だから言わんこっちゃない。三井化学が作る稲の品種「みつひかり」が消えるかもしれない。交配不良で十分な品質の種籾が作れなかったからだという。天候不順が理由にされている。「みつひかり」は稲ではめずらしいF1品種。毎回、異種交配させないといけないからタネを作る負荷も通常の固定種よりも高い。気候変動に弱いことが露呈したと言えるかもしれない。
2017年に種子法廃止を決めた理由は種子法があると民間企業が活躍できないからというものだった。その種子法が2018年に廃止され、すでに5年が経とうとしているのに、民間企業が活躍しているという話は聞こえてこない。 “民間企業だけに種子は任せられない” の続きを読む
下水汚泥の肥料化推進に異義あり
化学肥料の急激な価格高騰を受けて、下水汚泥を肥料に利用する検討を農水省と国交省が進めている。実際に安全な環境の畜産業や人間の糞尿を活用することは汚染物質が入り込まない限り、循環型の生産になるが、広域下水汚泥にはさまざまな汚染物質が含まれるため、PFASなど容易に分解しない汚染物質によって農地を長期的に汚染することになりかねない。現に米国ではすでに日本の農地の2倍近い800万ヘクタールがPFASに汚染されており、閉鎖を余儀なくされた農地もあり、メイン州は下水汚泥の肥料利用を昨年禁止している。
しかし、日本は逆に利用を大々的に進めようとしている。非公開で進めてきた検討の内容が発表された。下水汚泥の利用は有機栽培では許されていないが、特別栽培は地域によっては許されている。それを政府は特別栽培に下水汚泥肥料の利用を認めていない自治体に勧告を出して、認めさせるべきという提言がまとめられたようだ。 “下水汚泥の肥料化推進に異義あり” の続きを読む
フードテック推進ビジョンの行き着き先:工業型食のディストピアにノーを!
フードテック推進ビジョンのパブコメ、締め切り時間(本日23時59分)が近づく。
食のことなんか関心ないよ、という人に一言。これは何より民主主義の問題だということ。本来、国が果たす役割を放棄し、そのツケはすべて市民に来ることになる。 “フードテック推進ビジョンの行き着き先:工業型食のディストピアにノーを!” の続きを読む
フードテック推進ビジョンを批判する:越権行為
1月9日締め切りのフードテック推進ビジョンに関するパブリックコメント、重要なので別の角度から見てみたい。
戦後日本の原則でもあった戦争をしないという国是、そして原発は新設しないという政策が国会での議論もなく、勝手に閣議決定されたのと同様に、いやそれ以上にまったく国会では何の検討もないまま、推進されようとしているのがフードテック。
何が問題か、考えてほしい。
「細胞培養肉はすごい、動物から幹細胞をちょっと持ってくるだけで殺さずに肉が増やせる。しかも気候変動ガスになる牛のゲップも出ないから気候危機対策にもなる」などといいことばかり宣伝文句を並べるけれども、細胞培養が人間社会を根底から覆すくらい、大きな影響を与えかねないことについては語ろうとしない。 “フードテック推進ビジョンを批判する:越権行為” の続きを読む
コカコーラのジュースからPFAS。農水省の下水汚泥利用に声を
昨年末、コカコーラ社のジュース(Simply Tropical Juice)に永遠の化学物質と言われるPFASが含まれているとして、集団訴訟がニューヨーク連邦裁判所で起こされた(1)。PFAS汚染は米軍基地から大量に消火剤などから出されて沖縄や東京など軍事基地のある周辺で大問題になっているが、このPFAS、化粧品から梱包材、農薬など広範に使われていて、大問題だが、”All Natural”を売り文句にしているジュースにも含まれているとすると深刻。
どのような経緯で入ったのか、農薬経由か地下水からか、経緯がわからないが、今後、PFAS汚染がどこまで及んでいるのか、調べていく必要がありそうだ。 “コカコーラのジュースからPFAS。農水省の下水汚泥利用に声を” の続きを読む
あらたな「ゲノム編集」魚の系統が受理
12月5日、厚労省や農水省はリージョナルフィッシュ株式会社が開発した2系統のゲノム編集マダイと1系統のゲノム編集トラフグの届け出の受理を発表した。これは昨年すでに届け出が受理されたものといっしょに届け出されていたものの、全ゲノム配列解析の追加資料の提供が求められていた。今年の4月にその情報が提供され、その届け出が5日に受理された。 “あらたな「ゲノム編集」魚の系統が受理” の続きを読む
「ゲノム編集」食品を押し付ける授業が高校や大学で
政府がやるべきことをやっているのであれば安心できるのだけど、やるべきことはやらずに、やってはならないことばかりをやっていたら不安は募るばかりになる。ため息出るけど、公金使って一体何をやっているんだ、金返せ、と言いたくなるようなことばかり。高校生向けに「ゲノム編集」を受け入れることを前提の「教育」が行われていることを知った。
農林省の農林水産技術会議は昨年、「ゲノム編集」食品の理解促進のためのアウトリーチ活動と称するものを外部委託で行っている(1)。外部委託といっても委託されたのは元農水官僚。なんか身内で税金使ってやっている感があり、その報告書を読んで、無性に腹が立った。
要するに「ゲノム編集」食品を肯定する生徒を増やすためだけの事業で、それを高校や大学対象を中心に行っているというのだ。だいたい、そのカリキュラムは想像つく。「ゲノム編集と自然の変異は区別がつかない」とか、「ゲノム編集を使うとより短期間で効率的に品種改良ができる」とか。要するに「ゲノム編集」は品種改良のためのバラ色の技術だという授業を行い、それを「理解した」ものがどれだけ出たかをチェックする内容だ。 “「ゲノム編集」食品を押し付ける授業が高校や大学で” の続きを読む
混合農薬の新たな毒性の発見と日本の思考停止:グリホシネート規制パブコメ
今の日本の厳しい現状を作り出しているのは他ならぬ思考停止以外ない。「〇〇だから仕方ない」できない理由を見つけて安心するのか、そこで止まる。すべてが止まる。その典型が「すべての原因が日米安保にある」だから何も変えられない? いや、変えられるものも変えられないと決めつけているから変わらないに過ぎない。
メキシコはモンサントの農薬ラウンドアップ(グリホサート)の禁止、遺伝子組み換えトウモロコシの輸入の禁止を決めた。米国に接するメキシコ、その米国政府に絶大な力を持つモンサント(現バイエル)に挑戦する、あまりに無茶、無謀ではないか? まるでアリと巨象、ダビデとゴリアテの戦い。バイエルは米国政府に圧力かけ、米国政府もメキシコ政府を威嚇する。しかしメキシコ政府は怯まない。ついに米国内でメキシコのために遺伝子組み換えトウモロコシではなく、Non-GMOトウモロコシを作ろうという気運まで生まれてきた(1)。 “混合農薬の新たな毒性の発見と日本の思考停止:グリホシネート規制パブコメ” の続きを読む