培養肉をめぐる動きが加熱している。でもその熱は新たな技術の可能性による熱狂ではなく、独占を実現できそうだと幻想を持つ投資家の熱狂に過ぎないようだ。この技術への幻想が晴れれば市場が崩壊するのは間違いなさそうである。問題なのは、この騒動にわたしたちの税金が投入されようとしていることだ。しかも、ろくな議論もなく、責任もはっきりしない形で。
細胞培養肉とは幹細胞を取り出し、それをバイオリアクターで細胞分裂させて培養して肉にしていくものだ。動物を殺さなくても肉が作れるから動物愛護になるとか、牛のゲップのような気候変動ガスを作らずに肉が作れるから気候変動対策になるとか、食料危機対策になるとか、抗生物質使わずに安全な食ができるとか宣伝されている。しかし、実際にはそれとはほど遠い現実が見えてきた。そのギャップを埋めてくれる上で貴重な情報がある(1)。もし、あなたが大金持ちで将来性のある産業に投資したいというのであれば、ちょっと長いが、この情報は必ず目を通すべきだ。培養肉関係はやめておくという結論になるだろう。 “細胞農業は羊頭狗肉” の続きを読む
失敗が宿命付けられたCRISPR−CAS9による「ゲノム編集」生物
新しい技術は必ず世界をいい方向に変えるという考えを科学技術信仰と呼ぶとすると、いつの間にか、無意識のうちに自分も含めた多くの人間がそれに染まっているのかもしれない。遺伝子組み換え作物栽培が急速に広まったことはその傾向を補強しているだろう。でも実際には遺伝子組み換え作物は災難と呼ぶより他ない品種しか作れなかった。「ゲノム編集」もそれに輪をかけたものになる可能性が高い。そして細胞培養肉も。
この技術はちょうど10年前に論文が発表された。「正確に狙った遺伝子だけを破壊できる」技術だと宣伝されて、特許を巡って巨大なお金が飛び交うホットな技術となった。そして2020年にはノーベル化学賞まで受賞した。
しかし、その大騒ぎに反して、根本的な欠陥が指摘され、CRISPR-Cas9を使った「ゲノム編集」食品の流通が行われているのは日本のわずかな3品種だけだ(流通といっても一般のスーパーなどでの流通ではなく、オンライン販売やふるさと納税の返礼品などに限られる)。
その欠陥とは何か? “失敗が宿命付けられたCRISPR−CAS9による「ゲノム編集」生物” の続きを読む