種苗法改定の背後にある国際的「モンサント法体制」

 種子法廃止・農業競争力強化支援法、種苗法改正の流れと並行して、国際的な動き、日本政府の国外での行動を見ていく必要がある。今、世界の政府に対して、種苗法改正を要求する日本の種苗法改正の国際版シナリオが存在している。その背景には世界各国に「モンサント法」体制を押しつける米国の存在が見え隠れする。米国政府による強制というだけでは説明がつかない。日本はこの体制に一体化し、おこぼれ的利益を得ることを想定しているのだろう(1)。この動きには農水省だけでなく、本来援助機関であるはずのJICAまでが動員されている(2)。 “種苗法改定の背後にある国際的「モンサント法体制」” の続きを読む

種苗法改正に関する農水省のQ&Aに一言

 先の通常国会ではあちこちから批判が噴き出し、審議入りできなかった種苗法改正案、農水省は国会閉会後、すぐに改正案成立のためにいくつも資料を作って、説得に動いています。
 でもその説明にウソが多い。なんでそんな合理的でない説明をするのか、そんなおかしな説明をする時はやはり真意を問う必要がある。でも残念なことにそのウソがまかり通り、マスコミでもそのまま流されてしまうので、しっかりと反論をしないとまずいと考え、農水省が作ったQ&Aを受けて、それに反論する形で文章をまとめました。

 この文章は改変自由で使っていただくことができる形で配布します。コピペして、納得いかない部分は納得の行く文章に書き換えていただいた上、ご自身のブログやSNSなどで使っていただいて結構です。

種苗法改正に関する農水省のQ&Aに一言

米国にタネを支配されたインドの闘い

 インドのコットンのグラフ。以前は97%がインド在来のコットンだったが、米国のコットンが押しつけられ1%に減ってしまう。
 1947年のインドの独立以来、一貫してその圧力を受け続けてきたことがわかる。インドの独立は植民地支配から新植民地主義への転換に過ぎず、2002年からの遺伝子組み換えコットンもその延長線に過ぎないとも言える。 “米国にタネを支配されたインドの闘い” の続きを読む

世銀が描く世界の農業の民営化(企業による私物化)

 「種苗法改正」が前国会で進まなかったことで産経や日経をはじめとしたメディアが「改正は不可欠だ」「反対している人たちは勘違い」などと連日のように記事を流し続けている。議論なしで即日採決されると思っていた改正案が通らなかったことはよっぽど悔しかったのだろう。

 その論調は種苗法改正は農家の経営に与える影響は無視できる、というようなものばかりで、種苗法改定がどんな文脈で出てきているか一切触れていない。そんな記事ばかり。これまで農家が種苗法を意識する必要はほとんどなかった。だから多くの方がいまだ、あまり問題と感じていない方たちが多いかもしれない。
 でも、もしそのまま法が通ってしまって、10年後あるいは20年後になって、なんでこんなことになってしまったのか、と振り返った時に、2020年の種苗法改定がこんな変化をもたらしたんだよな、と総括されることになるかもしれない。でもそれではあまりに遅すぎる。 “世銀が描く世界の農業の民営化(企業による私物化)” の続きを読む

新たなタネ、食のあり方を模索する世界、無視する日本政府

 未来を先取りして、犠牲を少なくし、より安定した社会を作る。政治を担う人にはそうした姿勢をぜひ持ってもらいたいものだ。ところが日本ではいまだに戦艦大和的な時代錯誤に固執する例がつきない。核エネルギー、石炭発電、「ゲノム編集」などのバイオテクノロジー、種子法廃止・種苗法改悪に向かう動きもその1つと言えるだろう。 “新たなタネ、食のあり方を模索する世界、無視する日本政府” の続きを読む

育種農家と種苗法改定について

 ブドウの育種を手掛ける農家で林ぶどう研究所の林慎悟さんにお声をかけていただき、「種苗法改正」について議論させていただきました。林さんは登録品種マスカットジパングという新品種を育成された方です。しかし、農家による新品種の育成は現在大きな困難に見舞われており、種苗法改正はそれを変えるとして、法改正に賛成されています。
 法改正に賛成される林さんと反対する僕との間で議論は成り立ったか、ご覧いただければ幸いです。 “育種農家と種苗法改定について” の続きを読む

メキシコ:トウモロコシ保護法はトウモロコシ国家管理法?

 生物多様性こそが私たちの命を守ると書いた(1)。その多様性を守ってきた農家のタネが危うくなっている。ラテンアメリカの他の国々でも大きな問題となっている。

 特にメキシコが今、とても危ない。TPPや米国などとの自由貿易協定が大きな制約をもたらそうとしている。 “メキシコ:トウモロコシ保護法はトウモロコシ国家管理法?” の続きを読む