今日は世界各地でMarch against Monsanto(1)。
まともな科学的な検討をすれば結論はとうに出ている。ラウンドアップ(商品名)/グリホサート(成分名)は発がん性があるだけでなく、多数の経路で健康や生態系に影響を与えていることはほぼ確実である。エルサルバドルやスリランカの農業労働者は通常は稀な慢性腎炎で数万人単位で命を落としているが、グリホサートはヒ素などの重金属と結びつくことで慢性腎不全を引き起こすことがわかり、両政府はグリホサート禁止を決めた。子どもたちの鬱が大きな問題になっているが、これもグリホサートや遺伝子組み換えトウモロコシに含まれるBt毒素の影響によって腸内細菌叢が傷んでいることが原因になる可能性が指摘されている(2)。また生殖機能にも影響(3)、さらに神経毒性(4)、遺伝子を傷つけ(5)、世代を超えて影響を与える可能性が指摘されている(6)。ラウンドアップは除草剤で殺虫剤ではないのだが、虫の腸内細菌を損ねたり、幼虫が育つ上で必要な草を枯らせてしまうことで、昆虫も特定の種を激減に追い込んでいる。さらに水生生物など他の生物にも影響を与え、生態系に多大な影響を与えているからこそ、世界中で禁止を求める動きが本格化しているのだ。そうした研究は山のようにある(7)。
そして、すでに各国政府は動いている。エルサルバドル議会は禁止を決定、スリランカ大統領は禁止令を出した(8)。タイ政府も禁止方針を出した。しかし、米国政府の圧力の下、その禁止状態が撤回されてしまう。こうやって禁止が撤回されているのは政治的な圧力であって、安全性が確認されたからではまったくない。逆にその危険性を伝える科学的データは続々と増えている。ところが、企業の側のデータだけをもとに「安全性は確認されている」と強引に政策が変えられてしまう。
本来、EUでもグリホサートはとっくに禁止になっていて当たり前だった。しかし、モンサント、そしてそれを買収したバイエルの圧力で、それが先延ばしにされる。それもいよいよ今年末でお終い、と思われていたら、再び、それが来年の7月に延期されてしまった(9)。1日でも禁止を引き延ばせばその分、利益が回収できる、そして、生命は傷んでいく。
しかし、ラウンドアップ/グリホサートの命脈ももう尽きるだろう。というのももう効かなくなってきて意味を失いつつある。その後継農薬として想定されているのが住友化学のラピディシル(10)。新たな遺伝子組み換えはラウンドアップ耐性からラピディシル耐性のものに変わっていくかもしれない。つまり、日本から March against 住友化学をやっていくことが求められているだろう。
現在、私たちを襲っているさまざまな危機、気候危機、生物絶滅危機、健康危機などの多重危機を作り出した主犯の1つが「緑の革命」。合成化学物質(化学肥料や農薬)で農業をコントロールしようとするもの。その「緑の革命」のバージョン2が遺伝子組み換え。この延長の先には感染症のさらなる拡大など多重危機の深刻化以外ない。
政府は巨大企業の圧力下で、市民が声を上げない限り、企業の利益が優先されていくことは確実。その意味でも、今日こそ、March against Monsanto/Bayer/住友化学
そして、6月22日は以下のデトックス・プロジェクト・ジャパンのイベントへ
設立3周年記念イベント「農薬フリーな明日へー200人の尿検査からわかったことー」
日 時 2022年6月22日(水)13:30~15:30
詳細
(1) アルゼンチン
https://www.facebook.com/events/953476932230460/
フランス
https://combat-monsanto.org/les-resistances/1080-marche-contre-monsanto-bayer-2022-rdv-samedi-21-mai
スイス
https://twitter.com/MaMS_basel/status/1504854650792599554
他にも各地で開催予定
(2) Gut permeability and depressive symptom severity in unmedicated adolescents
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0165032718321116
GLYPHOSATE AND ROUNDUP NEGATIVELY AFFECT GUT BACTERIA
https://detoxproject.org/glyphosate/glyphosate-and-roundup-negatively-affect-gut-bacteria/
Rats fed GM stacked-trait maize developed leaky stomachs
https://gmwatch.org/en/106-news/latest-news/18341-rats-fed-gm-stacked-trait-maize-developed-leaky-stomachs
(3) Glyphosate herbicide disrupts uterine development
https://gmwatch.org/en/106-news/latest-news/17047-glyphosate-herbicide-disrupts-uterine-development
(4) Glyphosate-based herbicide induces long-lasting impairment in neuronal and glial differentiation
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/tox.23549
Toxic Effects of Glyphosate on the Nervous System: A Systematic Review
https://www.mdpi.com/1422-0067/23/9/4605
(5) Glyphosate Breakdown Product, Associated with Oxidative Stress and DNA Damage Among Children
https://beyondpesticides.org/dailynewsblog/2022/04/implications-for-human-health-glyphosate-breakdown-product-ampa-associated-with-oxidative-stress-and-dna-damage-among-children/
(6) Epigenome-wide association study for glyphosate induced transgenerational sperm DNA methylation and histone retention epigenetic biomarkers for disease
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/15592294.2020.1853319
(7) 100 Studies Find GMOs Are Harmful. Who Says GMOs Are Safe?
https://gmofreeusa.org/100-studies-find-gmos-are-harmful-who-says-gmos-are-safe/
(8) 2015年5月26日に書いたスリランカ大統領令に関する投稿
https://www.facebook.com/photo/?fbid=1096772597016236&set=a.458373664189469
Thailand’s reversal on glyphosate ban came after Bayer scripted U.S. intervention, documents show
https://usrtk.org/pesticides/thailands-reversal-on-glyphosate-ban/
(9) Glyphosate: report d’une étude clé attendue par l’UE pour prolonger ou non son usage
https://www.lefigaro.fr/conso/glyphosate-report-d-une-etude-cle-attendue-par-l-ue-pour-prolonger-ou-non-son-usage-20220510
(10) 5月14日に書いた住友化学の新農薬についての投稿
https://project.inyaku.net/archives/6736