育成者権と農家の権利のバランスを崩す種苗法改正案に反対

 今回の種苗法改正、新品種の育成を手掛ける農家の方たちは法改正に前向きで、お前はその方たちの厳しい状況がわかっているのか、という声もかけられます。

 もちろん、育種家農家の方たちの権利は守られなければなりません。特に種子繁殖する植物と接ぎ木などで増える栄養繁殖の場合は実情がかなり違うので別のアプローチが必要になると思います。果樹の新品種ですと、一度苗を買ってきて接ぎ木をしてしまったら長く作り続けることができてしまう。これでは育種家は厳しいという声も伺います。
 こうした新品種を作る方たちの営みが報われなければならないことは言うまでもないことだと思います。現行種苗法でも契約や農水省の指定を受けることで、育成者権を守る方法は可能であり、維持が困難に陥るような状況になっている場合にそうした方法を使って、育種家の方たちを買って支えることもとても大事だと思います。今、日本の地域の種苗が維持できるかどうかの大変な状況になっていることを改めて認識する必要があると思います。 “育成者権と農家の権利のバランスを崩す種苗法改正案に反対” の続きを読む

衆議院農林水産委員会種苗法改正法案参考人陳述

 2020年11月12日、衆議院農林水産委員会での種苗法改正法案に関する審議で参考人として招致され、陳述してきました。実際には時間に迫られて飛ばした部分もここでは原稿のまま乗せています。実際の陳述は末尾にYouTubeのビデオで見ていただけます。 “衆議院農林水産委員会種苗法改正法案参考人陳述” の続きを読む

農産物検査規格の見直し:地方自治の基礎となる食への攻撃

 安倍前内閣が設置した規制改革推進会議、米国・多国籍企業の要望に沿った政策作りを行い、ここが決めた政策が日本の政策となる。そこに納税者が選んだ代表はいない。2016年の設置以来、数々の公共資産の私物化(「民営化」と呼ばれる)を行ってきた。
 主要農作物種子法(種子法)廃止を打ち出したのは2016年10月、その半年後には廃止が国会で決定されていた。そして、今、規制改革推進会議は産地品種銘柄の廃止を検討している。 “農産物検査規格の見直し:地方自治の基礎となる食への攻撃” の続きを読む

クローズアップ現代の報道の意義:日本の現実を見つめよう

 クローズアップ現代「世界でどう闘う?農産物のJAPANブランド」はとても画期的だったと思う。その理由第1。「モンサント文書」。実際に報道されたのは米国のラウンドアップ裁判でのモンサント社の社内文書(1)。モンサントは自社の研究でラウンドアップの人体への危険性は実際につかんでいながら知らせなかった。これがモンサントの敗訴の決定的な理由となっている。もっとも、番組の時間の多くを使っていたのはバイエル社による弁明で、衝撃は大いに弱められているが、実際に白血病になって訴訟を起こした人のインタビューやドウェイン・ジョンソン氏の裁判の映像含めて、流れたことは意義が大きい。 “クローズアップ現代の報道の意義:日本の現実を見つめよう” の続きを読む

種苗法改定の背後にある国際的「モンサント法体制」

 種子法廃止・農業競争力強化支援法、種苗法改正の流れと並行して、国際的な動き、日本政府の国外での行動を見ていく必要がある。今、世界の政府に対して、種苗法改正を要求する日本の種苗法改正の国際版シナリオが存在している。その背景には世界各国に「モンサント法」体制を押しつける米国の存在が見え隠れする。米国政府による強制というだけでは説明がつかない。日本はこの体制に一体化し、おこぼれ的利益を得ることを想定しているのだろう(1)。この動きには農水省だけでなく、本来援助機関であるはずのJICAまでが動員されている(2)。 “種苗法改定の背後にある国際的「モンサント法体制」” の続きを読む

種苗法改正に関する農水省のQ&Aに一言

 先の通常国会ではあちこちから批判が噴き出し、審議入りできなかった種苗法改正案、農水省は国会閉会後、すぐに改正案成立のためにいくつも資料を作って、説得に動いています。
 でもその説明にウソが多い。なんでそんな合理的でない説明をするのか、そんなおかしな説明をする時はやはり真意を問う必要がある。でも残念なことにそのウソがまかり通り、マスコミでもそのまま流されてしまうので、しっかりと反論をしないとまずいと考え、農水省が作ったQ&Aを受けて、それに反論する形で文章をまとめました。

 この文章は改変自由で使っていただくことができる形で配布します。コピペして、納得いかない部分は納得の行く文章に書き換えていただいた上、ご自身のブログやSNSなどで使っていただいて結構です。

種苗法改正に関する農水省のQ&Aに一言