世界で気候変動が激しさを増し、生物絶滅も想定を超えたスピードで進んでいる。多重危機が同時進行する私たちの世界。この危機を作り出している主因の一つが工業型の食のシステム。この変革はこの危機を克服する上で避けて通れない。
その一つの重要な指標になるのが有機認証である。有機認証というと、日本ではあまり注目されない。「いや、有機認証なんて不要」、そんな言葉も飛び交う。有機認証が工業型の食のシステムから食を守る上で大きな準拠枠となっていることはほとんど知られていないだろう。認証を取る上ではさまざまな問題もあって、取らない人もいる。認証を取るか取らないかはひとまず置こう。食を守る最後の砦として、有機認証をどう守るかを考えなければならないことをぜひ知ってほしい。 “有機認証は誰のもの?” の続きを読む
重イオンビーム放射線育種でも有機認証するって許される?
人はなぜ有機農産物を買おうとするのだろうか?
それは有機農産物が農薬や化学肥料を使っていないから、体にいいから、環境を汚染したくないから、農家の健康が気になるから、地域社会への投資になるから、他の生命も傷つけたくないから、…いろんな理由があるだろう。 “重イオンビーム放射線育種でも有機認証するって許される?” の続きを読む
重イオンビーム放射線育種正当化のおかしな論理
農水省や「あきたこまちR」などの「コシヒカリ環1号」系品種を擁護する人たちがいつも繰り返すのは「放射線育種は長い歴史があり、その品種も日本や世界で広く普及している」ということだ。
しかし、これはとんでもない飛躍がある言い分だ。というのも長い歴史がある放射線育種はガンマ線照射であって、この技術はもうすでに終わった技術なのだ。米国は基本的に軍事研究のみで実質的に終わりにして撤退してしまったし、効率が悪く、その施設は世界でもほぼ閉鎖されている。日本はそれでも続けてきたが、昨年閉鎖になった。
これに対して、「コシヒカリ環1号」系品種は重イオンビーム育種であり、この技術を使っているのは日本の他にどこにあるのか、と農水省に聞くと、答えが返ってこない。世界が捨ててしまった放射線育種にこだわっている国は日本くらいしかないのだろう。重イオンビームを育種(品種改良)に使っているケースはほとんど聞いたことがない。 “重イオンビーム放射線育種正当化のおかしな論理” の続きを読む
放射線育種米「あきたこまちR」への全量転換に関する秋田県議会への意見
秋田県議会が8月21日まで11のテーマに関するパブリックコメントを求めています。そのテーマの1つが「あきたこまちR」への全量転換についてです。この問題についてはすでにいろいろ書いてきたように大きな問題があり、以下のコメントを送ることにしました。秋田県議会のパブリックコメントに関する情報は以下から得ることができます(手紙、ファックス、メール、Webフォームのどれでも送ることができます)。https://pref.akita.gsl-service.net/doc/2018050800035/
あきたこまちRにもの申す!
秋田県、いや日本を代表するお米、「あきたこまち」を放射線育種後代交配種「あきたこまちR」に秋田県が2025年から全量転換方針決定、という事態を受けて、秋田県に7月28日から8月2日まで行ってきました。
3つの学習会を大仙市、湯沢市、潟上市で行いました。
どんな問題か、要点を書きます。 “あきたこまちRにもの申す!” の続きを読む
「放射線育種」は品種改良ではない
放射線を照射して新品種を作ることが「放射線育種」とよばれているが、この言葉自体がイデオロギーの産物と言わなければならない。いつの間にか、放射線を当てることを「品種改良」と考えるようになってしまう。しかし、遺伝子操作は品種改良技術ではない。 “「放射線育種」は品種改良ではない” の続きを読む
お米のほとんどが放射線育種米に?
放射線を照射して突然変異したお米、食べたいですか? 育てたいですか? ここ数年で日本のお米の多くが放射線かけて作った品種に代えられようとしています。
あまりに重大な問題なので、2月末から慎重に情報収集してきました。2025年から少なくとも2つの県で主力品種が放射線育種米に切り替えられ、他の道府県でもその動きが進む可能性があります。 “お米のほとんどが放射線育種米に?” の続きを読む
「ゲノム編集」食品を規制するスイス
日本の報道を見ていると、「ゲノム編集」が食料危機や気候危機を救う技術だ、なんて気になってしまいかねないけど、それはメチャクチャな根拠のないトンデモ説であることは調べるとわかる。
スイスは世界の4大遺伝子組み換え企業の母国でもあるけれども、2005年以来、遺伝子組み換え生物に関するモラトリアムを定めて、その栽培・飼育を禁止している(1)が、その範囲を2021年に「ゲノム編集」にも広げることを決定した。その「ゲノム編集」の規制方法が2024年半ばまでに提案されるとのこと(2)。スイスでは「ゲノム編集」食品はまだ流通していない。 “「ゲノム編集」食品を規制するスイス” の続きを読む