これはすごい! 市民の動きが巨大企業の隠蔽圧力をはねのけ、事実が明らかに。米国の子どもたちを含む人たちの尿の8割以上からモンサントの農薬ラウンドアップ/グリホサートが検出される。
米国のお母さんたちが自分たちの母乳に含まれるモンサントの農薬ラウンドアップ(成分名グリホサート)を検査に動き始めたのが2013年。その結果が2014年に出て、全世界に衝撃を与える。でもモンサントは隠蔽を図り、政府機関もその検査の精度が低いといって相手にしようとしなかった。それから8年。ついに国の機関、CDC(米国疾病予防管理センター)が米国の子どもたちを含む尿を検査。8割以上からグリホサートが検出されるという結果となった。
市民がグリホサートのテストをするというのはとてもハードルが高い。お金がかかるし、協力してくれる信頼できる検査機関もなかなかない。
でも、この女性たちの行動が世界を変えていくことになる。Detox Projectが開始され、協力する信頼できる検査機関を得て、世界各地で検査が始まる。フランスでも多くの人が尿を検査することにつながり、ラウンドアップ/グリホサートの規制を後押しする動きになっていった。
市民が金出して、検査するのは大変だ。本来は農薬規制の責任を持つ国が負担すべきものだろう。でも、それを言っていたら始まらないからまず市民が動いた。それから8年たって、米国政府の機関であるCDCが2310の尿を検査し、1885の尿からグリホサートが検出されたという。
グリホサートは腸内細菌のかなりの部分を損なうことが知られている。大腸菌などの悪玉菌はグリホサートには影響をほとんど受けないが乳酸菌などは大きく損なわれる。さらに神経毒、DNAの発現への影響(世代を超えた影響)など、多数の経路から人の健康に影響を与える。もちろん、人以外の生命にも大きな影響を与えていることは確実である。
もっともモンサントそしてモンサントを買収したバイエルは一貫して安全性を主張し、危険性を否定してきた。ところがモンサントは社内調査でグリホサートが健康に悪影響を与える事実をすでにつかんでいたことが裁判で明らかにされている。
米国政府とも緊密な関係にある大企業の利権ゆえ、米国政府の動きはとてもにぶかったが、裁判所は米国政府のグリホサート再承認を無効と判決し、ついにCDCは人体に残留していることを確認した。多国籍企業に牛耳られながらも、米国は修正能力を保持していることを示していると言えるだろう。ラウンドアップ/グリホサートの規制・禁止に大きな一歩になるはずだ。
はたして日本は修正能力を発揮することはできるだろうか?(昨日の東電の責任を認めた判決を引き出した人びとの活動に希望を感じる)
Moms Across Americaの活動を伝えた最初の投稿 2013年3月20日
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/423402691084753
母乳へのグリホサート残留調査結果を知らせる2014年4月8日の投稿
https://www.facebook.com/photo/?fbid=837115906315241&set=a.458373664189469
Detox Project
https://detoxproject.org/
Moms Across America
CDC Finally Tests for Glyphosate in Humans
https://www.momsacrossamerica.com/cdc_finally_tests
日本でも尿でのネオニコチノイド系農薬の残留の調査が始まっている。
https://detoxprojectjapan.jimdofree.com/%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%81%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%83%89%E7%B3%BB%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E5%86%85%E5%AE%B9-%E7%94%B3%E8%BE%BC/