重イオンビーム放射線育種でも有機認証するって許される?

人はなぜ有機農産物を買おうとするのだろうか?
 それは有機農産物が農薬や化学肥料を使っていないから、体にいいから、環境を汚染したくないから、農家の健康が気になるから、地域社会への投資になるから、他の生命も傷つけたくないから、…いろんな理由があるだろう。 “重イオンビーム放射線育種でも有機認証するって許される?” の続きを読む

歴史的快挙! メキシコ政府がモンサントと米国政府に勝った! 

 オブラドール前大統領は2020年に大統領令でモンサントの農薬ラウンドアップ(主成分グリホサート)と遺伝子組み換えトウモロコシの人の食用に使うことを禁止する政策を打ち出し、それ以来、モンサント(現バイエル)や米国のアグリビジネスはメキシコのこの政策を総攻撃して潰そうとしてきた。 “歴史的快挙! メキシコ政府がモンサントと米国政府に勝った! ” の続きを読む

「あきたこまちR」によるマンガン不足は補うのが困難

 必須ミネラルのマンガン、農水省はコメから採らなくても、他の食品から取ればいいと言っていた。でもそれは難しい。
 重イオンビーム放射線によって遺伝子を改変した「コシヒカリ環1号」から作った「あきたこまちR」。カドミウムを吸いにくいことが売りなのだが、カドミウムを吸う遺伝子を破壊することによってそれを実現している。だけどその遺伝子は同時にマンガンを吸収する上でも必要な遺伝子だった。だから、「あきたこまちR」は従来の「あきたこまち」に比べ、マンガンが3分の1未満になってしまう。
 農水省が言うには、マンガンはさまざまな食品に含まれるからコメから採らなくても他の食品から採ればいいので問題ない、という。しかし、日本消費者連盟の原さんは東京衛研の調査ではマンガン摂取は4割が穀類からだという事実を指摘する¹。 “「あきたこまちR」によるマンガン不足は補うのが困難” の続きを読む

世界で反対が広がる遺伝子組み換え小麦(HB4)とは何か?

 遺伝子組み換え小麦(HB4)に対する反対活動が広がっている。欧米人の主食である小麦に対する遺伝子組み換えは強い抵抗に遭ってきた。もっともこれまで遺伝子組み換え企業の主たるターゲットになった大豆やトウモロコシは米国人にとっては家畜の餌かもしれないが、地域によっては主食である。フィリピン裁判所が止めたゴールデンライスは遺伝子組み換えのお米。
 どちらも人が直接食べるものであり、その健康への影響の懸念は大きい。もっともこれらの農作物の懸念は健康面だけに留まらない。なぜなのか、一言。 “世界で反対が広がる遺伝子組み換え小麦(HB4)とは何か?” の続きを読む

種苗セクターの衰退と日本の種苗政策

日本種苗協会メンバー数推移 昨日公開した『日本の種苗政策と UPOV−種子法廃止・種苗法改正、「ゲノム編集」から重イオンビーム放射線育種まで』では現在の日本政府の種苗政策がこの20数年一貫して日本の種苗セクターを衰えさせたさまを描いた。
 いくつもその状況を語る数字はあるのだけど、今日紹介するのはその一つ。日本種苗協会に登録されているメンバー数の推移¹。
 種子法廃止も種苗法改正も民間企業のためであったのなら、少しはこの数も回復してもいいようなものだけれども、減り続けている。 “種苗セクターの衰退と日本の種苗政策” の続きを読む

『日本の種苗政策とUPOV』について

 種子法廃止って何だったの? 種苗法改正はどうして行われたの? なんで野菜のタネはほとんど輸入なの? なぜ在来種が危機的なのに支援がないの? 「ゲノム編集」食品は農業をどう変えてしまうの? 来年から始められる重イオンビーム放射線育種米はどんな変化を日本の食にもたらす可能性があるの? 日本政府がモンサント法を他の国に押しつけているって本当? なんで報道されないの? ばらばらの問題としてではなく、まとめて点と点をつなげて考えると、そこにどうしていくべきか、大きな課題が浮かび上がってきます。 “『日本の種苗政策とUPOV』について” の続きを読む