第1次世代の遺伝子組み換え産業の敗北を決定づけるジカンバ承認違法判決

 「巨大な勝利!」と米国の市民組織、食品安全センター(CFS)代表。米国連邦控訴裁判所が3日、モンサントがもちこんだ除草剤ジカンバの環境保護局による承認を違法とする判決を下した(1)。 “第1次世代の遺伝子組み換え産業の敗北を決定づけるジカンバ承認違法判決” の続きを読む

農水省のおかしな説明:「次代の新品種は登録できない」?

 農水省の種苗法改正に関わる説明がちょっとおかしい。もっともおかしいといっても財務省や防衛省で起きているような、ありえないことから比べるとずっとましだし、国会議員や地方議会の議員からの質問に対して、きわめて丁寧に対応はされている。そのことは高く評価できるのだけど、やっぱりおかしいことはおかしいので、指摘させていただきます(昨日予告したその2になります)。 “農水省のおかしな説明:「次代の新品種は登録できない」?” の続きを読む

種苗法改正問題の背景にある農業競争力強化支援法

 前に書いた種苗法改正と公的種苗事業の民営化のことだけれども、そんなことは種苗法改正案のどこにも書かれていないじゃないか、というかもしれない。これが書かれているのは種苗法改正案ではなくて、農業競争力強化支援法の方だ。 “種苗法改正問題の背景にある農業競争力強化支援法” の続きを読む

種苗法:問われる公的種苗事業の存在価値

 この間、種苗法改正をめぐって、さまざまな人たちから質問が農水省に出されているのだけど、この間の農水省の説明や、質問に対する回答に現実との大きなギャップを感じています。
 もっとも、他の情報公開でよくあるように黒塗りの答えが出てくるようなことは一切なく、担当されている農水省の方はとても真摯に答えてくれていて、それはとってもありがたいと思います。そこには今後、同じ方向を歩む可能性も感じられるのだけど、それでも種苗法改正に絡むところはどうにも納得がいかないことばかりなのです。
 そこで納得がいかないことについてまとめてみることにしました。まず、その1。 “種苗法:問われる公的種苗事業の存在価値” の続きを読む

新型コロナウイルス禍と食の行方

 この20年の世界の変化、特に食・農業政策に起こっている変化は巨大なものがある。まず最初の大きな一撃は2007年/2008年の世界食料危機。しかし、それ以上に大きなインパクトを与えたのがこの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症COVID-19の蔓延の事態となるのではないだろうか? “新型コロナウイルス禍と食の行方” の続きを読む

データで見る種苗法改定

 いくつか農水省の登録品種に関するデータをグラフで見てみます。

 最初のものが日本で有効な登録品種数。現段階では9000品種近くになっているのではないでしょうか?(訂正:2018年段階で8315品種なので2020年段階でこの間の推移を見るとそれより微増に留まっていそう)。お花が多くなっています。 “データで見る種苗法改定” の続きを読む

有機農業の問題としての種苗法改正問題

 種苗法改正法案の今国会での審議はほぼなくなった。先月末までこれは与野党で問題にする案件じゃないから審議なしの即決で決める、と言っていたものがここまで変わったのは多くの人たちが国会議員に電話やFAX、メールや署名をしてくれたおかげだと思う。お疲れさまでした! しかし、残念ながら廃案になったわけではなく、次期国会で今度はまったなしで審議されるのでさらに厳しい局面になるだろう。それを前に、現在の法案や政府の施策にどんな問題があるのかまだまだ探る必要がある。

 ここでは有機農業の問題として考えてみたい。有機農業は今、世界で最も成長している産業といえる。この20年足らずの間に世界の有機市場は5倍近く拡大しており、その勢いは止まることを知らない。気候変動問題や生態系の危機が迫られる中、有機農業が持つ役割の大きさにも注目が国際的に集まっている。 “有機農業の問題としての種苗法改正問題” の続きを読む

種苗法改正を考える:新しい世界の動き

 どうやら種苗法改定案は今国会見送りになる可能性が高くなってきたようだ。しかし、廃案になったわけではないので油断はできない。
 もっとも、農水省の職員になって、きまじめに職務を実行している人たちからすると、今回の種苗法改正は長年かけてやってきたことの集大成だと思っているかもしれない。

 1998年、日本は種苗法を改訂して以来、自家増殖を原則禁止にするという方向性は農水省の研究会でもたびたび打ち出されており、現場に混乱を来さないようにたびたびアンケートを実施して、問題少なそうなものから禁止種を増やしてきた。今回はその総仕上げ、ということになる。

 だから、やるべきことを粛々とやってきた、それなのになぜ、騒ぐの? ということになるだろう。でもそれは自分の机の周りしか見ていないからで、世界の動きを見れば、それは考え直さなければならないことがわかるだろう。 “種苗法改正を考える:新しい世界の動き” の続きを読む