種苗法改正を考える:新しい世界の動き

 どうやら種苗法改定案は今国会見送りになる可能性が高くなってきたようだ。しかし、廃案になったわけではないので油断はできない。
 もっとも、農水省の職員になって、きまじめに職務を実行している人たちからすると、今回の種苗法改正は長年かけてやってきたことの集大成だと思っているかもしれない。

 1998年、日本は種苗法を改訂して以来、自家増殖を原則禁止にするという方向性は農水省の研究会でもたびたび打ち出されており、現場に混乱を来さないようにたびたびアンケートを実施して、問題少なそうなものから禁止種を増やしてきた。今回はその総仕上げ、ということになる。

 だから、やるべきことを粛々とやってきた、それなのになぜ、騒ぐの? ということになるだろう。でもそれは自分の机の周りしか見ていないからで、世界の動きを見れば、それは考え直さなければならないことがわかるだろう。 “種苗法改正を考える:新しい世界の動き” の続きを読む

種苗法改定は影響ないって本当? 登録品種の実情2

 昨日、種苗法改正に関して、登録品種10%だけが自家増殖できなくなるだけだから、全然問題ない、という言い方が本当に実態に即しているのか、ということで沖縄と大分で栽培されている品種を例に見てみました。

 特に穀類、果樹、サトウキビなど地域を支える主力品種は登録品種がかなり多く、そうした作物を栽培している人には影響がありうることを示しました。

 ここでは、登録品種ではない方の品種(農水省の呼ぶ一般品種)がどんなもので構成されているか、確認してみます。 “種苗法改定は影響ないって本当? 登録品種の実情2” の続きを読む

種苗法改定は影響ないって本当? 登録品種の実情

 種苗法改正は大した影響を与えないと思っている方は農家の中にも少なくない。そうした人たちからみたら、「なんで騒いでいるの?」ということになるだろう。たとえば野菜はトマトなどを除くとそもそも種苗法上、登録されていないものが多い。だから野菜ばかり栽培されている農家の場合にはすぐには影響が出ないだろう。なら、本当に影響ない? “種苗法改定は影響ないって本当? 登録品種の実情” の続きを読む

種苗法を取り巻く見えないプレーヤー

 検察庁法改正案、強行採決されず、まずはよかった。反対の声を上げたすべての方に感謝。でも来週が正念場。この法案が成立すれば日本のすべての領域に悪影響を及ぼすだろう。でも、ここで踏ん張ることができれば大きな意味があると思う。

 昨日一昨日と2日、国会に行って、自民党の農政関係の議員に会い、種苗法改正についての懸念をお伝えしてきた。ほぼこちらの主張に同意する議員も、部分的に趣旨は理解するという議員もいる。まともな国会であれば即決はありえず、議論が相当噴出せざるをえない。与党の中にもこれだけ批判があるのだから。しかし、それにも関わらず、結論として来週、自民党は1回だけの委員会で採決、衆院通過まで狙っていることは間違いない。 “種苗法を取り巻く見えないプレーヤー” の続きを読む

種苗法改正案でなぜ意見が割れる?

「種苗法改正問題、人によって言うことが違う」「極端な意見の違いがあって、どう考えていいかわからない」など当惑されている人が少なくないようです。この問題をとてもわかりにくくしているのは作物によって事情が全然違うこと、それから種苗を育てる側の人もあまりに違いがあるからで、それをひもとけば解決策も見えてくると思います。 “種苗法改正案でなぜ意見が割れる?” の続きを読む

海外の農民の権利と種苗法改定

 種苗法改定にどんな問題があるか、前の投稿で番外編としたことに少し説明加えます(動画あり)。

番外編:国内の農家に種苗法改定により自家増殖を抑制させるだけでなく、その影響は海外の農家にも及ぶ。
農水省は植物品種等海外流出防止総合対策事業に5億6700万円、農業知的財産保護・活用支援事業に3億9300万円の予算概算要求して自家増殖させない体制を構築しようとしている。

 これは種苗法改定案に書かれていることではないのですが、種苗法で掲げられた「日本の種苗を海外に流出させない」ための具体的方策として具体化されたものです。 “海外の農民の権利と種苗法改定” の続きを読む

種苗法改定法案、ココが問題

 なかなか拡がらなかった種苗法改定批判、このところになって、有名人の方たちに取り上げられるなど急に拡がり始めました。一方、複雑すぎて、どこが悪いのか、よくわからない、という話もよく聞きます。じゃあ、手っ取り早くどこが問題なのよ、ということを、まとめます。 “種苗法改定法案、ココが問題” の続きを読む