米国にタネを支配されたインドの闘い

 インドのコットンのグラフ。以前は97%がインド在来のコットンだったが、米国のコットンが押しつけられ1%に減ってしまう。
 1947年のインドの独立以来、一貫してその圧力を受け続けてきたことがわかる。インドの独立は植民地支配から新植民地主義への転換に過ぎず、2002年からの遺伝子組み換えコットンもその延長線に過ぎないとも言える。 “米国にタネを支配されたインドの闘い” の続きを読む

ラウンドアップやジャンクフードと闘うメキシコ

 メキシコ政府がTPPや米国・メキシコ・カナダ協定などの自由貿易協定・経済連携協定によって、メキシコでの種子の権利を危うくしようとしている現状について書いた(1)けれども、それだけで終わってしまっては不当な扱いになるだろう。

 なぜなら一方でメキシコ政府はかなりがんばっているからだ。その最大の象徴はモンサント(現バイエル)の農薬、ラウンドアップ(その主成分グリホサート)の禁止に向けた措置だと言える。 “ラウンドアップやジャンクフードと闘うメキシコ” の続きを読む

メキシコ:トウモロコシ保護法はトウモロコシ国家管理法?

 生物多様性こそが私たちの命を守ると書いた(1)。その多様性を守ってきた農家のタネが危うくなっている。ラテンアメリカの他の国々でも大きな問題となっている。

 特にメキシコが今、とても危ない。TPPや米国などとの自由貿易協定が大きな制約をもたらそうとしている。 “メキシコ:トウモロコシ保護法はトウモロコシ国家管理法?” の続きを読む

新型コロナウイルス禍と食の行方

 この20年の世界の変化、特に食・農業政策に起こっている変化は巨大なものがある。まず最初の大きな一撃は2007年/2008年の世界食料危機。しかし、それ以上に大きなインパクトを与えたのがこの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症COVID-19の蔓延の事態となるのではないだろうか? “新型コロナウイルス禍と食の行方” の続きを読む

データで見る種苗法改定

 いくつか農水省の登録品種に関するデータをグラフで見てみます。

 最初のものが日本で有効な登録品種数。現段階では9000品種近くになっているのではないでしょうか?(訂正:2018年段階で8315品種なので2020年段階でこの間の推移を見るとそれより微増に留まっていそう)。お花が多くなっています。 “データで見る種苗法改定” の続きを読む

種苗法改正を考える:新しい世界の動き

 どうやら種苗法改定案は今国会見送りになる可能性が高くなってきたようだ。しかし、廃案になったわけではないので油断はできない。
 もっとも、農水省の職員になって、きまじめに職務を実行している人たちからすると、今回の種苗法改正は長年かけてやってきたことの集大成だと思っているかもしれない。

 1998年、日本は種苗法を改訂して以来、自家増殖を原則禁止にするという方向性は農水省の研究会でもたびたび打ち出されており、現場に混乱を来さないようにたびたびアンケートを実施して、問題少なそうなものから禁止種を増やしてきた。今回はその総仕上げ、ということになる。

 だから、やるべきことを粛々とやってきた、それなのになぜ、騒ぐの? ということになるだろう。でもそれは自分の机の周りしか見ていないからで、世界の動きを見れば、それは考え直さなければならないことがわかるだろう。 “種苗法改正を考える:新しい世界の動き” の続きを読む