花粉症を軽減する遺伝子組み換えイネの隔離圃場での栽培などに関するパブリックコメント。締切10月5日。
スギ花粉への花粉症を軽減させるために、スギの遺伝子をイネに組み込むというもの。除草剤耐性も持つという。
花粉症で苦しむ人にとっては花粉症の治療薬は重要だろう。でも、遺伝子組み換えのお米を食べて、花粉症が収まったとしても別の症状が生まれたらどうだろう? スギとイネは普通の環境では交配することはない。無理矢理スギの遺伝子を入れることで自然界では生まれない生物になるわけで、それを食べることが果たして問題ないか、というのがまず最初の疑問。
今回は隔離圃場だと言っても、フェンスで区切られているくらいで、花粉を封じ込めることはできない。ましてや本格的にこのイネを栽培するということになれば、当然、花粉症対策米以外のイネに交雑していくだろう。花粉症でもない人も含めてスギのタンパクを食べさせてしまうことになっていくのではないか、というのが第2の疑問。
そもそも花粉症を作り出してしまった特定の種のスギばかりを日本国中に植えてしまったその政策がこの問題を作り出した根本原因ではなかったか、そして、国産木材を生かす政策が不十分であったがために、放置されてしまったことがそれに輪をかけたのではないか。だとしたら、根本の原因を解決していかなければ、花粉症は毎年悪化する。スギのタンパクを持つお米を食べることで軽減させるというのはマッチポンプの政策に思えてならない。
今回の評価書はいったん承認された後、止まったものの再開なので、ほとんど十分な検討もせずに了承してしまった感がある。またこの評価のシステム自体がおかしくて、野生の種と交雑しなければいいとされ、日本にはもともとイネはなかったので野生種はないからOK、という評価になってしまう。でもお米は日本の主食であり、それとの交雑によって大きな影響を与えることは十分考えられる。しかし、それは現在の遺伝子組み換え作物の承認では評価の対象にならないのだ。これでは評価のシステムそのものに欠陥があると言わざるを得ない。
この話は一度とん挫していたはず。それを岸田首相が、政策の手詰まり感を解消して、何かやっている感を醸し出すために突然、花粉症対策をやると言い出してから、開発に鞭が入ったのではなかったか? もう岸田首相も退任するわけだし、やっている感を作るための遺伝子組み換えイネの栽培などやめるべきではないか。
これ以外にも懸念はあるが、省略。
こんなイネの栽培には反対する。
遺伝子組換えイネの第一種使用等に関する承認に先立っての意見募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&Mode=0&id=195240044