あれこれ、調べていくうちに農水省が2010年に自家増殖の規制に関連して農家から意見を聴取した文書があった(文書の作成日時は2010年11月11日)。
「苗を自家増殖しないといい多彩な菊が消費者に安価にて提供できない、海外の輸入菊に対して対抗できない、苗会社においても菊の苗を確実に安定して供給できるかが一番問題である」「後継者ができなくなる恐れがある」「現状、厳しい経営の中でこのような改正を行うと、逆に種苗会社側に痛手があるのでは?」
「果樹農家はここ何年かの価格低迷に生産意欲さえ薄れるような状況にあります。(中略)新品種による消費拡大を進め、農家の経営安定を図る為にも、農家の自家増殖による早期生産振興のためにも格段の配慮が必要と考えます」 “自家増殖規制に反対の農家の声” の続きを読む
種苗法の生みの親の怒り
種苗法改正案の審議、衆議院を11月19日に通過し、昨日、1日の審議、そして12月1日に追加の審議をして、もう採決するという。結論ありきでまともな審議になっていない。形だけ。どこか外の世界で決められて、それを農水省・政府は適当に取り繕うだけ。国会は完全に形骸化させられている。批判は誤解と言い換え、すべてにフタをして政府は対応を変えようともしない。 “種苗法の生みの親の怒り” の続きを読む
窮地に落ち込む地域の種苗の状況を解決しない種苗法改正
明日、種苗法改正案、参議院農林水産委員会で審議される。法改正案の説明はデタラメであることは衆議院の農林水産委員会でも明らかにしたところ。農水省からはそれへの反論すらなかった。無視して採決。
さて、それではこの法改正は農水省が言うように、日本の新品種開発力を上げて、日本の農業を栄えさせるものになるだろうか? 残念ながら、なりようがない。 “窮地に落ち込む地域の種苗の状況を解決しない種苗法改正” の続きを読む
食料主権、地方自治を危うくする種苗法改正
来週から参議院で種苗法改正法案の審議が始まります。これまで日本の農業を支えてきたタネは農家のタネ、地方自治体・国のタネ、民間企業のタネに分けられると思いますが、中でもお米では圧倒的に地方自治体のタネです。コシヒカリ、ササニシキ、あきたこまちなど日本を代表する稲は福井県、宮城県、秋田県が育成してきました。その割合は99%近くになるのではないかと思います。これを民間企業にやらせたい、というのが種子法廃止から始まる一連の意図であり、種苗法改正法案もその中に位置づけざるをえません。 “食料主権、地方自治を危うくする種苗法改正” の続きを読む
地域の種苗を危うくする日本政府のマスタープラン
本日の衆議院農林水産委員会の審議で明らかになったことの1つ、どうやら政府は与党からも批判の強い農水次官通知を種苗法改正法案成立後、撤回しようと考えているようだ。地方自治体の種苗事業を民間企業に明け渡せと言わんばかりの通知で、これはさすがに与党からもブーイングが出た。でもこれが撤回されたら安心できるだろうか? その逆だ。 “地域の種苗を危うくする日本政府のマスタープラン” の続きを読む
育成者権と農家の権利のバランスを崩す種苗法改正案に反対
今回の種苗法改正、新品種の育成を手掛ける農家の方たちは法改正に前向きで、お前はその方たちの厳しい状況がわかっているのか、という声もかけられます。
もちろん、育種家農家の方たちの権利は守られなければなりません。特に種子繁殖する植物と接ぎ木などで増える栄養繁殖の場合は実情がかなり違うので別のアプローチが必要になると思います。果樹の新品種ですと、一度苗を買ってきて接ぎ木をしてしまったら長く作り続けることができてしまう。これでは育種家は厳しいという声も伺います。
こうした新品種を作る方たちの営みが報われなければならないことは言うまでもないことだと思います。現行種苗法でも契約や農水省の指定を受けることで、育成者権を守る方法は可能であり、維持が困難に陥るような状況になっている場合にそうした方法を使って、育種家の方たちを買って支えることもとても大事だと思います。今、日本の地域の種苗が維持できるかどうかの大変な状況になっていることを改めて認識する必要があると思います。 “育成者権と農家の権利のバランスを崩す種苗法改正案に反対” の続きを読む
衆議院農林水産委員会種苗法改正法案参考人陳述
2020年11月12日、衆議院農林水産委員会での種苗法改正法案に関する審議で参考人として招致され、陳述してきました。実際には時間に迫られて飛ばした部分もここでは原稿のまま乗せています。実際の陳述は末尾にYouTubeのビデオで見ていただけます。 “衆議院農林水産委員会種苗法改正法案参考人陳述” の続きを読む