種子主権なきタネのグローバリゼーションを止めろ(Stop UPOVグローバリゼーションデーを前に)

 人の命を握るものの圧倒的基盤がタネにあることは議論を待たないことだろう。でも果たして、タネをめぐる議論は日本でまっとうに行われてきただろうか?
 「種子法廃止はけしからん」「種苗法を変えたことは問題だ」という声は時々聞こえてくるけれども、そもそもこのプロセスは種子法廃止に始まったわけでも、種苗法改正で始まったわけでもない。1998年、日本がUPOV1991年条約に加盟して、農産種苗法を廃止して、種苗法を新設した時に始まっている。
UPOV加盟から種苗法改訂まで
 それ以来、ほとんど注目されないうちに、実質的な改訂作業は20年以上かけて漸進的に進められてきた。その言わば仕上げの作業が種子法廃止であり、種苗法改正だった。だから種子法廃止や種苗法改正を撤回させれば問題が解決するわけではないのだ。そして種苗法改正はまだ終わっていない。来年の通常国会で種苗法の再改正を計画していると報道されている¹。
 
 それではこのプロセスは何が問題なのか、一言で言えば、種子主権なきタネのグローバリゼーションの進行に尽きる。特定の品種だけ、グローバルに生産し、流通させることが極少数の種子メジャーにとっては利益を最大化できる。地域のタネは消えてしまい、多様性は大幅に損なわれる。そして、日本では野菜のタネの9割は海外に依存するところまでタネの生産力が落ちてしまった。海外の安いところで生産することが企業の利益になる。地域の種子企業は存続できなくなる。日本でも種子企業の数は減るばかり。だから、この体制の行き着くところ、地域にあった多様なタネは失われ、世界の農業は同じ作物で競争になるから、結局、農家の取り分もどんどん削られてしまう。地域に合ったタネがなくなればその分、農薬や化学肥料に頼らざるをえない。ごく一部の種子メジャーを除けばいいことがない動きだ。
 
 もはやそのような方向に進むことは止めなければならない、という声が世界中から上がっている。12月2日は世界で、このタネのグローバリゼーションを押しつけるUPOVに反対する活動が取り組まれる。
 
 日本でも本当の意味で種子主権を取り戻すためには何が必要なのか、今一度、根本に戻って考えることが不可欠だ²。種子主権なしに食料主権はありえず、食料主権なしには民主的な社会はありえない。その種子主権が今の日本はとても危ういのだ。

(1) 読売新聞:日本産のブランド品種守るため、苗や種の無断輸出の刑事罰を拡大へ…独占生産期間も延長(5月29日)
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20250529-OYT1T50119/
日本農業新聞:品種海外流出防止へ管理厳格化 育成権延長、刑事罰も 政府検討(5月31日)すでに記事は消えている
https://www.agrinews.co.jp/news/index/309679
農水省:農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/progress/

(2) 国連において種子主権に関連する権利がどのように規定されているかを抜粋した資料をぜひ参照してほしい
https://m.inyaku.net/unseed

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