグリホサート大訴訟がスタート! 米国の訴訟含めバイエルはより窮地に” の続きを読む

カナダでモンサント(バイエル)に集団訴訟

 世界でモンサント(現バイエル)の農薬ラウンドアップ(主成分名グリホサート)に対する動きはまったく止まるところがない。米国に続いてカナダでもラウンドアップに対する集団訴訟が始まる。ケベック州を除くカナダ全土で、ラウンドアップに曝されて非ホジキンリンパ腫になった人はこの集団訴訟に参加できる。
 カナダでモンサント(バイエル)に対する訴訟は2019年12月に開始されたけれども、12月11日、オンタリオ州上級司法裁判所がバイエルに対する集団訴訟を認定した(1)。なぜ集団訴訟かというと個々の裁判では追い切れないほどの被害者が出ているということだ。 “カナダでモンサント(バイエル)に集団訴訟” の続きを読む

バイエル、5回連続敗訴。農薬ラウンドアップ裁判で350万ドルの賠償

 フィラデルフィアの民事裁判所でケリー・マーテルさんが非ホジキンシンパ種となったことでラウンドアップが原因であるとして訴えたことに対して裁判所は10対2で350万ドル(約5億円)の賠償を命じる判決を下した(1)。
 ラウンドアップ裁判は3回連続、モンサント・バイエルの責任を認める判決が続いた後、バイエルの巻き返しがあり、9回訴えが退けられたが、これで5回連続、バイエルの責任を認める判決が続いたことになる。 “バイエル、5回連続敗訴。農薬ラウンドアップ裁判で350万ドルの賠償” の続きを読む

遺伝子操作農薬・肥料・種子コーティングに注意!

 遺伝子操作微生物に要警戒。
 化学農薬・化学肥料に加えて、農薬企業は今、微生物農薬・微生物肥料に注力しており、すでに米国では使われ始めている。問題なのは天然の微生物を使っているのならともかく、それに「ゲノム編集」や遺伝子組み換え技術が使われて遺伝子操作微生物となっていることなのだ。
 日本でも三井化学が遺伝子組み換え微生物農薬の実験場を都内に開設する(1)。しかし、それを伝える新聞記事の見出しは「天然由来品」。忖度もここまで来たか? “遺伝子操作農薬・肥料・種子コーティングに注意!” の続きを読む

「農薬」と「農毒」:ブラジルではなぜ農毒と呼ぶか?

 「農薬」って変な言葉。農の薬? なんで薬というのだろう。実際に薬じゃない。毒で雑草や虫、菌を殺すもの。実際にブラジルでは“Agrotóxico”と呼ぶ。直訳すれば農毒。まさにぴったりの言葉。しかも、これは決して「運動用語」じゃなくて、政府もこの言葉を使っている。方や「薬」、そして方や「毒」、正反対の表現になっている(1)。
 なんでこうなるのか、前から疑問だったのだけど、それが1つの記事で氷解した。ブラジルで農毒という言葉を作り出したのは、アグロエコロジー研究者、アディルソン・ディアス・パスコアル氏(2)。
 彼は「除草剤(herbicida)」「殺虫剤(Praguicida)」などという表現が本来の持っている毒性を隠すとして、それをしっかり表す言葉として“Agrotóxico”という言葉を作り出して、1977年の著書にそれを書いた。そしてこの言葉はブラジルで広く使われるようになり、1989年にはブラジルの連邦法 (第7,802号)でも使われ、行政用語となった。だから農薬反対運動だけでなく、行政でも社会でも同じ言葉が使われている。 “「農薬」と「農毒」:ブラジルではなぜ農毒と呼ぶか?” の続きを読む