ラウンドアップをめぐる動向(デトックス・プロジェクト・ジャパン2周年)

 モンサント(現バイエル)のラウンドアップ(成分名グリホサート)をなくそうとする世界の動きはより確実なものになってきている。
 グリホサートが与える広範な影響も明らかになってきている。米国の裁判ではグリホサートがガンの原因となったことが争点になっているが、人の健康に悪影響を与えるだけでなく、ハチや蝶の激減(1)、さらには土壌の中の微生物にも悪影響を与え(2)、そして害虫や病原菌への植物の防御機能にも悪影響を与えることが指摘されるようになった(3)。 “ラウンドアップをめぐる動向(デトックス・プロジェクト・ジャパン2周年)” の続きを読む

漁業法改正が持つ大きな問題

 私たちの生きる上で不可欠な公共圏を民間企業の独占物にできる法改正があらゆる領域で進行した。農業関連でも種子法廃止、農業競争力強化支援法、種苗法改正、農地法…、これに加え、森林法も、水道法も、法律改正は不要とみなされれば国会審議もまったくなしにさまざまなレベルで進められている。そして、漁業法も改正された。それがどんな問題をはらんでいるのか東大の鈴木宣弘さんの論文をもとに10分間のビデオで全体像がわかる。
 そのさわりを紹介する。漁業でも日本では漁獲量が激減。その原因は大型資本による乱獲、行き過ぎた貿易自由化、大規模小売業を頂点とする流通業界の買い叩きが主因。これまで沿岸漁業者は共同で漁獲して利益は分配する伝統的な「もやい漁業」を行い、資源管理も行ってきた。そのあり方は世界の最先端であると欧米も注目する。しかし、漁業法の大改正はその沿岸漁業者を犠牲に、大型漁業産業を儲けさせるもの。大手による独占が進み、沿岸漁民は職を失ったり、かつての「蟹工船」の世界が出現することが危惧される。… “漁業法改正が持つ大きな問題” の続きを読む

気候変動を解決する自然に基づくとする方法が持つ落とし穴

 植物は光合成によって作った炭水化物のかなりの部分を地中に放つ。植物によって放たれた炭水化物に土壌微生物が群がり、その土壌微生物は植物からの炭水化物をエネルギーとして繁殖していく。そして植物にミネラルや水分をその交換に渡していく。実に見事な共生の関係がここにある。大気中の二酸化炭素は土壌の中に蓄えられる。この機能は気候変動が激化する中、さまざまな方面から注目が集まっている。気候変動を止める炭素固定法の中で、もっとも安全でもっとも有効な方法であるとして。
 昨年、米国の超党派の議員が提案した気候変動解決法案(Growing Climate Solutions Act)は土壌に炭素を蓄える農家にお金を与えるというもので党派を超えた支持を集めている。しかし、この法案に環境団体や農民団体、特に土を生き返らせる環境再生農業(Regenerative Agriculture)を進める団体までもがこの法案に反対している。なぜなのか? “気候変動を解決する自然に基づくとする方法が持つ落とし穴” の続きを読む

RCEPと種苗の知的財産権: UPOV体制は種苗産業を萎縮させる

 改正種苗法によって1975品種が日本から持ち出し禁止になった、と官報に載る。あたかもそれで効果を上げるように各紙も報道するが、根拠はない(1)。そしてRCEP協定(地域的包括的経済連携協定)の国会審議、14日で東大大学院の鈴木宣弘さんが参考人として陳述されるとのこと。午後には院内集会(2)。世界最大の自由貿易圏を作るというのだから十分な審議が必要のはず。種苗の知的財産権に関わる面から問題を見ておきたい。 “RCEPと種苗の知的財産権: UPOV体制は種苗産業を萎縮させる” の続きを読む