グリホサートは妊娠期間を短縮する

 特に妊娠されている方、家族・知人がいる方は読んでほしい。モンサントの農薬、グリホサートは妊娠に悪影響を与える可能性が高い、ということ、そして日本では遺伝子組み換え食品だけでなく、昨年末にグリホサートを大幅規制緩和してしまっているので、今後、小麦などから大量摂取する可能性があるということ、だからそれを避ける食を選んで欲しいということ。

 モンサントの除草剤グリホサートの摂取によって妊娠期間が短くなってしまう危険が高くなるという研究が発表された。
 グリホサートが与える健康への影響はWHOの発ガン性物質認定だけに留まらず、糖尿病から神経症まで多岐にわたると考えられる。男性の精子にも悪影響を与えて、不妊症にも大きな影響を与えている可能性が高い。フランス、イタリア、オーストリア、ドイツは3年以内にグリホサートの禁止の方針を決めた背景にはこうした問題に対する認識があることは間違いないだろう。
 インディアナ大学などによる研究で、グリホサートの摂取の多い人は90%以上のケースで妊娠期間が短くなった。このニュースには震え上がらなければならない。なぜなら、日本は昨年12月25日にフランス政府などとは真逆にグリホサートの残留基準値を最大400倍の規制緩和を決めているからだ。
 この規制緩和によってグリホサートをもっとも摂取する危険が懸念されるのが妊婦と幼小児。政府の推定によると、幼小児、妊婦、高齢者、一般と比べた場合、妊婦は理論最大1日摂取量が4344.5、幼小児は2796.8、高齢者は3752.7、一般は3925.0となり、妊婦が最大となる。幼小児は量は少ないが、体重の差を考えれば非常に高いと見なければならない。

 規制緩和以前であれば日本列島住民がグリホサートを最も摂取していたのは遺伝子組み換え大豆からではないかと思われるが、この規制緩和によって、それが小麦にとって変わることになる。小麦は今回6倍規制緩和となっている。なぜ小麦などでのグリホサート残留基準値を大幅に緩和(つまり多く含まれることを寛容)するのかというと、小麦などは今のところ遺伝子組み換えされていないので、グリホサートをかければ枯れてしまう。しかし、収穫直前に播くと立ち枯れして乾燥してくれるので収穫もその後の乾燥作業も楽になるということで、米国などでは年々、このグリホサートの収穫前散布が増えている。その結果、遺伝子組み換えでない作物でもグリホサートの残留量が極端に増えてしまう結果となる。

 以前ならば遺伝子組み換え原料が含まれるものを避けていることで避けられたグリホサート被ばくが小麦などに広がるということになる。
 政府の推定によると、日本で妊婦がグリホサート摂取推定量のトップ10は規制緩和後、こうなる。

小麦 2070.0
大豆 626.0
てんさい 616.5
大麦 264.0
さとうきび 248.2
なたね 162.0
そば 54.0
ごまの種子 36.0
とうもろこし 30.0

単位は理論最大1日摂取量

 やはりもっとも警戒しなければならないのは小麦となる。日本ではまだ収穫前のグリホサート散布は小麦では行われていない(残念ながら大豆では行われている可能性がある)ので注意しなければならないのは輸入小麦となる。「てんさい」と「さとうきび」は砂糖だろうか。

 どのようにグリホサートを避けるか?

 可能な限り、米食を中心として、小麦食品は国産小麦で作られているもの、できれば有機小麦を選ぶようにする、もちろん、遺伝子組み換え食品は避ける。
 でも小さなお子さんがいると小麦を避けるというのは難しいだろう。パスタ、うどんなど、子どもの好きな食品に小麦は多く使われているから。安全な小麦で作った食品を確保できるように生協や産直、食品産業に関わる方たちにも声を大にしてよびかけたい。
 そして、日本でもグリホサートを禁止する声を大きくしていきたい。

 もう1つひっかかったのが都会の女性よりも地方の女性の方がグリホサートの摂取量が高いという点だ。
 飲み水の問題ではない、食べものには大きな差がないとすると、経路は呼吸からだろうか? グリホサートは米国の河川、地下水、さらには雨や空気からも検出されるという。グリホサートの空中散布などをしている地域では特に呼吸からの摂取が気になる。
 日本ではグリホサートの危険が報道されていないこともあって、それほど危険な農薬であるという認識がなく、無防備に播く人も少なくないと聞く。これはもっとも危ない。
 農薬は消費者の健康問題である以上に農業に携わる人びとの健康に格段に影響を与える。使わなくてもいい代案を見つけるのは大変かもしれないが、急務であることはいうまでもない。
 フランス、イタリア、オーストリア、ドイツは3年以内に代替案を確保してグリホサートを禁止しようとしている。日本でもその議論を進めなければならないと思う。

グリホサートが妊娠期間を短くする影響についての研究レポート
Glyphosate exposure in pregnancy and shortened gestational length: a prospective Indiana birth cohort study

妊婦の作物別グリホサート推定摂取量

幼小児の場合

昨年12月25日のグリホサート規制緩和についてまとめた記事

ブリュッセルはEUのグリホサート5年使用承認に異議を申し立てている。

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