超加工食品を知らせない日本の食品表示制度

 超加工食品(Ultra-Processed Foods、UPF)といっても、日本ではピンとこないかもしれない。でもそのこと自体がやはり大問題。というのも、今や超加工食品とは健康に与える影響が甚大で規制するのが国際的な課題になっているからだ。でも、日本ではそんな動きがない。超加工食品なんて日本ではないなら問題にならないが、事態は逆。日本のカロリー摂取の約30〜50%がすでに超加工食品に置き換わっているという研究も出ている¹。この現状はまったく大問題。
 
 でも、なぜ日本で規制が進まないのだろうか? 一つには食品添加物企業が食品行政に大きな力を持ってしまっているからだ。だから消費者はその問題に気が付くことができない。ラテンアメリカでは超加工食品には表示が義務付けられている。でも、日本では食品表示はきわめて曖昧で、その表示を見て、選べる消費者はわずかだろう。
 さらに問題なのは、日本では特定の健康にいいとされる成分(GABAなど)を添加すれば「健康にいい」かのような表示までできるようになっている(機能性表示食品)。だから、日本の食品表示は超加工食品を排除するよりも、むしろそれを促進する制度になっているのだ。
 
 つまり、ここでも世界と逆になっている。世界は強い規制(食品表示による規制やソーダ税、砂糖税などの税金、さらには広告の禁止などの措置)を始めている。でも日本では逆に超加工食品化が年々進んでいるのが現実。
 
 いやはや、日本ってすごい。企業天国で、企業の人間がそのまま消費者庁などに入り込んで規制させないし、さらに御用ジャーナリスト動員して、超加工食品を懸念する市民を誘導、あるいは攻撃をして、規制を求める声を潰してしまう。
 
 このままでは日本の食はどうなるのか? 肝心なのはこの企業ロビーをはねのけて、超加工食品を規制して、まっとうな食を作る人や企業を支え、大きくすることだ。
 
 最後に自己防衛策を少し。超加工食品を食べないための方法。
【1】生の材料から料理する(一番シンプル。醤油や油とか、信頼できるものにすればいいだけ)あるいは信頼できる製造者のものを買う。
【2】食品表示を見て「/(スラッシュ)」を見つける。スラッシュの後に書かれているのは食品添加物。
 スラッシュがない、あるいはスラッシュの後に1つか2つくらいしか書かれていないのは加工度が低いからOK。
 でもその後にいっぱい並んでいるのは超加工食品。たとえば
原材料名:小麦粉、卵、植物油脂 / 調味料(アミノ酸等)、乳化剤、香料、pH調整剤
【3】工業的に生成された問題ある成分を含まないものを選ぶ
たとえば果糖ブドウ糖液糖(異性化糖)、たんぱく加水分解物、酵母エキス、植物油脂など。
 異性化糖はいろんな食品に入っている。その原料は遺伝子組み換えトウモロコシが使われることがほとんど。米国でもその使用をやめて甜菜やサトウキビから作った砂糖に代わりつつある。日本では問題を知る人が極めて少なく、いまだに多く使われているから注意。

(1) 東京大学:日本人成人における超加工食品の摂取量と食事の質との関連
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400214590.pdf

東京大学:日本人の子どもにおける超加工食品の摂取量と食事の質との関連
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400242354.pdf

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