『命を守る食卓』(宝島社)をコンビニで!

 鈴木宣弘さん、安田節子さんといっしょに関わらせていただいた本『命を守る食卓』について、本当ならあれこれ書きたかったのだけど、6月出版直後にサーバーの問題でサーバーの再構築までする羽目になり、体調もこれまでにない厳しい状態に追い込まれて、何も書けないまま、時間だけが過ぎてしまいました。遅くなってしまいましたが、この本について書きたいと思います。 “『命を守る食卓』(宝島社)をコンビニで!” の続きを読む

食への権利:食の戦争体制が進む中で

 食料・農業・農村基本法改正案、そして食料供給困難事態対策法案の最大の問題点はここまで日本の食・農をダメにしてきた政策を変えずに「これまでのビジネスをそのままやらせろ」というのが基本になっていて、そんなことをすれば確実にやってくる食料危機に強権使って対応するというセットになってしまっていることだ。
 今、気候危機、生物絶滅危機などの多重危機の進行は予想を超えて進んでおり、このままでは世界全体で危機的な事態に陥る。その中でもっとも脆弱な部類の日本はさらに厳しい状況に追い込まれるから、もっとも機敏に対応しなければならないのだけれども、現在の政権の下ではそれは期待できない。官僚がマイクのスイッチを一度切ってしまったら、オンに戻させることすらできない大臣が構成する政権では無理だろう。 “食への権利:食の戦争体制が進む中で” の続きを読む

食料・農業・農村基本法改正案は飢餓輸出を招く

 食・農業の憲法と言われる食料・農業・農村基本法改正案が昨日衆議院通過。なぜ、農業が限界状況迎えているのに、政府は抜本的な手を打たないか、要するに日本という国が米国へのコバンザメ国家で、米系多国籍企業へのコバンザメ企業が政治を仕切っているから。 “食料・農業・農村基本法改正案は飢餓輸出を招く” の続きを読む

COP28は最初の食のCOPに!? 食を変えるこそ気候危機対策の柱

 気候危機に対処するためのCOP28(国連気候変動枠組条約第28 回締約国会議)が予定された会期の終わりに近づいている。気候危機というと化石燃料をどうするか、ということが大きな焦点だ。石油や石炭消費をどう止めるか、これが重要であることは疑いない。けれども、近年のCOP会議で焦点の1つになり始めているのが食・農業である。なぜかというと食のシステムは温暖化効果ガスの3分の1を直接排出、間接に排出しているものも含めるとほぼ半分を占めるとも言われる。つまり気候危機を解決するには食を変えなければならない。
 またたとえ排出を減らしたとしてもすでに大気は温暖化効果ガスで満ちており、気候危機は止まらない。大気中に放出された温暖化効果ガスは地球の気候を不安定にし続けるからだ。しかし、世界大で生態系を守る農業に転換することで地球上の最大の炭素の保存庫である土の力を取り戻し、炭素を蓄積する力を回復させることで、食は気候危機を緩和させていくこともできる。だからこそ、食の問題は気候危機対策の中心に躍り出ざるをえないのだ。 “COP28は最初の食のCOPに!? 食を変えるこそ気候危機対策の柱” の続きを読む

食料危機をどう回避する? 乗り越える?

 食料危機に日本は明らかに脆弱すぎるのになぜ日本政府はこれまで抜本的な対策を取らなかったのか? 米国の食料戦略が日本政府の思考の前提となってしまっているからだ。飢えるかもしれないという事態に対して、政府官僚は「解決策は農産物輸出だ」などと平気で応える。民が飢えるのにどうして農産物輸出? なんでそんなに愚かなの? エリートなんでしょ? なぜそうなってしまうかというと、彼らが米国の農産物輸入が大前提というマインドコントロール状態だからだ。食料自給率を上げたら、輸入ができなくなってしまう。彼らは食料自給率を上げるポーズを見せるが、本音では御法度なのだ。だから「日本の農業の発展は輸出以外ない」という話になってしまう。
 でも、弱った日本の農業でなぜ輸出で稼げるの? そこで持ち出されるのが技術依存政策(しかも「ゲノム編集」などのバイオテクノロジー)になる。
 
 この輸出・技術依存政策は彼らの農業政策の柱である。でももちろん、輸出で儲かるのは一部の企業だけだ。しかも成功する確率は高くない。その利益のおこぼれは農家にはほとんど届かない。 “食料危機をどう回避する? 乗り越える?” の続きを読む

三倍体は養殖に適していない、ノルウェー政府が10年の調査を発表

養殖魚に関するもう1つの情報、三倍体。
 三倍体は魚だけでなく、植物でもある。通常の場合は雌雄双方から1組ずつの2組の染色体をもらう2倍体が有性生殖をする生命の基本なのに、これを3組持ってしまうもの。減数分裂できないので、不妊になる。それを利用した「品種改良」も行われてきているが、この3倍体の養殖サーモンは健康などに問題があり、養殖に適さないとノルウェー政府の食料規制機関は報告を出した(1)。 “三倍体は養殖に適していない、ノルウェー政府が10年の調査を発表” の続きを読む

食料・農業・農村基本法見直しについて

 食料・農業・農村基本法改正に向けた農水省との意見交換会が3月29日に開かれた。農業消滅や食料危機が現実性を帯びている今、日本での食のあり方を大きく変えることは不可欠のことだろう。では、農水省の見直しの内容はどう評価できるだろうか?
 
 残念ながら、根本的に見直しの内容を見直さなければ現在の危機的な流れを変えることはできないと言わざるを得ない。 “食料・農業・農村基本法見直しについて” の続きを読む

コオロギ食・工業的昆虫食推進にノー

 コオロギ食をめぐってSNSが騒がしい。イナゴなどの伝統的昆虫食と違う問題がそこにある。岸田首相が予算委員会で推進宣言したフードテックだが、その推進ビジョンのロードマップによるとすでに昨年にコオロギの生産ガイドラインは完成していて、今後、他の昆虫のガイドラインが作られていくことになっている。
  “コオロギ食・工業的昆虫食推進にノー” の続きを読む