米国司法省、バイエルによるモンサント買収を承認。これで後残るのはメキシコとカナダ。承認が完了すると種子・農薬・製薬において世界で巨大なシェアを持つ寡占企業が成立することになる。
この買収によって種子価格がさらに上昇することは確実で、米国のほとんどの農家が反対していた。
果たしてこの買収の行方は明るいか、というとそうとは思えない。モンサントの主力商品はメッキが剥がれてしまっている。モンサントの遺伝子組み換えの2大要素であるラウンドアップ耐性も害虫抵抗性も効果を失いつつある。ラウンドアップの効力喪失対策としてモンサントが出してきた古い除草剤ジカンバとの混合農薬は周辺農場や環境に多大な影響を与え、モンサントは集団訴訟を抱えている。ジカンバの使用禁止が進むのは予想以上に早くなるかもしれない。効く農薬がなくなれば、モンサントの遺伝子組み換え大豆などはただ生産性の低いだけの大豆として見捨てられるだろう。技術的な行き詰まりは解消が容易ではない。
気になるのは、その新しい農薬の作り手として名乗りをあげているのが住友化学であるということだ。もしそれが成功してしまえば、住友化学はよりいっそうモンサント(=バイエル)との一体化を進めていくだろう。
資金を得た新しいモンサント・バイエルは旧来の遺伝子組み換えに代わりゲノム編集やRNA干渉の技術を用いた新しい遺伝子組み換え技術を開発したベンチャー企業を次々と買収を進めるに違いない。そして新たな遺伝子組み換え企業へと生まれ変わりを果たそうとしていくだろう。
もし、それが成功してしまえば、世界の人びとの健康と生物多様性にとっては悲劇的な事態となってしまうだろう。しかし、単純に成功することはきわめて難しいと思う。それは何より、そうした害悪のある技術よりももっと効果的で環境にいい方法の実践が世界的に広がりつつあるからであり、そうした技術の問題点について人びとが気がつき始めているからだ。
米国の反モンサント運動の中心団体の1つであり、有機の食のシステム作りの活動団体でもある有機消費者協会(OCS)の司法省によるバイエルのモンサント買収承認に関する声明
Organic Consumers Association Statement on DOJ Approval of Bayer-Monsanto Deal