毒の同盟CropLifeが国連を握る?

 最近、食料システムという言葉がやたらと出てくる。本来、地域社会を支える食のシステムが大なり小なり世界にはあって、政府もそれを前提にしていた。それをインターネットをバックボーンに農業をデジタル化して種苗から生産、流通まで多国籍企業が国境を越えて握る仕組みができた。これを新しい食料システムとして世界に導入を図っていく。それを進める勢力の核となるのがCropLifeという遺伝子組み換え企業とその周辺企業のロビー団体なのだけど、この団体は国連FAOを丸め込み、パートナー契約をして、今後の世界の農業政策に影響を与えようとしている。
 でも、世界はCropLifeにどう対応しているかをみてみよう。

● CropLifeは遺伝子組み換えトウモロコシとラウンドアップ/グリホサートの使用禁止(2024年まで)を決めたメキシコ政府の決定を覆そうとした。それに対して、メキシコの裁判所が出した答えは却下!(1)
● CropLifeの中核メンバーでもあるバイエル(モンサント)はEUにネオニコチノイド系農薬禁止の撤回を求めた。欧州裁判所が下した決定は却下!(2)
● CropLifeのメンバーはさらに世界各地で訴訟の山。解決できる目処は立たず、相次いで各国政府は農薬規制を強める方向。
 
 要するにもう世界ではCropLife参加企業はどんどん厳しいところに追いやられているのが現状。
 FAOを落として、国連サミットを仕切ってやればこの窮地を脱して、毒薬企業の未来が確保できる、というわけだ。FAOとの提携は毒の同盟と批判されている。だから決して勝てない相手が世界を制覇しているという状況なんかじゃなくて、むしろ世界から追われようとしている勢力が国連買収してなんとか盛り返そうとしているという状況なんであって、それを支援している国が…(省略)。
 
 さて、日本はどう対応しているかというと、このCropLifeを構成する6社のうちの1社が住友化学。また次の経団連の会長に就任する。日本政府は「みどりの食料システム戦略」で住友化学が製造するネオニコチノイド系農薬の代替を謳ったが、その詳細なタイムラインは明らかにされず、とっくに世界の他の国が規制しているものを日本が完全に代替するというのが2040年という扱い。これって、ありえない長さ。住友化学としては「みどりの食料システム戦略」で十分やっていけるどころかメリットたっぷり。
 
 メキシコ政府の遺伝子組み換えトウモロコシとラウンドアップの禁止に対する米国の介入には80の米国市民団体が反対している(3)。闘いのあるところ連帯もある。さて、日本、どうする。毒の同盟の支援を続けるの?

(1) Tribunal mexicano falla en contra de Monsanto-Bayer en disputa sobre uso de glifosato
https://www.aa.com.tr/es/mundo/tribunal-mexicano-falla-en-contra-de-monsanto-bayer-en-disputa-sobre-uso-de-glifosato/2233223

(2) EU Court of Justice rejects Bayer attempt to overturn bee-killing pesticide ban
https://www.greenpeace.org/eu-unit/issues/nature-food/45589/eu-court-of-justice-rejects-bayer-attempt-to-overturn-bee-killing-pesticide-ban/

(3) 80 organizations oppose U.S. interference in Mexico’s phaseout of glyphosate and GM corn
http://www.panna.org/press-release/80-organizations-oppose-us-interference-mexicos-phaseout-glyphosate-and-gm-corn

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