遺伝子組み換え、農薬に関する日本の情報統制が解ける?

 なぜ日本は世界と真逆の動きになるのか? 世界で規制が進むラウンドアップ/グリホサート。日本は逆に最大400倍の規制緩和、販売量も増え続ける。その原因は日本国内での情報統制にあった。そしてそれが今、解け始めた? 日本も変わる!!
 
 世界が見放し始めているラウンドアップ/グリホサート。しかし、米国政権はグリホサートを他の国が禁止したり、規制したりするとすぐに関税などを使った報復、発展途上国には援助の停止をちらつかせて撤回させる。でも、規制に向かう動きは止められない。スリランカは2014年に禁止(後、一部緩和)、ベルギー、オーストリア、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルクなどが禁止に向かっている。そして、すでに当の米国内でもラウンドアップの販売を停止するスーパーも増えている。そして、使用を禁止・規制する自治体も100を超した。この自治体では公園や学校、道路の除草への使用を規制・禁止している(1)。

 でも日本は2017年に最大400倍のグリホサートの使用緩和。日本ではラウンドアップの売り上げは増え続けている。日本はなぜ世界と真逆に進むのか? それは日本では市民が知る回路が閉ざされているから。テレビ、新聞、週刊誌にラウンドアップ/グリホサートの批判記事が出ると、日本での販売代理店である日産化学や旧モンサント(バイエル)やシンジェンタなどの遺伝子組み換え企業が金を出しているバイテク情報普及会(2)から警告が送られたり、農薬工業会に抗議される。
 日本政府はグリホサートの安全性を確認しているのに、非科学的な報道をした、として非難し、残念なことに多くの報道機関がその「非」を認め、謝罪文を提出しているというのだ(3)。

2013.11.19 テレビ大阪10/5放送内容 謝罪文と訂正放送放映
2013.12.04 毎日新聞10/22記事 謝罪文とお詫び記事掲載
2014.06.02 琉球新報4/30記事 謝罪文と訂正記事掲載
2014.07.11 週刊文春4/17記事 謝罪文書受領
2014.12.24 週刊プレイボーイ11/24記事 謝罪文と訂正記事掲載
2016.04.27 NHK 11/25BS放送 釈明文受領
2019.01.30 女性自身1/29号 謝罪文受領

 でも果たしてその警告は本当に科学的な根拠に基づいているのかというと、それは怪しい、というか全然、基づいていない。グリホサートの危険性を指摘する科学的な研究は世界にすでに多数出ており、その論文はピアレビューされてデータも公開されている。一方、グリホサートの安全性を指摘する科学的論文はどうかというと公開され、ピアレビューされたものではほとんどない。検証できない情報ばかり。
 EUでの規制機関EFSAの評価書での安全評価のほとんどがモンサント社内の文書のコピペで作られていたことが曝露され、モンサント文書(Monsanto Paper)という名前で大きなスキャンダルとなった。つまり、安全性の根拠となる客観的に評価された研究はほとんどないため、安全性を主張するためにはモンサントが作り出した文書をコピペするしかなかったということなのだ(4)。

 真に科学的に論争をすればラウンドアップ/グリホサートの旗色は悪い。だから、買収済みの各国政府にモンサントは圧力をかけ、安全であるとする評価書を出させたのだろう。米国も、EUも、日本もグリホサートは安全であるとする評価書を出している。そして、その評価書を錦の御旗として、グリホサートの危険性を報道する日本のマスメディアに圧力をかけていたというのがこれまでの現実。日産化学は新聞、雑誌、テレビで批判的報道があればすぐに謝罪を求める抗議文を出し、SNSも24時間監視しているとしている(5)。こうした中、多くの日本人は知る機会を奪われていたというのが現状だと言えるだろう。
 しかし、日本のメディアも日本を含む世界でグリホサートの危険を指摘する研究が多数あることを知っていれば、抗議文が来ても謝罪文を出す必要もない。反論すれば相手は窮する。国の権威しかなく、その根拠となる科学的データはないのだから。一方で危険を指摘する研究はすでにいくつも知られている。だから海外メディアは日本のように自己規制せずに報道できる。
 こんなことで海外では当たり前のことが日本ではほとんど誰も知らないということになってしまう。メディアが沈黙することで農薬の規制緩和が進む。被害は人知れずに拡がっているだろう。
 これはもう犯罪的と言える事態である。論争すれば勝てるのに、残念ながら、そこまで腹の据わったメディアはなかったのが日本の現実だった。

 ところがそれが現れた。週刊新潮、6月11日に発売された6月18日号で日産化学の謝罪を求める抗議文や農薬工業会による批判に堂々と反論を掲げた。日本で規制緩和されるネオニコチノイド系農薬がもたらす被害やラウンドアップ/グリホサートの問題を日本の科学者たちの研究成果を使って、反論した(6)。日本の研究は決して世界に引けを取っているわけではなく、EUでの農薬規制のきっかけを作った優れた研究も日本に存在している。ただ、日本にはそれを生かす政治がなかっただけ、生かせれば日本も大きく変わることができる。
 この間、ずっと屈服させられてきた日本のメディアの中で、週刊新潮がこのような反論記事を掲げたことには歴史的な意義を感じる。
 広告見るとどうしても右側の人や左側の人に目が奪われがちですが、肝心なことは真ん中にありますので、ぜひ買って読んでください!
 
 
(1) グリホサートの規制状況
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/3272881229405351

(2) バイテク情報普及会
https://cbijapan.com/about_cbij/

(3) 日産化学:ラウンドアップの現状説明会
https://www.nissanchem.co.jp/news_release/news/n2020_01_23.pdf#page=30

(4) モンサント文書問題
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/3069376656422477

(5) 日産化学:ラウンドアップの現状説明会
https://www.nissanchem.co.jp/news_release/news/n2020_01_23.pdf#page=28

(6) 週刊新潮6月18日号
https://www.facebook.com/shukan.shincho.official/posts/2567454416854977/

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