EUの3者協議、「ゲノム編集」生物規制緩和で合意

 EUの3者協議(欧州議会、欧州理事会、欧州委員会)で「ゲノム編集」生物の規制緩和に関して合意。先日書いたように、これまで「ゲノム編集」生物の表示や特許を「ゲノム編集」生物に認めないことなど強く主張してきた欧州議会が選挙での極右勢力の増加の結果、その姿勢を後退させたことが大きかった。まだ、最終的な投票はこれからで、さらにEUの方針を受け入れるか、各国政府での態度決定などいくつも段階はあるものの、規制緩和が突破される方向性が確実になった。 “EUの3者協議、「ゲノム編集」生物規制緩和で合意” の続きを読む

「ゲノム編集」の検出に成功。日本政府は政策を変える必要に迫られる

日本政府は「ゲノム編集」食品は検出が不可能だから表示は義務付けることはできないと何度も繰り返している。でもこの言い分に科学的根拠はあるのだろうか? 科学的に検出することを試みて、できないと結論を出したのだろうか? それとも企業のいいなりに政策を決めてしまったのか?
 EUは「ゲノム編集」生物の検出方法の研究に投資し、その判別方法について探求が続いているが、2つの研究所でその検出に成功した¹。この方法が確立できれば、もはや日本政府は同じ理由で「ゲノム編集」食品の表示を拒否することはできなくなるはずだろう。大きなニュースだ。 “「ゲノム編集」の検出に成功。日本政府は政策を変える必要に迫られる” の続きを読む

ヨーロッパと日本のタネ:どう違う? ドキュメンタリー“SEEDS OF EUROPE”を見て

 世界でタネが焦点になっていることを5月4日に長い投稿でまとめた。ヨーロッパ、EUでは2つの動きがあることを伝えた。一つは有機農家のタネの促進をめざす方向、もう一つは「ゲノム編集」の導入に向けた動きだ。
 
 でも文字ではなかなか伝わらない。前者の有機のタネに関するとてもいい短いドキュメンタリーがある。“SEEDS OF EUROPE”(34分)。アイルランド、ルクセンブルク、フランス、イタリア、オーストリアとチェコ共和国の農家を訪れ、タネの問題を浮き上がらせる。 “ヨーロッパと日本のタネ:どう違う? ドキュメンタリー“SEEDS OF EUROPE”を見て” の続きを読む

EUでの「ゲノム編集」規制は日本にとって何を意味するか?

 2月7日の欧州議会の議決、「ゲノム編集食品が緩和された」と報道されていくかもしれない。安全審査なく、自然界への「ゲノム編集」生物の放出を認めてしまうという決定的に問題な決定をしてしまったのだが、欧州議会の議決がEUの政策になるためにはまだ紆余曲折があり、6月までにそれが進むとは考えられない。
 そして、同時に欧州議会ではそのトレーサビリティを確保することなども同時に議決している。これは日本にとっても大きなことになりそうだ。 “EUでの「ゲノム編集」規制は日本にとって何を意味するか?” の続きを読む

欧州議会が「ゲノム編集」生物の規制緩和案を承認、でも終わりの始まりか

 2月7日、欧州議会が「ゲノム編集」生物に対する規制緩和を承認した。しかし、これで世界で「ゲノム編集」作物の大量栽培がスタートするか、というと、すでに「終わりの始まり」的なものになる可能性が見えてくる。もっとも、どちらに転ぶか、これから次第。少なくとも今回の承認は遺伝子組み換え企業(バイオテクノロジー企業)のロビーの完全勝利とはほど遠い。
 日本ではトランプ前政権の指示通り、2019年10月に、政府の規制権限を放り出して、規制なしの流通が認められてしまい、実質上、世界で米国と並ぶ「ゲノム編集」生物生産国・流通国となってしまったが、欧州議会は日米と同様な規制緩和を認めたわけではない。 “欧州議会が「ゲノム編集」生物の規制緩和案を承認、でも終わりの始まりか” の続きを読む

欧州議会環境委員会、「ゲノム編集」生物解禁方針を承認するも行き先は不透明

1月24日、欧州議会の環境委員会で、NGT、新ゲノム技術(「ゲノム編集」のこと)によって改変された生物の規制緩和案が承認された。欧州では2018年7月にNGTによる生物は遺伝子組み換え生物として規制すべきとする欧州裁判所の決定が出て以来、その自由な流通は認められていない。
 その決定を覆そうとバイオテクノロジー企業はロビー活動を強めてきた。その規制緩和案は賛成47、反対31、棄権4で委員会で承認され⁽¹⁾、2月5~8日に開かれる予定の本会議に提出される予定だが、実際には現在の提案に対する反対は根強く、簡単に採決されてしまうような状況にはないようだ。  “欧州議会環境委員会、「ゲノム編集」生物解禁方針を承認するも行き先は不透明” の続きを読む