EUの3者協議(欧州議会、欧州理事会、欧州委員会)で「ゲノム編集」生物の規制緩和に関して合意。先日書いたように、これまで「ゲノム編集」生物の表示や特許を「ゲノム編集」生物に認めないことなど強く主張してきた欧州議会が選挙での極右勢力の増加の結果、その姿勢を後退させたことが大きかった。まだ、最終的な投票はこれからで、さらにEUの方針を受け入れるか、各国政府での態度決定などいくつも段階はあるものの、規制緩和が突破される方向性が確実になった。 “EUの3者協議、「ゲノム編集」生物規制緩和で合意” の続きを読む
グローバルなStopUPOVキャンペーン、非難される日本政府
日本政府は国内の政治以上に国際政治では横暴な姿勢が目立つ。もはや、本来基づくべき民主主義の原則を大きく外れ、企業利益のための機関になりさがっていると言わざるを得ない。マスコミがほとんどカバーしないのでやりたい放題なのが現状。マスコミには奮起を願う。
種子法廃止・種苗法改正を基礎付けているものこそ、UPOV条約(1991年版)である。これは種子を育成した種子企業の知的財産権である育成者権を農民の種子の権利に優越させ、世界中で種子企業が利益を上げられるために作られた。反対が強く、世界での加盟は遅々として進まない。しかし、日本政府は世界からの反対も無視して、推進し続けてきた。
日本は1998年にこの条約に加盟し、種苗法も作り替えたが、すぐにUPOVに合わせることは難しかったため、20年以上の時間をかけ、徐々に育成者権を強化させる手段を取った。人びとは知らない間に種子の権利を奪われていき、2020年の種苗法改正で、あらゆる登録品種の種子は育成者の許諾なしに自家増殖できなくなったが、それはこの1998年からのプロセスが一区切り済んだ、ということを意味している。決して、2020年に突然やってきたのではない。 “グローバルなStopUPOVキャンペーン、非難される日本政府” の続きを読む
農民の権利を形骸化する日本政府に世界から非難の声
日本政府は国連の会議で農民の権利を形骸化し、種子メジャーの利益のために動いて、世界の市民団体から非難を受けた。現在の日本政府にとってはタネを守ることよりも、バイオテクノロジー企業の利便のために動くことが重要な行動原理になっている実態を多くの人に知ってほしい。
国連食料・農業植物遺伝資源条約(ITPGRFA)の第11回理事会(GB11)がペルーのリマで11月24日から29日までペルーのリマで開催された¹。この国連条約には農民の権利が明記され、農民の権利の重要性が認識した条約なのだが、このリマでの理事会はその農民の権利をめぐり、激しく対立した。種子企業・バイオテクノロジー企業の利益のために、農民の権利を形骸化させたからだ。特に議長国のスイスや日本の動きには批判が集中している²。 “農民の権利を形骸化する日本政府に世界から非難の声” の続きを読む
種子主権なきタネのグローバリゼーションを止めろ(Stop UPOVグローバリゼーションデーを前に)
人の命を握るものの圧倒的基盤がタネにあることは議論を待たないことだろう。でも果たして、タネをめぐる議論は日本でまっとうに行われてきただろうか? “種子主権なきタネのグローバリゼーションを止めろ(Stop UPOVグローバリゼーションデーを前に)” の続きを読む
米国の有機基準でも「あきたこまちR」はアウト
今月開かれた米国の全米有機基準委員会(NOSB)での人為的突然変異品種(以下IM品種、IM=Induced Mutagenesis)をめぐる議論を読んだ。その議論は有機の原則を踏まえた内容になっていた。そこから読み取れたのはIM品種は排除するという意志だった。日本の農水省とは真逆である。 “米国の有機基準でも「あきたこまちR」はアウト” の続きを読む
EUは「ゲノム編集」生物規制方針を12月3日に撤廃に?
EUは「ゲノム編集」生物を遺伝子組み換え生物として規制する方針をこれまで採ってきた。しかし、12月3日、「ゲノム編集」技術(NGT、新ゲノム技術)が規制緩和されてしまう可能性が高まっている。 “EUは「ゲノム編集」生物規制方針を12月3日に撤廃に?” の続きを読む
超加工食品を知らせない日本の食品表示制度
超加工食品(Ultra-Processed Foods、UPF)といっても、日本ではピンとこないかもしれない。でもそのこと自体がやはり大問題。というのも、今や超加工食品とは健康に与える影響が甚大で規制するのが国際的な課題になっているからだ。でも、日本ではそんな動きがない。超加工食品なんて日本ではないなら問題にならないが、事態は逆。日本のカロリー摂取の約30〜50%がすでに超加工食品に置き換わっているという研究も出ている¹。この現状はまったく大問題。 “超加工食品を知らせない日本の食品表示制度” の続きを読む
超加工食品を規制するグローバルな取り組みを!
近年、気候危機問題は食が主要な要因であることはもう誰の目にも否定できなくなってきた。最近の国連の気候変動問題の国際会議COPではますます食が引き起こす気候変動に議論が向けられ、食のCOPと呼ばれるようになってきた。工業型農業とそれを利用した超加工食品が気候危機を加速している。それだけにそうした食の推進企業もロビー活動に力を割くようになった。COP30(第30回気候変動枠組条約締約国会議)にロビー活動団を送り込んだ巨大アグリビジネス企業の数は300社を超えて、過去最高を更新した¹。ネスレ、コカコーラ、PepsiCo、モンサントを買収したバイエル、化学肥料のYaraは積極的に動いている。高利潤を生む分野を守ろうということなのだろう。 “超加工食品を規制するグローバルな取り組みを!” の続きを読む
