日米の農民・消費者と環境を痛めつける日米貿易協定

 日米貿易協定の締結で、米国から大量の安い肉が入ってくる。遺伝子組み換え大豆もトウモロコシもぐっと輸入が増える。日本の農業にとって、日本列島に住む人びとの健康にとって災難であって、そんなことが許されるなんてとんでもない(許してはいけない)のだけれども、それでは米国の農家は果たして喜んでいるだろうか?

 特に米国の畜産農家の現状は厳しい。なぜかというと、独立した畜産農家は米国のわずか3%しかない。97%は多国籍企業との契約。しかし、多国籍企業の契約は畜産農家の債務奴隷化を余儀なくさせるものだ。アメリカン・ドリームの一角をなす米国農家に何が起きているのか? 彼らは多国籍企業から政府が農家を保護することを訴えている。

 米国で大きくなったファクトリーファーム、工場のように家畜を詰め込み、抗生物質を毎日餌にまぜ、安い肉を作る。こうした肉は米国では売れなくなってきた。消費者は抗生物質を使わない、遺伝子組み換えの餌も使わないものを求め出す。不人気になるファクトリーファーム。これは健康を害する肉を作るというだけでなく、その農場周辺の水や空気も汚染する。
 そして、家畜の虐待はシステム化されている(抗生物質を与えられるだけではない。くちばしを切り取られるなど)。
 そこで働いている人の健康も害してしまう。そんな犠牲を生まないものに変えたいと考える農家は少なくない。でも、契約に縛られ、変えることができないでいる。この労働に喜びを感じることは困難だろう。

 自由な国、アメリカ、その自由なはずの農家が多国籍企業の指示する通りに従わざるをえず、そしてそれをやったところで、満足なお金を払わない。農家は農園を失わないために必死にやっている。

 実際にそのインタビューを見ると、いかにひどい状況が見えてくる。

 多国籍企業は米国をぶち壊している、と嘆く農家の声を聞いてほしい。日米の対立ではなく、こうした体制を強いる多国籍企業 vs 日米の農家・消費者の対立というのが現実だと思う。
 これが米国の安い肉の実態。問題はこうした食を強いる多国籍企業。現状を知っている現地の人たちは食べようとしない。市場に陰りが出て窮地に陥る多国籍企業を救うのは輸出。日米貿易協定はこうした多国籍企業を救済し、日本の消費者も農家を苦しめ、こうした生産を永らえさせて、米国の農家も結局は苦しめるものになるだろう。
 同様のことが南米でも起きている。それがアマゾン森林火災ともつながっている。
 米国からもブラジルからの肉も一切食べない、不買をすることで、このシステムを追い込む必要があると思う。もちろん、日米貿易協定もノーだし、それを進めた安倍政権も許してはいけない。

Under Contract Official Trailer #1

Farmers Under Contract: Eric Hedrick

米国の安い肉がいかに問題か、包括的に知るためには下記の情報がとても有用。米国内ではこうした問題を避ける方法があるけど、米国からの輸入肉ではまずありえない。米国からの食肉は食べない。
https://foodprint.org/reports/the-foodprint-of-chicken/

添付のイラストは上記FoodPrintの記事から。これは遺伝子組み換えを使ったものではないのだが、交配を繰り返してなんと4倍もの大きさに太らされる鶏。鶏としての生命力には大いに疑問。そこまでして安い肉を食べたくはない。健全な肉が得られないのであれば健全な菜食生活の方がずっといい。

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