「ゲノム編集」生物の検出方法がさらに精緻に

 「ゲノム編集された生物は自然界のものと区別することも検出することもできない。だから食品表示は課せない」と消費者庁は断言する。でも、それは本当に科学的な検証をした結果なのか? EUが委託した研究のダーウィン・プロジェクト(2024年1月〜2027年6月)は「ゲノム編集」食品の検出が可能であることを示している。 “「ゲノム編集」生物の検出方法がさらに精緻に” の続きを読む

グローバルな #StopUPOV キャンペーン、12月2日に

 今からちょうど60年前、大種子企業が世界の種子市場の独占に向けて、同盟団体を作り、民間企業による、民間企業のための国際条約を作った。それがUPOV条約。遺伝子組み換え企業の登場と共にその条約はより企業を利するものとなって、世界の国の種苗法を変え、農家のタネを奪い、多様なタネからわずかな種類のグローバル品種へと変えつつある。その勢いはもう全世界に及ぼうとしている。その動きに対抗しようという農民・市民の動きが今年12月2日に世界同時で計画されている。#StopUPOV
 
 日本はこの動きにどう関わっているか。日本は1998年にUPOV1991年条約に参加し、徐々にUPOV体制の徹底を図ってきた。2017年の主要農作物種子法廃止も2020年の種苗法改正もそのプロセスの1つ。タネの生産はグローバル化され、大きな企業は海外で安くタネを作り始めた。タネの自給率は激減した。政府はタネの生産から手を徐々に引き、地方自治体が作るタネの新品種はこの20年間に半減した。そして、民間企業のその座を譲ろうとしている。全国で300品種近く作られていた稲の品種も今後、民間品種のわずかな品種に集約されてしまう可能性がある。そうなれば多様性は奪われ、少数企業に日本の食は支配されてしまう。
 食はグローバル企業に支配され、農民は世界中で競争させられる。その競争の中で、農民は数が激減し、環境も壊されていく。
 
 日本政府の動きはそれだけではない。アジアを中心に海外の政府にUPOVへの加盟を強要する。それを元に来年、種苗法を再改訂する計画がある。山梨県知事と小泉農相が会談するにいたったシャインマスカットはその前哨戦だろう。つまり、戦略的な農産物を海外で生産し、日本で輸出できない時期に限り、日本の種苗のための世界の市場を作る。そんな戦略的海外ライセンスを導入することが目的。
 
 日本政府はあくまでタネのグローバリゼーションを進めようという路線を変えようとしない。でも果たして、それで儲かるのは誰か? タネのグローバリゼーション政策の中で、日本の野菜のタネの自給率はなんと1割まで落ち込んでしまった。大豆のタネの種採り農家は今や消えてしまう危機にある。タネがなくなれば日本の食はどうなる?
 実はこのUPOVによるタネのグローバリゼーションの中で、もっとも危うくなっているのは実は日本の地域の食に他ならない。
 世界で12月2日にはさまざまな行動が組まれる。その動きに学びつつ、日本は何をすべきか、早急に考える必要がある。

The #StopUPOV campaign
https://grain.org/e/7315

UPOVとはフランス語でUnion Internationale pour la Protection des Obtentions Végétalesの略(植物新品種保護国際連合)。ユポフあるいはウポフと発音。スイスに本部があるが、国連機構ではない。

ラウンドアップに代わる新しい農薬は安全?

 日本では農薬ラウンドアップ(主成分グリホサート)の大セールが続く一方、世界は脱ラウンドアップへ。窮地に陥ったバイエルはようやく新農薬、イカフォリン(icafolin)を開発して、ブラジル、米国、カナダに続き、EUでも使用申請をした(日本には未申請)。 “ラウンドアップに代わる新しい農薬は安全?” の続きを読む

ラウンドアップをめぐる動き

 モンサント(現バイエル)のモンサントが引き起こす健康被害、モンサント/バイエルは否定し続けてきたが、裁判の過程で、モンサント自身が被害が起こることを確認していたことが曝露され、初めてモンサントが裁判で負けた。その後をモンサントを買収したバイエルはなんとか勝てそうなケースだけ裁判に持ち込み、勝てそうにない10万件以上を和解によって110億ドルを支払うという行動に出ている。勝てそうと思った裁判でも、バイエルの負けは続いており、原告が和解に応じない件数も6万件を超している。 “ラウンドアップをめぐる動き” の続きを読む

東アジア植物品種保護フォーラム・UPOVと日本の問題に関するWebinar

 気温が高い。本当に夏を越せるのか、不安になっている人もいるのでは。僕も実はその一人だけれども。すでに世界では異常な高温やそれに伴う自然災害で多くの人が命を落としている。これはすでに1970年代から警告されてきたことだ。それなのに各国政府が対策を怠ってきた。気候対策は一部の企業の利益を損なう(すべての企業ではない)。そうした企業は政府に対策を取らせないように巨額を使って、政府に働きかけてきた。その結果がこれだ。その気候対策をストップさせてきた企業は殺人企業の名を使わねばならないだろう。
 その企業で一番先に槍玉に挙がるのはエクソンモービルのような石油会社だろうが、実はそれだけではない。種子・農薬・化学肥料・食肉企業・流通企業なども実は気候対策を妨害する上で、大きな力を発揮してきた。 “東アジア植物品種保護フォーラム・UPOVと日本の問題に関するWebinar” の続きを読む

参政党問題と有機農業・農薬批判をカルト化する言説

 農業や食の政策がずっと自動車産業を守るために犠牲にされ続けてきた日本で、次の参議院選挙ではその政策を変える候補に投票したいですね。しかも「令和の米騒動」と言われる事態が起きており、離農する農家が続出する状況ですからなおさらです。そんな中「参政党はいいよね」との声も聞こえてきます。確かに有機農業や食料自給率の向上を謳っています。でも、それは本当でしょうか? “参政党問題と有機農業・農薬批判をカルト化する言説” の続きを読む

石破政権の農政転換は本物? 危険なその方向

 石破政権はコメの価格高騰対策として、増産に向けた新たなコメ政策への転換を昨日の閣僚会議で決めたと報道されています。これまでの減反政策が変わるということで、重要な政策転換と見るむきもあるかもしれません。
 でも、これは本当にどんな転換になろうとしているのか、注意が必要です。これまでの自民党農政とは何であったか、というと、米国農産物の大量買い入れを前提とした食料生産抑制政策であり、その柱が減反政策であったと思います。減反政策が変わったとしても、米国農産物の大量買い入れは、トランプ関税交渉を見れば明白なようにむしろ強化されかねない状況です。この農政全体が変わるわけではないことがわかります。それでは石破政権は農業政策をどう変えようとしているのでしょうか? “石破政権の農政転換は本物? 危険なその方向” の続きを読む