合成生物学を使った人造生物肥料に、「ゲノム編集」作物が経済安保?

 解決策があることはわかっている。でも、日本政府はその解決策を完全に無視して、企業の儲けになる、その場しのぎの方策ばかりに突っ走る。エネルギー政策しかり、そして農業政策しかり。その結果、このままでは日本はより深刻な事態に向かおうとしている。
 
 共同通信は政府が経済安全保障推進法に基づき財政支援を通じて育成する「特定重要技術」の対象に肥料生産に関する先端技術を追加したと報道した。この先端技術とは、化学的手法による肥料生産や少ない肥料でも育つ「ゲノム編集」作物なのだそうだ。
 
 経済安全保障推進会議の資料を探して驚いた。化学的手法で作る肥料とは何かというと、「合成生物学、データ科学等の先端技術を利用した肥料成分の有効活用・省肥料化・肥料生産等に関する技術 (バイオ領域)」とある。合成生物学とは究極の遺伝子組み換えと言われ、まさに人造生物を使う技術。


 
 米国では、土壌の中に十分な窒素があるのに窒素を作り続けることを止めない「ゲノム編集」微生物を肥料として開発して、その使用が急速に広がっている。日本では化学肥料は合成生物に作らせて、作物も「ゲノム編集」にしていく、という、バイオテクノロジーまみれの世も末を作ろうとでもいうのだろうか? 化学肥料が得にくいからバイオテクノロジーで肥料も作物も作ろうという世も末の計画ではないか。
 
 地域の栄養循環をつくり出すことができれば化学肥料は不要になる。実際に世界でそうした生産は急速に拡大し続けている。これに対して、日本はわざわざ、遺伝子操作、人造遺伝子によるリスクを作っていくことが経済安保という名前で推進されようとしている。
 
 この動きはなんとか変えさせなければ、みどりの食料システム戦略もこの方向にシフトしていってしまうのではないだろうか? こんな方向に進む必要はないはずだ。本来の農業のあり方を取り戻さなければ、大変な方向に行ってしまう。
 
 
2023年12月1日の米国での遺伝子操作肥料に関する投稿

遺伝子操作農薬・肥料・種子コーティングに注意!

共同通信の報道
https://nordot.app/1270992550319325312?c=39550187727945729

経済安全保障推進会議
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyo/index.html
3月7日の会議 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyo/dai7/gijisidai.html
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyo/dai7/sankou1.pdf

土壌改良材でカドミウム汚染対策

 重イオンビーム放射線育種米への転換を進める動機として、カドミウム汚染がある。カドミウム汚染対策は万策尽きて、重イオンビーム放射線育種品種に頼るしかない、ということなのか、調べていくと、そうではないことがわかる。海外での研究でも有機堆肥を活用することの有用性が確認されている。その実証研究が日本でも行われていて、土壌改良材を用いることで劇的に下がることがわかった。そして、その土壌改良材を用いた水田で作ったお米が食味コンクールで金賞を受賞した。うまくて安全、というのはこの上ないことではないか。しかも重イオンビーム放射線育種など使っていない。 “土壌改良材でカドミウム汚染対策” の続きを読む

今年を種子主権の年に!

 長周新聞に新年に向けた原稿を書きました。
フードシステムがもたらす多重危機 地域の多様で自由な種を守る元年に
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/33480
 
 今年は種子主権の年に、と個人的には思っています。種子主権というと自家採種の権利と思われてしまうかもしれませんが、それに尽きるものではありません。タネを買う人であっても種子主権は重要です。種子主権とは、タネを自由に選び、自由に育てる権利、タネの決定権と言ってもいいかもしれません。 “今年を種子主権の年に!” の続きを読む

2025年、世界では止まった有機農業バッシングに日本はどうなる?

 2024年の振り返り。世界では2020年〜2024年にかけて有機農業バッシングが猛威を振るった。でも、世界ではそのバッシングの中でも有機農業はがっしり根をはり、バッシングを跳ね返しつつある。光が見えたのが2024年だったかもしれない。
 一方、来年以降、周回遅れの有機農業バッシングが日本を襲う可能性が高いと危惧する。有機農業は気候危機、生物絶滅危機などの多重危機の不可欠な解決策。どう攻撃から守れるか、世界の動きから考えてみたい。 “2025年、世界では止まった有機農業バッシングに日本はどうなる?” の続きを読む

消費者庁消費者基本計画に関するパブリックコメントにコメントを!

 日本の政治の劣化を象徴するのが消費者庁かもしれない。「消費者」という名前を打った官庁なのに、消費者の利益や権利は無視して、企業のための政治を推し進める、いやそれどころか、消費者庁の中に企業の人たちがそのまま入ってきていることもわかっている。企業の、企業による、企業のための行政官庁に堕したのが消費者庁であって、もう名前を変えてほしい、としかいいようがない。 “消費者庁消費者基本計画に関するパブリックコメントにコメントを!” の続きを読む

グリホサートは脳内炎症、アルツハイマーの原因? 欧州司法裁判所への裁判に注目

 日本の農薬村はモンサント(現バイエル)の農薬、ラウンドアップ(主成分グリホサート)の安全性は確認された、などと滅茶苦茶な情報を流しまくっているが、こんな状況は特殊日本的。海外ではその危険を伝える最新研究のニュースは続々と止まらないし、海外のホームセンターではラウンドアップは姿を消していたり、訴訟が山のように延々と続いている。
 今回の話はヨーロッパの話。EUはグリホサートの使用を2023年に10年認めてしまったが、その承認が違法であるとして、ヨーロッパの市民団体が訴訟に持ち込んだのだ。歴史的な裁判になると期待が高まっている¹。 “グリホサートは脳内炎症、アルツハイマーの原因? 欧州司法裁判所への裁判に注目” の続きを読む

遺伝子組み換えサーモン事業、破綻

 破産寸前状態が続いてきた遺伝子組み換えサーモンを作るAquaBounty社、ついに唯一残った事業所の閉鎖し、実質的にほとんどの従業員を数週間以内に削減、CEOの辞任を発表。米国とカナダ政府、さらにはPEI州政府の支援を受けながら、消費者が望まない遺伝子組み換えサーモンの事業は続かなかった。
 米国政府がつぎ込んだ公金、そしてPEI州政府からの150万ドルは泡と消えるのだろうか?

“遺伝子組み換えサーモン事業、破綻” の続きを読む

公金が支える遺伝子操作魚企業が破綻寸前

 食料危機を加速する遺伝子操作企業、公金を吸い続けなければ自らを維持すらできない。米国のAquaBounty社、遺伝子組み換えサーモンを開発するも、まったく売れず、ついにその卵の生産拠点のあったカナダのプリンスエドワード島の施設を売却、米国インディアナ州の施設も売却、オハイオ州に新規工場を作るとしていたが、その建設も中断。いよいよ破産、というところで、なんとカナダ政府とプリンスエドワード州政府がAquaBounty社に231,095ドルの資金供与。さっそくその公金のつぎ込みに批判が集まっている。 “公金が支える遺伝子操作魚企業が破綻寸前” の続きを読む