米国トランプ政権がアマゾン破壊にどう関与しているか。
G7でアマゾン森林破壊を止めるための緊急援助がフランス主導で決まったが、直後にトランプ大統領はボルソナロ大統領を擁護する発言。マクロン大統領の足を引っ張る。アマゾン破壊になぜ米国政府は動かないか？
実際にトランプ大統領自身、そして共和党上院多数党院内総務ミッチ・マコーネルに高額献金を出しているのがこのアマゾン破壊に深く関わる企業であるからだ。その１つが投資会社のBlackstone(1)。カーギルなどの多国籍企業も当然深く関わっている。
こうした投資者の元で、米国企業がアマゾン開発に群がる。この一連の利権が米国政府をも縛っている。多国籍企業の貪欲が生態系を壊滅に追い込む。こう言うと、まっとうな質問が来る。「多国籍企業も将来がなくなるようなことはしないのではないでしょうか？」そう思うのが自然だと思う。もし、そうならばまだ安心していられるだろう。でもそんな良心は存在しない。彼らにとっては自分の任期の利益だけがすべて。数十年後に生態系がどうなる、地球環境がどうなる、ということを考える人は少数派。自分がやらなくても他人がやる、ならば自分が先に利益を確保する、これが特にアグリビジネス・資源系多国籍企業の行動様式になっている。破壊した後は捨てるだけ。後始末もしない。
トランプ政権が危機に追いやるのはアマゾンだけではない。アラスカの森林伐採規制も緩和し、さらにアラスカでの鉱物資源開拓のためにメタン規制も緩和しようとしている(2)。
生態系が人類を支えていて、それが崩壊すれば人類は危機に陥るし、その危機から生態系を回復させようと思っても莫大な費用をかけてもそれは不可能、という基本認識がトランプ政権にも安倍政権にもボルソナロ政権にも欠如していることで共通している。さらにボリス・ジョンソン英国政権もこれに加えることができるかもしれない。
そうでなくてもこのままでは2050年には生態系が危機的な状況になる、早急に行動しなければならない、と警告が発せられている時に、それとは真逆にさらに規制を緩めて生態系をさらに壊してでも多国籍企業の利益を優先しようという政権が、米国でも日本でもブラジルでも英国でも、こうした方向を進めていけば破局はもっと早く来てしまう。それくらい大きな危機に私たちは今、いる。
そして、アマゾン破壊の大きなプレーヤーとして中国がある。中国は米国産トウモロコシや大豆に含まれるタンパク質が落ち込んでいることを受けて、米国産からブラジル産に切り替え、今やブラジル大豆の多くが中国に向かっている。日本の食品企業も中国に進出し、中国で生産した加工食品が世界に売られている。
これらのプレーヤーがさらに資源を求めて奪い合いになれば、破局は避けられない。ブラジルがダメとなれば次はアフリカ、ということで、今、多国籍企業は最後のフロンティアとしてアフリカに向かっている。
こうした破壊をしなければ食が足りない、という事態なのではないということに気がつく必要がある。まず、こうして大量生産されたものは多くが破棄されている。廃棄や不要な畜産や加工食品を減らすだけで十分、世界は養っていくことができる。しかし、その大量生産で利益を上げる多国籍企業がその食のシステムの変更を阻んでいるのが現実である。食のシステムを変えつつ、生態系の破壊を止めることは十分可能である。
この問題は一国の問題をすでに通り越している。国連は即動くべきだという声が出てきている(3)。言うまでもなく、ブラジル一国でこの破壊が行われているわけではまったくない。ボルソナロ政権が生まれたこと自身、国際的な多国籍企業のロビー活動なしにはまったく考えられない。米国中心に、日本も中国も大きく関わっている。
特定の国と国の争いであるよりも、人びとや自然の命 vs 多国籍企業の利益、という形になりつつある。この争いを止め、命を守るためには、私たちにはもっと国際的な連携、国と国との連携以上に人びとの連携が必要になるだろう。
(1) アマゾン破壊企業がトランプ政権を支える、その関係を暴く
A TOP FINANCIER OF TRUMP AND MCCONNELL IS A DRIVING FORCE BEHIND AMAZON DEFORESTATION
GOP LOBBYISTS HELP BRAZIL RECRUIT U.S. COMPANIES TO EXPLOIT THE AMAZON
(2) アラスカ森林破壊を進めるトランプ政権
Trump pushes to allow new logging in Alaska’s Tongass National Forest
EPA Moves to Loosen Methane Rules as Trump Opens Alaskan Rainforest
(3) 国連が動くべきだ。
Amazon Fires Will Have Global Consequences. The UN Must Act.