モンサント(現バイエル)のラウンドアップ(成分名グリホサート)をなくそうとする世界の動きはより確実なものになってきている。
グリホサートが与える広範な影響も明らかになってきている。米国の裁判ではグリホサートがガンの原因となったことが争点になっているが、人の健康に悪影響を与えるだけでなく、ハチや蝶の激減(1)、さらには土壌の中の微生物にも悪影響を与え(2)、そして害虫や病原菌への植物の防御機能にも悪影響を与えることが指摘されるようになった(3)。
ルクセンブルクは今年から禁止に。ベルギー高等保健評議会も来年までの禁止を勧告(4)。そしてフランス、ドイツ、メキシコも2024年までに禁止する計画。州や自治体単位で禁止・規制は世界で拡がっており、もはやその運命は決まったとしか言いようがないのだけど、残念ながら日本では逆に近年売れ行きが伸びている。
グリホサートが一番使われるのは遺伝子組み換え作物だと思われるだろうが、近年は遺伝子組み換え作物以外でかなり使われるようになっており、その使用は意外なほどに日本で増えている。その汚染度をオーストラリアの研究者が地図で表わしたが、西日本の汚染度は米国の遺伝子組み換え作物栽培地域に近く見える(以下の地図参照)(5)。
なぜ日本ではそうなってしまうのか? 日本では農薬の危険をマスコミがなかなか報道できない。企業からの圧力は強く、情報がなかなか拡がらず、その危険や世界での動きも知らない人が圧倒的に多い。農家の人ですらも。そうであるならば市民が日本での実態を調べて知らせるしかないということで、デトックス・プロジェクト・ジャパンがスタート。2年が経った。その2周年記念の院内集会が5月21日に開かれます。
この分野で第一人者の木村ー黒田純子さん(環境脳神経科学情報センター副代表)から、グリホサートやネオニコチノイド系農薬が子どもの成長にどんな影響を与えるのか、その最新の知見を聴くことができます。この他、実際に日本で売っている食品の中にどれだけグリホサートが入っているのか、農民連食品分析センター所長の八田さんがレポートし、ゼン・ハニーカットさんらと連携して運動している「食べもの変えたいママプロジェクト」は乳幼児食品12品の検査結果を、そして今後出てくることが予想されるRNA農薬について、遺伝子組み換え問題にもっとも早くから警告を発して運動をリードされている天笠啓祐さんが話される予定。僕も「みどりの食料システム戦略」の問題を話します。
院内集会詳細
https://www.facebook.com/groups/388276238417470/permalink/874965299748559/
(1) ラウンドアップ(グリホサート)は除草剤であって、殺虫剤ではないのだけれども、オオカバマダラが激減した主要因はグリホサートにあると考えられる。そしてハチの生存にも影響があるという研究
New Study: Undisclosed Inert Ingredients in Some Popular Roundup Products Found to Be Highly Toxic to Bumblebees
https://www.centerforfoodsafety.org/press-releases/6340/new-study-undisclosed-inert-ingredients-in-some-popular-roundup-products-found-to-be-highly-toxic-to-bumblebees
(2) HHRA Research Partners Publish Groundbreaking Paper with New Insights on Glyphosate’s Impact to the Microbiome
https://hh-ra.org/2021/01/26/hhra-research-partners-publish-groundbreaking-paper-on-glyphosates-impact-on-the-microbiome/
(3) Glyphosate-Modulated Biosynthesis Driving Plant Defense and Species Interactions
https://www.cell.com/trends/plant-science/fulltext/S1360-1385(20)30348-4
(4) Belgium’s Superior Health Council Call for Phase-Out of Glyphosate Herbicides
https://sustainablepulse.com/2020/09/07/belgiums-superior-health-council-call-for-phase-out-of-glyphosate-herbicides/
(5) Roundup contamination ‘unpreventable’, world-first glyphosate research shows
https://www.abc.net.au/news/rural/2020-03-19/international-glyphosate-roundup-hotspot-map/12063156
The global environmental hazard of glyphosate use
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S004896972030677X