危機とはおそろしい。人びとの思考能力を奪い、平常時ではありえないことが堂々と、あからさまに実行されてしまうから。
米騒動を機に、お米とは縁もなかった巨大企業がお米を握ろうとしている。そして地域のお米屋さんは排除。急激な米価高騰で「巨大企業に任せた方が安く、誰もが買えるからいいんじゃないか」と警戒感が薄れてしまう。でも、小さな流通業が廃れて、大企業しか扱えなくなり、競合他社がなくなれば、もはや決定権は巨大企業が握る。私たちの食の決定権は名ばかりとなって、価格や何を売るか、決めるのは巨大企業の手に握られる。
流通と同時に生産の現場はさらに危うい。実はモンサントは「とねのめぐみ」という品種をもって、日本の稲に参入を試みたことがある。「とねのめぐみ」は遺伝子組み換え品種ではない。「コシヒカリ」と「どんとこい」を交配させ、従来の品種改良で育成した品種。でも、彼らは日本の稲から撤退した。彼らを撤退させたのは水田だった。 “米騒動とバイオテクノロジー” の続きを読む
自然を遺伝子操作? 環境保護を口実としたバイオテクノロジー推進
生態系の危機の進行が加速している。100万種を超える生物が絶滅に向かっているとも指摘され、すでに50年間に73%の野生生物は減少している。この危機を遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジーで解決できると言う科学者がいたら、どう思うだろうか? 特に焦点となっている技術は合成生物学と遺伝子ドライブだ。遺伝子ドライブは有性生殖の仕組みを乗っ取って、特定の種を絶滅させることができる技術。Mad Scienceという称号がもっとも似つかわしいと思う。人間の知り得る遺伝のメカニズムは今なお限られており、未熟な技術で自然を操作すれば、収拾不能になるのは目に見えている。でも、この技術を国連が採用して自然保護と称して自然の遺伝子操作を始めたらどうだろう?
実はそのプロセスは進みつつある。というのも自然保護の領域で大きな力を持つ団体、国際自然保護連合(IUCN)の中にバイオテクノロジー推進者が入り込んで、10年以上前から、合成生物学や遺伝子ドライブの技術を自然保護の領域で使うという方針を確立しようとしていることがわかっているのだ。 “自然を遺伝子操作? 環境保護を口実としたバイオテクノロジー推進” の続きを読む
日本だけ「ゲノム編集」生物の基準が甘い?
なぜ、「ゲノム編集」で日本は突出したのか? 技術が高いから? いや、単に政府の基準が甘いだけなのでは? “日本だけ「ゲノム編集」生物の基準が甘い?” の続きを読む
AIを使った「ゲノム編集」生物
生成AIは世界を変えつつある。膨大な情報を処理するその能力によって、今、AIと「ゲノム編集」や合成生物学によってデザインされた生物(AI生物)の開発が今後、急速に進むことが想定される。そして、それが大きな問題を引き起こすことが当然、懸念される。
生成AIには巨大な可能性がある。それを無視できる状況ではすでになくなっている。社会は急速に生成AIによって変えられていくだろう。ただし、それが持つ欠陥を理解していなければ、未来社会は絶望的な社会になりかねない。しっかりとした規制の下に管理することが不可欠だ。 “AIを使った「ゲノム編集」生物” の続きを読む
消費者庁消費者基本計画に関するパブリックコメントにコメントを!
日本の政治の劣化を象徴するのが消費者庁かもしれない。「消費者」という名前を打った官庁なのに、消費者の利益や権利は無視して、企業のための政治を推し進める、いやそれどころか、消費者庁の中に企業の人たちがそのまま入ってきていることもわかっている。企業の、企業による、企業のための行政官庁に堕したのが消費者庁であって、もう名前を変えてほしい、としかいいようがない。 “消費者庁消費者基本計画に関するパブリックコメントにコメントを!” の続きを読む
グリホサートは脳内炎症、アルツハイマーの原因? 欧州司法裁判所への裁判に注目
日本の農薬村はモンサント(現バイエル)の農薬、ラウンドアップ(主成分グリホサート)の安全性は確認された、などと滅茶苦茶な情報を流しまくっているが、こんな状況は特殊日本的。海外ではその危険を伝える最新研究のニュースは続々と止まらないし、海外のホームセンターではラウンドアップは姿を消していたり、訴訟が山のように延々と続いている。
今回の話はヨーロッパの話。EUはグリホサートの使用を2023年に10年認めてしまったが、その承認が違法であるとして、ヨーロッパの市民団体が訴訟に持ち込んだのだ。歴史的な裁判になると期待が高まっている¹。 “グリホサートは脳内炎症、アルツハイマーの原因? 欧州司法裁判所への裁判に注目” の続きを読む
遺伝子組み換えサーモン事業、破綻
破産寸前状態が続いてきた遺伝子組み換えサーモンを作るAquaBounty社、ついに唯一残った事業所の閉鎖し、実質的にほとんどの従業員を数週間以内に削減、CEOの辞任を発表。米国とカナダ政府、さらにはPEI州政府の支援を受けながら、消費者が望まない遺伝子組み換えサーモンの事業は続かなかった。
米国政府がつぎ込んだ公金、そしてPEI州政府からの150万ドルは泡と消えるのだろうか?
公金が支える遺伝子操作魚企業が破綻寸前
食料危機を加速する遺伝子操作企業、公金を吸い続けなければ自らを維持すらできない。米国のAquaBounty社、遺伝子組み換えサーモンを開発するも、まったく売れず、ついにその卵の生産拠点のあったカナダのプリンスエドワード島の施設を売却、米国インディアナ州の施設も売却、オハイオ州に新規工場を作るとしていたが、その建設も中断。いよいよ破産、というところで、なんとカナダ政府とプリンスエドワード州政府がAquaBounty社に231,095ドルの資金供与。さっそくその公金のつぎ込みに批判が集まっている。 “公金が支える遺伝子操作魚企業が破綻寸前” の続きを読む