改正種苗法施行前に考えてみたい。今後の食がどう変えられようとしているか? まずハイテク企業の動きを注目する必要がある。ビル・ゲイツは「ゲノム編集」を含む遺伝子組み換え技術に莫大な投資を行い、種苗をOSになぞらえて、マイクロソフトがOS独占で巨大企業に成長したように、食を次のターゲットとしようとしている。モンサント(現バイエル)はビッグデータ企業を買収し、アマゾンが生鮮品まで手をかけ、富士通までもが海外で農業投資を本格化している。キーワードは技術による食のシステムの統合(=囲い込み)。巨大企業が食を種苗から流通まで把握しようとしている(1)。 “改正種苗法施行の前に” の続きを読む
日本版グリーン・ニューディールで食と農を守れ
このコロナの混乱の中、日本政府がやらなければならない最優先課題は種苗法改正でも「ゲノム編集」の推進でもなく、ニューディール的な空前絶後の農家支援策だ。この5年間で農業人口は175万7000人から136万1000人と40万人近く激減している(1)。そして、今年のお米の生産は38道府県で減産計画を立てているという(2)。農家の平均年齢は66.8歳と言われる。このままではあと10年以内に日本の農業は壊滅的になる。 “日本版グリーン・ニューディールで食と農を守れ” の続きを読む
メキシコやペルーでの遺伝子組み換え企業との闘いでの快挙
インドとイタリアの朗報を書いて、メキシコやペルーの朗報を書かないとあまりに不公平だと思うので、昨日の続きを書く。
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イタリアとインドでの多国籍アグリビジネスとの闘い
たまには朗報! 世界で新型コロナウイルスの問題で大騒動の中、とっても問題な動きが同時に進行しつつある。 “イタリアとインドでの多国籍アグリビジネスとの闘い” の続きを読む
原発を定点観測するFUKUSHIMA Project
311東電原発事故が起きてもう早くも10年が経とうとしている。あの事故は多くの人の人生を変えてしまった。最近、年齢のせいか、周囲の訃報が相次いでいる。でも、原発事故がどんな影響を与えたのか、ということは問うことは難しい。自分の体調にどう影響を与えているのかについても明確に答えることは困難だ。
本当にどんな影響があったのか? 直接高線量被ばくしていなければ「直ちに影響がない」としても、長期的には影響がありうるわけで、しかも長期的な影響には世代を超えた影響もありうる。もし、それを実際に突き止められたとしてもこの事故の責任者はわかった時にはこの世にはいないだろう。被害が証明できなければ被害がないことにされてしまう、このお粗末な政治。
しかし、世代を超えた人への影響を計ることは難しくても寿命の短い野生生物にどんな影響があるかを調べればその影響は短期間に把握可能になる。世代を超えてどんな変化があるか、人より短い寿命の生物を監察することで、その影響をつかむことができる。 “原発を定点観測するFUKUSHIMA Project” の続きを読む
アマゾン・セラード破壊に加担する菅政権
怒りを通り越して、我を失いそうになる。茂木外務大臣、南米訪問。この時期に何のための訪問なのか? 新型コロナウイルスの蔓延で死者が20万人を越しているブラジルで何を話してきたのか?
今、ブラジルの極右ボルソナロ政権によってアマゾン破壊、先住民族のジェノサイドが進んでいると国際社会が警鐘を鳴らし、それゆえEUと南米共通市場メルコスールとの自由貿易協定も止まっている。アマゾン破壊に抗議して、ノルウェーやドイツはブラジルへの政府援助を止めた(1)。 “アマゾン・セラード破壊に加担する菅政権” の続きを読む
混乱の国家に代わり地方自治体の食の政策が進化
米国の連邦議会が乱入・占拠されたのとほぼ同時に日本では緊急事態宣言。どちらも危機的なまでの政治の形骸化、麻痺を印象づける。悪い動きは国を超えて連動していて、パリ合意から離脱した米国トランプ政権を盾に、ブラジルのボルソナロ政権はアマゾン、セラード、パンタナルという重要な生態系の破壊・農地・鉱山開発を加速。かつてない速度で環境が破壊されている。人類の生存がより危険に。安倍前政権はそのボルソナロ政権を積極的に支援してきた。
こうした動きばかりに目を奪われていると絶望以外ないように思えてくる。政府は多国籍企業の代弁者となり、次から次へと彼らのために規制緩和し、人びとの権利、公共財産は奪われる動きのオンパレード。しかし、そんな中、マスコミにはまず流れないが、希望を持てる動きも実は大きく広がってきている。
ブラジルのアグロエコロジー全国連絡会議(Articulação Nacional de Agroecologia、ANA (1))はブラジルでアグロエコロジー(2)の普及に向けて活動し、ブラジル政府に小農を基盤とするアグロエコロジー政策を採用させるまでに成果を上げてきた。ボルソナロ政権になって、その政策は大きく歪められてしまったけれども、その政策はすでに地方自治体に根を下ろしている。 “混乱の国家に代わり地方自治体の食の政策が進化” の続きを読む
鳥インフルエンザの脅威
鳥インフルエンザが北アイルランド、フランス、インドでも広がっているようで、とても心配です(1)。現在のところ、人にはめったにうつらない、というのだけど、うつった場合の致死率は新型コロナウイルスの20倍になるという話もある(2)。もっとも新型コロナウイルスが恐ろしいのは無症状で感染が広がるから止めることが難しいからであり、一方、エボラ出血熱は致死率が高すぎて、感染は大きくは広がらなかったということがあります。致死率が高いことと社会への危険度は必ずしも一致しないでしょう。しかし、鳥インフルエンザは野生の鳥で広がるとしたら、高い致死率と感染力で大きな惨事となりえる。ただし、今のところ、現在の鳥インフルエンザの人への感染は起きていない。だからこそ、早く抑え込み、発生を予防する必要があります。