コカコーラのジュースからPFAS。農水省の下水汚泥利用に声を

 昨年末、コカコーラ社のジュース(Simply Tropical Juice)に永遠の化学物質と言われるPFASが含まれているとして、集団訴訟がニューヨーク連邦裁判所で起こされた(1)。PFAS汚染は米軍基地から大量に消火剤などから出されて沖縄や東京など軍事基地のある周辺で大問題になっているが、このPFAS、化粧品から梱包材、農薬など広範に使われていて、大問題だが、”All Natural”を売り文句にしているジュースにも含まれているとすると深刻。
 どのような経緯で入ったのか、農薬経由か地下水からか、経緯がわからないが、今後、PFAS汚染がどこまで及んでいるのか、調べていく必要がありそうだ。 “コカコーラのジュースからPFAS。農水省の下水汚泥利用に声を” の続きを読む

根を張るブラジルのアグロエコロジー、一方、日本の統一地方選は?

 政府が人びとの望まない政策をどんどん進めていく。こんな時にどうしていけばいいのか、とても参考になる取り組みがある。それがブラジルのアグロエコロジー運動。アグロエコロジーとは生態系を守り、その力を活用する農業に関する科学であり、そうした食のあり方をめざす農家の実践や市民の社会運動でもある。
 これまでブラジルのアグロエコロジーを支えてきた柱は学校給食(PNAE)と食料調達政策(PAA)だった。政府が買い付けを保障するから、農家が現金収入を確保できる。市場に買い叩かれなくて済む。でも、極右大統領が誕生し、これらの予算を大きくカットした。新型コロナウイルスの蔓延による失業、コメや小麦など輸入穀物の暴騰という中、この政策により、飢餓層が急増する。そして、この極右大統領は空前の勢いで農薬を新規承認。現在、ブラジルで承認されている農薬の半数を占めるまでになった。海外では禁止されている農薬が続々と承認された。種苗企業は遺伝子組み換え企業によって買収され、大豆やトウモロコシ、コットンなどは遺伝子組み換え種子ばかり。
 このような逆境の中でも、ブラジルのアグロエコロジー運動は地域に根を張ることで生き延びた。地方自治体が予算を出し、地域のアグロエコロジー生産をバックアップする、そんな例がブラジル全土で487存在するという(1)。その例を1つあげてみよう。 “根を張るブラジルのアグロエコロジー、一方、日本の統一地方選は?” の続きを読む

食は権利、すべての人に健康にいい食を! ブラジルのホームレス運動から

 もう過ぎてしまったけれども、ブラジルでは1993年の反飢餓キャンペーンがブラジル全土を巻き込む巨大な運動になって以来、毎年、クリスマスになると、餓えのないクリスマスというキャンペーンが取り組まれる。
 カトリックが多いブラジルではクリスマスにはほとんどの店が閉まる。この日は家族と共に暮らす日なのだ。いっしょに過ごす家族を失ってしまった人にとってはつらさが募る日でもあり、自殺者も多くなると聞く。
 新型コロナウイルスはブラジルで70万人の命を奪う猛威を振るっているが、その脅威は失業と食料高騰によって、特に貧困層を直撃している。ブラジルは米国と世界一を争う農産物輸出国だが、肝心の主食である小麦は輸入に頼り、お米も輸入が増えている。新型コロナウイルス蔓延以降、輸入価格は高騰し、貧困層を直撃している。労働者党政権の後のボルソナロ政権では巨大地主を優遇する政策に転じ、小農からの食料買い上げや学校給食への予算もカットし、労働者党政権下で激減していた飢餓層がこの4年間で急速に拡大してきた。労働者党政権の下でほぼ根絶しかけた飢餓人口は2000万人近くに膨れあがっているという指摘もある。
 
 こんなピンチでもチャンスに変えるのがブラジルの民衆運動と感心するのだけど、ブラジルのホームレス労働者運動(MTST)はCozinha Solidária(連帯キッチン)という取り組みを2年前に始めた(1)。現在、ブラジル各地に作られ、現在31箇所。人びとの寄付を原資に無償の食事が貧困地域の人びとに提供されている。すでに累計100万食が提供されたという。オンライン寄付で毎月15レアル(400円弱)などの少額寄付を募っている(2)。 “食は権利、すべての人に健康にいい食を! ブラジルのホームレス運動から” の続きを読む

近刊のお知らせ。 『ブラジルの社会思想』小池洋一・子安昭子・田村梨花 現代企画室

ブラジルの社会思想共生の知を求めて 表紙 ブラジルの社会思想を彩る思想家、実践家、芸術家たちを通じてそのダイナミズムに迫る本。僕はほんの短いコラムを書いただけなのですが、扱われた人物のそうそうたる名前を見るだけでもその営みの大きさを改めて再認識します。なんと512ページの大著になったとのこと。出版されるのが楽しみです。 “近刊のお知らせ。 『ブラジルの社会思想』小池洋一・子安昭子・田村梨花 現代企画室” の続きを読む

やはり遺伝子操作食品に未来はない その3: 細胞培養食に警戒を!

