やはり遺伝子操作食品に未来はない その1:遺伝子組み換えサーモン

 遺伝子組み換えサーモン(鮭)をめぐり、再び大激論が米国で交わされている。このGMサーモンは2015年に米国食品医薬品局(FDA)が承認したが、その安全性や養殖方法などに大きな問題が指摘され、訴訟も起こされ、2020年にFDAの再評価を命じる判決が出て、その再評価が11月に提出され、パブリックコメントを受けて、公聴会が12月15日にオンラインで開かれた(1)。
 
 この遺伝子組み換えサーモンは2種類の他の魚の遺伝子を組み込むことで、本来、夏の間しか成長しないサーモンを年中育つようにして、半分の期間で倍以上に育つように遺伝子操作されている。しかし、サーモンの内臓がその成長に耐えられず、胃が破裂するなど異常を来した個体が多く、死ぬ確率も高いという。その安全性やその養殖の環境に与える影響についても疑問符が付けられている。 “やはり遺伝子操作食品に未来はない その1:遺伝子組み換えサーモン” の続きを読む

10年で8割の牛乳をNon-GMOにしたドイツ

 今年を振り返る上で、畜産農家の苦境はその中でも注目が必要だ。政府の政策による苦境と言わざるを得ないのだけれども、政府の根本的な対処は表明されず。防衛費の何分の一で解決するのに。
 このままであれば畜産農家がいなくなる。もし、畜産農家がいなくなり、さらに原料ほぼ輸入の化学肥料もなくなった時、果たして日本はどうなるか考えてみてほしい。
 
 話は変わってドイツの話。ドイツではなんと8割近くの牛乳がNon-GMOだという。でもびっくりするのはこれはほんの10年の変化だというのだ。10年前はドイツでもNon-GMOの割合はわずか5%しかなかったとのこと。この10年にこれだけの変化があった。
VLOGの牛乳でのNon-GMOの割合 “10年で8割の牛乳をNon-GMOにしたドイツ” の続きを読む

「ゲノム編集」食品が外来DNAを含まないという主張がウソである理由

「ゲノム編集」食品は外来の遺伝子や塩基が入っていない、だから自然と同じと政府や推進企業は言うけれども、それは何重にも誤り。『ゲノム編集ー神話と現実』の著者クレア・ロビンソンさんがそれを実際の研究論文に基づきながら説明している。 “「ゲノム編集」食品が外来DNAを含まないという主張がウソである理由” の続きを読む

CBD COP15:生物多様性を危機に陥らせる技術の禁止を!

 カナダのモントリオールで開かれている7日から19日まで国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)、大事な会議だけど、日本からの関心はどこまで集まっているか? 生物多様性が失われて、たとえばハチが絶滅すれば、人類は絶滅に瀕するとも言われるし、サンゴが絶滅したら、海は半分くらい死の世界になってしまう。当然、人の生存にも関わる。
 それほど切羽詰まった課題なのに、その肝心の課題に人類は十分取り組めなくなっている。というのも、危機に陥っている生物多様性を守ること以上にそれを破壊する技術を止めることに必死にならなければならないのが実情になっているからだ。今、どんな技術が現れてきているか、確認したい。 “CBD COP15:生物多様性を危機に陥らせる技術の禁止を!” の続きを読む

ご支援のお願い

年も押し詰まってきましたが、感謝とお詫びと現状報告をさせていただきたいと思います。
 おかげさまでなんとか今年も活動を続けることができました。2017年以降、個人での活動になって、5年近くになります。組織の力に頼らない活動は多くの方のご支援なしには不可能でした。 “ご支援のお願い” の続きを読む

あらたな「ゲノム編集」魚の系統が受理

 12月5日、厚労省や農水省はリージョナルフィッシュ株式会社が開発した2系統のゲノム編集マダイと1系統のゲノム編集トラフグの届け出の受理を発表した。これは昨年すでに届け出が受理されたものといっしょに届け出されていたものの、全ゲノム配列解析の追加資料の提供が求められていた。今年の4月にその情報が提供され、その届け出が5日に受理された。 “あらたな「ゲノム編集」魚の系統が受理” の続きを読む

「ゲノム編集」食品を押し付ける授業が高校や大学で

 政府がやるべきことをやっているのであれば安心できるのだけど、やるべきことはやらずに、やってはならないことばかりをやっていたら不安は募るばかりになる。ため息出るけど、公金使って一体何をやっているんだ、金返せ、と言いたくなるようなことばかり。高校生向けに「ゲノム編集」を受け入れることを前提の「教育」が行われていることを知った。
 
 農林省の農林水産技術会議は昨年、「ゲノム編集」食品の理解促進のためのアウトリーチ活動と称するものを外部委託で行っている(1)。外部委託といっても委託されたのは元農水官僚。なんか身内で税金使ってやっている感があり、その報告書を読んで、無性に腹が立った。
 
 要するに「ゲノム編集」食品を肯定する生徒を増やすためだけの事業で、それを高校や大学対象を中心に行っているというのだ。だいたい、そのカリキュラムは想像つく。「ゲノム編集と自然の変異は区別がつかない」とか、「ゲノム編集を使うとより短期間で効率的に品種改良ができる」とか。要するに「ゲノム編集」は品種改良のためのバラ色の技術だという授業を行い、それを「理解した」ものがどれだけ出たかをチェックする内容だ。 “「ゲノム編集」食品を押し付ける授業が高校や大学で” の続きを読む

米国FDA細胞培養肉へのゴーサインは何をもたらすか?

 こりゃないわ。米国食品医薬品局(FDA)はアップサイド・フーズ(UPSIDE Foods)が鶏の細胞を培養して作った細胞培養肉にゴーサイン(1)。この後、米国農務省(USDA)が同様に認めれば米国内の細胞培養肉の流通が始まってしまう。
 「気候変動問題に朗報」とか、「代替肉に需要が高まる」とか報道されていくことだろう。だけど、どうやって作られているのかFDAの提供する情報に目を通したら、唖然(2)。 “米国FDA細胞培養肉へのゴーサインは何をもたらすか?” の続きを読む