南の生物資源を北の企業が特許を勝手に取ってその利用権を独占してしまうバイオパイラシー、最後の例はアマゾンでの例。 “バイオパイラシー問題を考える:アマゾンでの生物多様性保全の取り組み” の続きを読む
バイオパイラシー問題を考える:セラードでの生物多様性保全の取り組み
南の豊かな生物資源を北の企業が自分の発明として特許を申請してしまい、その独占的使用権を得てしまうというバイオパイラシー、次の例はブラジルのセラードでの活動。 “バイオパイラシー問題を考える:セラードでの生物多様性保全の取り組み” の続きを読む
バイオパイラシー問題を考える:ペルーの取り組み
ピープルズ・サミットでのセミナーから(その3)
南の国でのバイオパイラシーは新しい植民地主義であるとして非難されている。
そのバイオパイラシーの次の例はペルーだ。ペルーはブラジルと共にアマゾンの熱帯林を持ち、その生物多様性の豊かさを誇る国でもある。このペルーのバイオパイラシー防止政策は南米で最も進んだものである。
ペルーはコーヒーなど初め、有機農業の盛んな国でもあり、有機農業を汚染する遺伝子組み換えに対しては厳しい姿勢を取ってきた。昨年には10年間の遺伝子組み換え禁止モラトリアムを国レベルで成立させていることにもそれは現れている。
ペルーは2002年8月に反バイオパイラシー法を成立させた(*1)。2004年4月にはペルーの生物多様性へのアクセスと先住民族のコレクティブな知識を守る法(*2)を成立させ、同名の全国委員会を恒常的な機構として作った。この委員会には政府機関の他に、2つのNGOが入り、先住民族の権利が保障されるように動いている。
アマゾンのSacha Inchiをフランス企業が「発明」?
Sacha Inchi(左写真*3)というオメガ3とオメガ6の脂肪酸に富み、3000年にわたり、ペルーのアマゾン地域で先住民族によって耕作され、利用されてきた植物がある。それは先住民族の化粧品であり、栄養価高い食品であり、セラピーにも使われる貴重な生物資源である。
しかし、2006年にフランス企業GreentechがこのSacha Inchiの特許をフランスの特許庁に申請した。彼らはSacha Inchiの実をスキンクリームやヘアークリームとして使うというアイデアを「発明」した、というわけだ。彼らはその実がすでに先住民族が長年にわたり活用してきたという事実を無視していた。
ペルーの全国委員会とフランスのNGOが協力して、この特許の違法性を訴え、ペルーの先住民族がすでにSacha Inchiを化粧品として使えることを知っており、実際に使ってきたこと、Greentechはなんら発明していないことを実証し、彼らの特許が無効であることを訴え、特許は取り消された。
先住民族の伝統的知識は書かれた情報として残されていないことが多い。それに対してペルーの全国委員会はバイオロジカルな資源の情報と先住民族の知識を記録し、先住民族の権利が奪われることのないように活動している。
この後、セミナーはセラードとブラジル・アマゾンでの実践例が続く。
バイオロジカルな資源に関する先住民族のコレクティブな知識を守る体制
Ley N° 27811, del 24 de julio de 2002, mediante la cual se establece el régimen de protección de los conocimientos colectivos de los pueblos indígenas vinculados a los recursos biológicos http://www.wipo.int/wipolex/en/details.jsp?id=3420
(*2)
ペルーの生物多様性へのアクセスと先住民族のコレクティブな知識を守る法
Ley N° 28216 de Protección al Acceso a la Diversidad Biológica Peruana y los Conocimientos Colectivos de los Pueblos Indígenas
http://www.wipo.int/wipolex/en/details.jsp?id=5752
(*3)
Sacha Inchi photo by Crops for the Future
参考情報
- Protection of traditional knowledge, traditional cultural expressions (folklore) and related genetic resources: SELA’s approach (PDF)
- Confronting Biopiracy: Challenges, Cases and International Debates by Daniel F. Robinson
- Protección de los Conocimientos Tradicionales (TK) y Recursos Genéticos (RRGG) en la legislación (PDF)
- Plukenetia volubilis (Sacha Inchi) by Wikipedia
バイオパイラシー問題を考える:ピープルズ・サミットでのセミナーから(その2)
バイオパイラシーとは盗みであり、新たな植民地化を許してはならないという力強いバンダナ・シーバの講演の後、バイオパイラシーの具体例についてのセッションに移った。
最初はアマゾンのブラジル(アクレ州)、ペルー国境をまたがって生きている先住民族アシャニンカのベンキ・ピアンコ・アシャニンカ(Benki Pianko Ashaninka)氏が証言した。 “バイオパイラシー問題を考える:ピープルズ・サミットでのセミナーから(その2)” の続きを読む
