ラウンドアップ(グリホサート)の農薬再評価が日本でも始まる

 世界でその危険性が嫌というほど指摘されている農薬にモンサント社(現バイエル社)のラウンドアップ(主成分グリホサート)がある。世界で最も使われた農薬とも言われ、その影響は甚大。この農薬を安全だとして、各国政府が使用を再承認する上で大きな役割を果たした論文が実はモンサントの社員が関わって作らせたことが曝露され、その論文は最近になって撤回された¹。EUでも安全性の根拠の文章はモンサント社内文書のコピペであることが曝露されている(モンサント・ペーパー)²。つまり、安全性は企業自身が作り出した研究によってでっち上げられ、その虚構を指摘する研究者は職を奪われる。つい最近もイタリアでグリホサートの危険性を包括的に研究していた研究者が職から追われた³。これほど露骨な操作をしていても、政府は安全だと言い続ける。
 
 本来ならばとっくに禁止されているはずの農薬が、未だに「安全」として政府に認定される。その手法は実に姑息な方法だ。つまり、危険を指摘する情報を遮断して、都合のいい情報だけで判断するから安全だという結論が捻り出される。
 
 そして、日本でもいよいよグリホサートの農薬再評価が2月19日から始まる。しかも、この姑息な方法が使われようとしている。ここでは世界の科学的な知見が正当に使われるだろうか? いや、使われる情報はモンサント社を買収したバイエル社など農薬企業自身が作ったリストから採用されるだけ。農水省は情報公募を現在やっていない。そして、グリホサートに関して農薬企業があげている情報を見ると、最新のもので2021年8月31日。つまりそれ以降に発表された研究は一切取り上げられていない。このままでは結論は目に見えている。
 
 しかも深刻なのは、日本の対応が最悪であることだ。米国もEUもトップレベルは買収された状態にあるが、一方で、現場に近い方ではグリホサートの規制が進んでいる。米国ではグリホサートによる健康被害に関する訴訟が20万件近く起こされている(バイエル社の発表では19万7000件。うち13万件では和解し、バイエル社が和解金を支払っているが、未だに6万件以上が裁判での争いの中)⁴。
 その結果、バイエル社はグリホサートを個人向けに売ることを諦めた。現在、米国で売られているラウンドアップの成分はすっかり変えざるをえなかったのだ。そして、多くの米国の自治体(3桁)が道路、公園、学校などでのグリホサートの使用を禁止している。
 EUでも個人向けの販売は大きく規制されており、日本のようにホームセンターでラウンドアップやグリホサート系農薬が常にバーゲンセールとなっている国は先進国には存在しない。
 
 2月19日から始まるグリホサートの農薬再評価、とんでもない状態で始まろうとしていることがわかるだろう。このままでいいのだろうか? この再評価プロセスにものが言えればいいが、再評価が終わった後のパブコメくらいしか、市民が声を出す道は残されていない。でも、それはガス抜きに過ぎず、この再評価自身がおかしいのだ。マスコミは報道しようとしないだろう。だから口コミ、ミニコミなど最大限に使って、この欺瞞を少しでも多くの人に知らせる必要がある。

食品安全委員会 農薬第一専門調査会 2月19日⁵

(1) 2025年12月12日の投稿にまとめました。

ラウンドアップ(グリホサート)の安全神話の崩壊


(2) 2017年9月24日の投稿にまとめました。
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/pfbid02zeXZ2kfZCqej8gjfYzvjHUGV3LzwTPKRoCP1gGinX8KoQNX22m6xR1ARgsvtoASGl
(3) Outrage at European science center as director ousted after study on glyphosate

Outrage at European science center as director ousted after study on glyphosate


(4) Monsanto Roundup Lawsuit Update

Monsanto Roundup Lawsuit Update


(5) 食品安全委員会 農薬第一専門調査会(第46回)の開催について
https://www.fsc.go.jp/senmon/nouyaku/annai/nouyaku_annai_dai1_senmon_46.html
グリホサートに関する農薬分科会での参照論文リスト
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/saihyoka/saihyouka_ka.html
公表文献は募集していない、だと…(怒)
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/saihyoka/kouhyoubunnken_jizen.html

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