国会閉会前に緊急の食料政策を!

 国会の会期が終わりに近づいてきた。だけど、何を決めたのか? この世界の多重危機の同時進行の時に政治が果たす役割はとても大きい。でもそれが伝わってこない。
 このまま行けば何が起こるか? 食料高騰、収入減る一方の人びとの中で栄養不良状態が深刻化、さらには日本列島の人びとを支える農業が崩壊する大規模な離農が止まらなくなる。それにさらに深刻化する自然災害や感染症が追い打ちするかもしれない。
 もっとも、その対策を打ち出したのは自民党だった。食料安全保障検討委員会を作って提言を5月にまとめている。でも、それで十分だろうか?
 
 肥料が高騰するから補助金を出す、というが、それだけではまったく追いつかない。たとえば、お米の生産費は60kgあたり1万5000円くらいなのに、それが1万円以下で売られる状況にすでになっている。これでは稲作農家は圧倒的な赤字になってしまう。
 米国の場合、主要穀物にはCrop insuranceという制度がある。これはほとんどの農家が対象となって、販売価格が一定額から落ち込めば、政府が保障してくれる。だから、日本の稲作農家のように赤字でも売れ、という話にはならない。主要穀物を生産する90%の農地が対象となっているというからそのカバーする率はとても高い。インドでも農業融資を受ける農家は全員が対象となる。その他の国でもそうした制度があるのが当たり前。工業製品と違って、農業の場合、担い手がいなくなってしまったら社会の存続の問題に直結するからだ。しかし、日本では制度はあっても有効範囲が狭すぎて、ほとんどのケースで満足な保障が受けられない。むしろこれまで出ていた水田活用交付金が打ち切られるなど、逆コースを日本政府はとり続けている。
 
 この状況に追い打ちをかけるのが化学肥料や農業資材、燃料の価格高騰だ。収入は増えずにさらにお金がかかるのであれば農業を継続できず、離農せざるをえない。
 
 離農者が大量に出て、しかも、円安で、日本は海外で高騰する農作物を買う力がないとなったら、何が起こるか想像がつくだろう。これが一過性のものであると考えるとしたらあまりに楽観的過ぎる。今後、この危機は長期的に継続するだろう。そして、この危機に、アフリカ諸国などとは違うレベルで、もっとも脆弱な国の1つが日本だろう。
 
 だからこそ手を打たなければならない。まず必要なのは離農者を出さないようにする農家戸別所得保障の実現であり、そして何より危惧される子どもたちの栄養失調を防ぐために学校給食の無償化、そして地産化。これは急務中の急務になる。学校給食の無償化は5000億円かからない。そして、有機米にするためにいすみ市が使っているお金は子ども一人あたり1日10円だ。お金がないからできない、という話ではない。やる気があれば実現できることなのだ。
 
 そして、この政策は何より消費者が声を出すべきもの。このままでは日本社会は栄養失調状態になることが目に見えている。一番大変なのは農家以上に食料を作っていない消費者だ。農業支出をカットし続ける財務省、経産省が作る設計図が完全に現代の世界に合わなくなっている。その政治を一刻も早く変えなければ悲惨な状況が確実になる。海外からの輸入と化学物質に頼り続けた日本の農業・食料政策を急速に転換することは必須である。その転換ができなければ日本は栄養失調国に転落する。この転換を支えるには公的政策が決定的に重要になる。
 
 国会議員はこの事態に責任がある。残された会期、この転換を実現させるために全力を尽くしてほしい。参院選後では遅すぎる。農家の問題に限られないから農水委員会の議員だけの問題ではない。すべての委員会の議員はこの問題で何ができるか、考えるべきだ。
 
 そして、今月から地方議会が開催される。地方自治体はより直接、生産者を支援できる位置にある。だから離農者を出さない政策を打ち出す必要がある。そしてそれを何より消費者が声をあげなければこの転換は実現することができない。声をあげよう!

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