 前の投稿で遺伝子組み換えサーモン開発企業や「ゲノム編集」作物開発企業が続々と破綻しようとしている状況を見た。遺伝子組み換え企業は大きな壁にぶち当たり、アフリカやアジアへの浸透や小麦や米などの主食に入り込もうと最後のあがきをしているのが現実だと言えるだろう。それではこうした遺伝子操作食品は今後、どうなるのか?
 
 今後のシナリオとしては3つあると考える。
1. 消費者が「ゲノム編集」食品を受け入れてしまい、バイエル(モンサント)などが農薬・害虫耐性「ゲノム編集」作物を次から次へと出すシナリオ。
2.「ゲノム編集」ということは後景に退け、フードテックを前面に打ち出し、「ゲノム編集」はもちろん、従来の遺伝子組み換えやRNA干渉、合成生物学などの遺伝子操作技術をフルに用いた細胞培養による食品を出していくというシナリオ。
3. 遺伝子操作技術を使わない自然の力を最大限に生かすというシナリオ。 “やはり遺伝子操作食品に未来はない その3: 細胞培養食に警戒を!” の続きを読む

やはり遺伝子操作食品に未来はない その2: 消える「ゲノム編集」食品

 遺伝子操作は従来の品種改良よりもずっと早く開発でき、しかも従来の品種改良ではできなかったことができるなどと言っていなかっただろうか? とりわけ「ゲノム編集」はその切り札ではなかったのか?
 
 Calyxt社は世界で初めて「ゲノム編集」食品を世に出したと言われているが、Calyxt社の前に「ゲノム編集」食品は存在していた。それが2014年に発売されたCibus社の除草剤耐性カノーラ(SU Canola)で現在主流のCRISPR-Cas9ではなくODM(オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発)という方法を用いて「ゲノム編集」されているとされていた(1)。
 
 しかし、2020年9月、このSU Canolaを対象に「ゲノム編集」食品は検出可能だとして科学論文が発表される(2)や否や、Cibus社はこれは「ゲノム編集」ではない、と言い始めた。ODMで編集しようとしていたが、その過程で偶然、突然変異でできたので、「ゲノム編集」ではない、と(3)。実際に「ゲノム編集」されていることは届け出書類に確認されているので、これはごまかしに過ぎないのだが、結局、このSU Canolaはこっそり市場から消えた。その後、残る「ゲノム編集」食品はCalyxt社の大豆と日本のサナテックシード社のトマト、リージョナルフィッシュ社のマダイ、トラフグだけになった。 “やはり遺伝子操作食品に未来はない その2: 消える「ゲノム編集」食品” の続きを読む

やはり遺伝子操作食品に未来はない その1:遺伝子組み換えサーモン

 遺伝子組み換えサーモン(鮭)をめぐり、再び大激論が米国で交わされている。このGMサーモンは2015年に米国食品医薬品局(FDA)が承認したが、その安全性や養殖方法などに大きな問題が指摘され、訴訟も起こされ、2020年にFDAの再評価を命じる判決が出て、その再評価が11月に提出され、パブリックコメントを受けて、公聴会が12月15日にオンラインで開かれた(1)。
 
 この遺伝子組み換えサーモンは2種類の他の魚の遺伝子を組み込むことで、本来、夏の間しか成長しないサーモンを年中育つようにして、半分の期間で倍以上に育つように遺伝子操作されている。しかし、サーモンの内臓がその成長に耐えられず、胃が破裂するなど異常を来した個体が多く、死ぬ確率も高いという。その安全性やその養殖の環境に与える影響についても疑問符が付けられている。 “やはり遺伝子操作食品に未来はない その1:遺伝子組み換えサーモン” の続きを読む

10年で8割の牛乳をNon-GMOにしたドイツ

 今年を振り返る上で、畜産農家の苦境はその中でも注目が必要だ。政府の政策による苦境と言わざるを得ないのだけれども、政府の根本的な対処は表明されず。防衛費の何分の一で解決するのに。
 このままであれば畜産農家がいなくなる。もし、畜産農家がいなくなり、さらに原料ほぼ輸入の化学肥料もなくなった時、果たして日本はどうなるか考えてみてほしい。
 
 話は変わってドイツの話。ドイツではなんと8割近くの牛乳がNon-GMOだという。でもびっくりするのはこれはほんの10年の変化だというのだ。10年前はドイツでもNon-GMOの割合はわずか5%しかなかったとのこと。この10年にこれだけの変化があった。
VLOGの牛乳でのNon-GMOの割合 “10年で8割の牛乳をNon-GMOにしたドイツ” の続きを読む