「あきたこまちR」の問題は秋田県だけの問題ではないと言い続けてきたけれども、農水省は2030年までに、なんと5割の都道府県にこの技術を普及させることを目標にする予算概算要求をしている¹。秋田県は先走りしただけで、政府が重イオンビーム放射線育種米を全国の主力品種にしようとしていることは明確だ。
つまり、このまま黙っていたら、消費者は知る術もなく、重イオンビーム放射線育種で作られたお米を食べざるをえない状態になってしまう。イネの大半は特許がかけられ、自家採種できないイネばかりになる。生産者も消費者も選択できる範囲は圧倒的に狭められてしまうことになる。
しかも、この件では、国会で審議されたこともないし、パブリックコメントも行われていない。つまり、生産者も消費者も意見が聞かれることもなく、一方的にこの動きが進められているのだ。だからこそ、今、声を出したい。
オンライン署名 https://act.okseed.jp/akitakomachir
この問題はシンプルに、私たちの選択権が奪われるという話であり、言語道断の話だ。
にも関わらず、人びとの行動をとどめようというデタラメな情報を農水省も秋田県もマスコミも流している。
たとえば、
「あきたこまちRは放射線育種ではありません」
いや、「あきたこまちR」は放射線育種品種。「あきたこまちR」は重イオンビーム放射線で遺伝子を破壊した遺伝子を受け継ぐ品種であり(重イオンビーム放射線育種後代交配種)、その点、「あきたこまちR」と重イオンビーム放射線育種で遺伝子を壊した「コシヒカリ環1号」はその遺伝子の破壊ゆえに同じ問題を持つ。
「あきたこまちR」は「コシヒカリ環1号」に「あきたこまち」を交配させて作ったものだが、重イオンビームで塩基を破壊した遺伝子を共通して持っている。もし、「あきたこまちRは放射線育種ではありません」というのであれば、遺伝子組み換えしたタネを別の品種と交配したものは「遺伝子組み換えでない」と言えることになるだろう。交配してもその遺伝子を受け継ぐものであれば当然ながら遺伝子組み換え品種であることは言うまでもないことであり、交配させることで、遺伝子組み換えでなくなることが許されるのであれば、もう自由に遺伝子組み換え作物が栽培できることになってしまう。もちろん、それは許されていない。そんなデタラメを放射線育種では許容するというのか? それは遺伝子操作ロンダリングとしかいいようがないペテンだ。遺伝子組み換えのタネから作ったタネは遺伝子組み換えであるように「コシヒカリ環1号」の遺伝子を引き継ぐ「あきたこまちR」は放射線育種である。
「放射線育種は世界で長く使われ、安全も確認されています」
ここで言う放射線育種はガンマ線であり、ガンマ線を使った放射線育種は世界で終わっており、日本でも農水省は2022年度に受け付けを終了している。なぜ、終了したのか、農水省に聞いたら、「ゲノム編集や重イオンビーム放射線育種があるので、もうガンマ線は不要になった」ということだった。すでに終わった技術であるのに、その実績をまったく別の技術に使うというのはまったく論理が飛躍している。ガンマ線による放射線育種では遺伝子の二重鎖が直接切られることは稀で、ガンマ線を受けることで細胞内に活性酸素が発生し、その活性酸素が突然変異を引き起こすことを利用している。それに対して、重イオンビームは直接遺伝子の二重鎖を切ってしまう。だから、到底、同一視はできない。そもそもガンマ線による放射線育種の安全性を確認する実験も行われていないし、ましてや重イオンビーム放射線育種の安全性は確認されていない。
重イオンビーム放射線育種米だらけになる未来を止めるためには、まず今、「あきたこまちR」にノーを突き付けることだ。消費者が食べないと宣言すれば、拡大は止めることができる。秋田県も従来の「あきたこまち」に戻ることも今ならできるはず。
オンライン署名「わたしは、遺伝子を改変された「あきたこまちR」を食べたくありません!」は4400筆を超しました。ぜひ、署名を!
https://act.okseed.jp/akitakomachir
今回取り上げた2つの問題ある情報以外も含めたFAQをまとめました。OKシードプロジェクトのSNSでも流しています。ぜひご活用ください。
https://v3.okseed.jp/ionbeam/faq
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参考
(1) 農水省「水稲におけるカドミウム及びヒ素濃度低減技術の実証・普及 令和7年度予算概算要求額」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/yosan/yosan/attach/pdf/240830-9.pdf