英国の「ゲノム編集」規制法(精密育種法)は無効

 英国高等法院が画期的な判決。英国はEUを離脱して、「ゲノム編集」などのバイオテクノロジーをEUの規制から自由になって推進することを決めて、法律もすでに決めていたが、それに市民団体Beyond GMが政府の検討は不十分であるとして訴訟を起こした。その訴えが6月4日認められた。
 
 英国政府は2023年に精密育種法を作り、その施行を定める精密育種規則は2025年11月13日から施行、いつ「ゲノム編集」小麦や豚が流通開始になるか、という段階を迎えていた。それだけにこの判決は大きい。
 
 英国の精密育種法では「ゲノム編集」生物に対して、表示の義務がない。そのため消費者は選ぶことができない。さらに、有機農業では「ゲノム編集」生物の利用は禁止される。表示されなければ有機農家は禁止のタネなどを使ってしまうかもしれない。「ゲノム編集」であるかどうかを知ることができないのに、それを知らなければ有機農業はできない、という矛盾した状況に置かれることになる。これでは有機農家はやっていけなくなる。
 
 英国高等法院は政府の「ゲノム編集」生物規制に関する決定が誤った理解に基づいて透明性を欠く制度を強行したと判断した。どのような措置を命じるかは今後数週間以内に判断することになるというが、この判断が下された以上、規制の白紙・見直しするしかなくなるのではないだろうか?
 
 今月、6月17日はEUが「ゲノム編集」生物規制の緩和を決定するとみられている(何度も延期になり、最終決定が6月17日になったと言われている)。EUでも「ゲノム編集」食品になんら表示なしに流通して構わないという線が打ち出されていた。しかし、この英国高等法院のこの判断はEUの決定にも影響を与える可能性がある。

 英国高等法院の判断はまさに妥当なものだと言えるだろう。それにひきかえ、日本政府はトランプ第1次政権が規制緩和せよ、と号令を発した4ヶ月後の2019年10月には拙速にも表示なしの流通を認めてしまい、日本は世界で唯一、スーパーで「ゲノム編集」食品が売っている国になってしまった。国会にもかけることがまったくなく、省庁内部の検討会だけで、こんな決定を下してしまった日本とどんなに大きな差があることか。
 
 日本でも改めて、「ゲノム編集」生物のまともな規制制度を作ることが不可欠であるということになるだろう。

Victory! High Court Finds Government Failed to Properly Assess Gene-Editing Deregulation

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