バイオパイラシー問題を考える:ピープルズ・サミットでのセミナーから(その1)
Rio92と20年経ったRio+20を比べた時、何に違いがあるだろうか? “バイオパイラシー問題を考える:ピープルズ・サミットでのセミナーから(その1)” の続きを読む
ブラジルへの旅、ちょっと顧みる
ブラジルに多くのNGO、市民運動関係者がやってくるのは20年ぶり。何を感じてくれたかとっても気になる。
ブラジルや南米の運動の魅力は何かと言われると、ひと言でいうのは難しいけど、日本では抽象的な思考の中にしか存在しないことが実際に実践されているということではないか、という気がしてならない。
しかし、たとえば資本主義から離脱しよう、というと日本ではひどく古びたスローガンかイデオロギーだと言われるのが筋だろう。日本では何やかにやの保護がベールになっていて、結局、資本主義の本質が曖昧にされてしまう。そこに多くの人たちが疑問を感じることは少ないかもしれない。でも逆にここブラジルや南米ではその保護が存在しない。多くの先住民族や小農民は露骨な暴力を多国籍企業やそれと一体となった大地主勢力によって日常的に受けている。彼らが資本主義の終焉をと叫ぶのは決して抽象的な絵空事ではなく、毎日繰り広げられる日常の叫びと言えるだろう。
実際に連帯経済という実践をブラジルの民衆運動は作り出したし、今や連帯経済は小さな草の根運動であることをやめて、国をも巻き込んで社会の大きな実体あるものとなりつつある。いわゆる企業中心の資本主義社会とは異なる道を作り出しつつある。そんな彼らの実践を見るのは楽しいし、未来を感じる。
一方、日本ではそうした動きはまだまだ弱いし、企業のプレゼンスがあまりに大きく、無意識のうちに企業的思考にマインドコントロールされてしまう。頭の中をいったんリセットして、あるがままの動きを感じてくれれば得るものは大きいに違いないのだけど、もし、頭の中にある日本の図式を南米にあてはめるとしたらあまりに悲しい結果になってしまうだろう(日本に限らず北の側の市民に陥りやすい構図)。
ピープルズ・サミットの全体集会に参加して、その民衆力とでもいうべきエネルギーに触れて、その力の大きさをあらためて感じた。たぶん、首相官邸を埋め尽くす人びとも同じものを感じたのではないかと思う。南米では民衆運動はその力をすでに向ける方向を定めていると思う。その方向を語る言葉としては日本語では陳腐な響きしかないかもしれないけれども、すさまじく大きな流れになっていると気がつけば気にもならなくなるだろう。それを日本に持ち帰ることができたらこの旅には意味があったことになる。
Rio+20/ピープルズ・サミット:注目すべき会議・イベント(9)6月22日
もうほとんど終わりに近づき、22日に開かれるセミナーはほとんどない。行ったけどキャンセルの可能性もある。
10:00-14:00まで全体会議があるというが、場所が書かれていない。たぶん、Plenária 1からPlenária 5の5つで分散開催されるのではないかと思う。詳細はわからない。
英語への翻訳はなさそう。
日時:22日14:00-18:00
場所:Tent D
主催: アマゾンのREDD監視作業グループ(OBSERVATÓRIO DO REDD Grupo de Trabalho Amazônico – GTA)
Rio+20/ピープルズ・サミット:注目すべき会議・イベント(8)6月20、21日
20日は行動の日。カンデラーリア教会に午後2時から集まりデモが行われる予定。
21日の会議など
日時:21日9:00-11:00
場所:t1b
主催:Agrisud International (French); Technoserve Inc (American); Instituto Vetura (Brazil)
日時:21日11:30-13:30
場所:t1b
主催: ブラジルの労働組合(Federação nacional dos Urbanitários – FNU/CUT)
日時: 21日9:00-11:00
場所:Tent 3
主催:DEMOSVIDA ASOCIACION AMBIENTALISTA DE INVESTIGACION Y DESARROLLO
バンダナ・シーバ、アユトン・クレナキ
日時:6月21日11:00-12:30
場所:Tent 32
主催: Collectif pour une alternative à la Biopiraterie
場所はPlenary 5に移ったという情報あり(あるいはTent 5)。
前者は180、後者は800入るので、足りないと判断した可能性もあり(しかし Tent 5は100しか入らないので考えにくいけど)。もっともFocus on the Global Southのセミナーが入っているので、それがキャンセルされていればの話だけど。いちおうご注意を。
日時:21日11:30-13:30
場所: Tent 6
主催: 被抑圧者の劇場センター(CENTRO DE TEATRO DO OPRIMIDO)
Integração dos Povos, rumo a Nação Pachamama
日時:21日11:30-13:30
場所: Tent 12
主催: Associação Pachamama
日時:21日15:00-18:00
場所:Tent B
主催:サンパウロフォーラム(Foro de São Paulo)
日時:21日11:30-13:30
場所: Tent 25
主催: Xingu Vivo para Sempre(シングーは永遠に生きている運動)
日時:21日11:30-13:30
場所: Plenária 5
主催:Focus on the Global South
日時:8:30-12:30
場所:Tent D
主催:アトランチカ森林NGOネットワーク