農産物検査規格の見直し:地方自治の基礎となる食への攻撃

 安倍前内閣が設置した規制改革推進会議、米国・多国籍企業の要望に沿った政策作りを行い、ここが決めた政策が日本の政策となる。そこに納税者が選んだ代表はいない。2016年の設置以来、数々の公共資産の私物化(「民営化」と呼ばれる)を行ってきた。
 主要農作物種子法(種子法)廃止を打ち出したのは2016年10月、その半年後には廃止が国会で決定されていた。そして、今、規制改革推進会議は産地品種銘柄の廃止を検討している。 “農産物検査規格の見直し:地方自治の基礎となる食への攻撃” の続きを読む

日弁連、地に堕ちる:種苗法改正法案で農民の権利を切り捨てに

種苗法「すみやかに改正を」日弁連が求める 反対派の不安は「誤解」と反論

 日弁連が種苗法改正の早期成立を求める意見書を出した。この意見書を書いたのは弁護士知財ネットのグループだろう。もともと、かねてから種苗法改正を主張してきたグループである。

 それでは今回の意見書の中身はどうなのか? “日弁連、地に堕ちる:種苗法改正法案で農民の権利を切り捨てに” の続きを読む

今、日本に必要なのは方針の大転換:生態系保護 、小規模分散、地方自治

 日本は世界の動きに背を向けてきた。世界が小規模家族農業を強化しようという時に、大規模化を進め、民間企業に農業を明け渡す時代錯誤な農政を進め、さらに世界が規制を強化する農薬を逆に日本は規制緩和し、日本の農産物が輸入拒否されるまでの事態になった。
 日本の有機認証農地面積では世界98位、有機認証が全農地に占める割合で世界109位。先進国で最下位であるだけでなく、アジアの発展途上国にもかなわない。日本は有機農業、自然農法のパイオニアの国の1つであるにも関わらず、政府の政策によってここまで落ちてしまった。
 種苗の新品種育成でも日本だけ大幅に減り続けている(公的種苗事業は10年で半分に落ち込んでいる)。 “今、日本に必要なのは方針の大転換:生態系保護 、小規模分散、地方自治” の続きを読む

クローズアップ現代の報道の意義:日本の現実を見つめよう

 クローズアップ現代「世界でどう闘う?農産物のJAPANブランド」はとても画期的だったと思う。その理由第1。「モンサント文書」。実際に報道されたのは米国のラウンドアップ裁判でのモンサント社の社内文書(1)。モンサントは自社の研究でラウンドアップの人体への危険性は実際につかんでいながら知らせなかった。これがモンサントの敗訴の決定的な理由となっている。もっとも、番組の時間の多くを使っていたのはバイエル社による弁明で、衝撃は大いに弱められているが、実際に白血病になって訴訟を起こした人のインタビューやドウェイン・ジョンソン氏の裁判の映像含めて、流れたことは意義が大きい。 “クローズアップ現代の報道の意義:日本の現実を見つめよう” の続きを読む

公的種苗制度ともう1つの種苗制度の確立に向けて

 種苗法改正は問題だ、とこちらは書き続けているが、一方で、種苗法改正ではそんなに変わらない、問題じゃない、いや賛成だと言っている農家の方たちも存在する。この種苗問題を紐解いていくと驚くほどの分断がある。それゆえ、その分断を超えて行動することは容易ではない。まず栽培している品種によって状況が違いすぎる。品種開発をする側の農家と使う側の農家も一見利害が対立するようにも見える。でも問題を紐解いていけば解決策は見えてくると思う。どんな問題があるのかを見てみたい。 “公的種苗制度ともう1つの種苗制度の確立に向けて” の続きを読む