ブラジル・ホームレス労働運動で歌うカエタノ・ベローゾ

 ブラジルにはホームレス労働者運動(MTST, Movimento dos Tranalhadores Sem Teto)という運動がある。使われていない土地を占拠して、住居を要求する運動。MST(農村部労働者運動)が生産に使われていない土地を占拠して農地改革を要求する運動に触発されて作られた運動だが、知識人、文化人にも支持が広がっている。
 サンパウロ州のサンベルナルドドカンポで公営住宅の建設を求める大きな行動を計画して、それにあのカエタノ・ベローゾが歌う予定だったが、なんと州知事と裁判所がそのコンサートを禁止。カエタノ・ベローゾはコンサート禁止されるなんて軍事独裁以来だ、と発言し、検閲には負けないと歌った。
 カエタノ・ベローゾはいうまでもなくブラジルを代表する大スター。一時期、大統領選でネオリベの候補を応援したりしたこともあったが、社会的発言を続けている。ある意味、有名人は社会的な行動をすることが当たり前、というか義務と思われている部分もある。ほとんど何も口にできない日本とは対照的だけれども、筋を曲げない姿勢はうれしい。

 ところで、このホームレス労働者運動、日本語にホームレスとしてしまうとネガティブな表現になってしまうが、ポルトガル語だと、直訳すると天井なし運動。家のない否定的な状況を逆手にSem Tetoと表現するわけだが、天井なしという言葉には何か突き抜けた力強さも感じてしまう。
 生きる上で誰もが持つ権利を主張する、慈悲にすがるわけでもなく、当たり前の権利を当たり前に主張する、その姿勢に共感も集まるのだと思う。

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