中国の北京で遺伝子組み換えとモンサント開発の除草剤グリホサートの使用により引き起こされているグローバルな被害についての国際会議が開かれ、中国、台湾、米国、ロシア、英国、フランス、デンマーク、ドイツ、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジルとペルーからの関係者が集まった。
メディアの注目も高く、中国があらゆる社会のレベルで(つまり、政府レベルでも市民社会レベルでも)遺伝子組み換えとグリホサートに対して厳しい態度になっていることを伺わせたという。詳細
中国の状況はなかなかストレートに伝わらない。数年前、NGOからのリークとして中国政府が遺伝子組み換えの危険を掌握して急速に政策を転換するという情報が流れた。しかし、それを裏付ける情報はなかった。中国は独自の遺伝子組み換え技術開発に多額の予算をつぎ込み、遺伝子組み換えコメなどを開発、当然、それを実用に撮したいと考える勢力が存在しているはずだ。その政府内の攻防もあるだろう。確信つかめる情報がなかなか得られなかった。
しかし、最近はその状況が変わってきた。相次いで遺伝子組み換えに対して中国政府が厳しい姿勢に転じたことをうかがわせるニュースが続いたからだ。
たとえば、中国は開発予算を急に8割減とした、というニュースが流れ(ロイター)、昨年来、シンジェンタの遺伝子組み換えトウモロコシMIR612が検出された米国からのトウモロコシの受け入れを拒絶し、さらには、経済政策を決める上で決定的影響力を持つ中国人民政治協商会議で政治顧問が遺伝子組み換えの危険性に関するドキュメンタリーを制作して放映(参照。これは、たとえば自民党の農業担当が遺伝子組み換えを危険視するビデオを与党の委員会で放映する以上の意味がそこにはあるだろう)、中国陸軍が今年、遺伝子組み換えの食品の供給を禁止した。詳細
ロシアも遺伝子組み換えの耕作を禁止(WTOへの義務として今年6月にGMOの耕作を認めることが求められていたが、準備ができていない、という口実で2年間延長、実質的に禁止)した。
米国の圧力から一定の自由を持っている国、フランス、ドイツ、ロシア、中国などが遺伝子組み換えに対する規制を強める中、日本政府はさらなる緩和を続ける。
10年後、20年後、50年後の未来を考える。今、正しい選択をしている国はどちらなのか? 日本の規制機関関係者は未来の世代に対して、正しい選択であると言い切る自信があるか?
今、ここで根本的に問い直す時が来ている。