遺伝子操作微生物に要警戒。
化学農薬・化学肥料に加えて、農薬企業は今、微生物農薬・微生物肥料に注力しており、すでに米国では使われ始めている。問題なのは天然の微生物を使っているのならともかく、それに「ゲノム編集」や遺伝子組み換え技術が使われて遺伝子操作微生物となっていることなのだ。
日本でも三井化学が遺伝子組み換え微生物農薬の実験場を都内に開設する(1)。しかし、それを伝える新聞記事の見出しは「天然由来品」。忖度もここまで来たか? “遺伝子操作農薬・肥料・種子コーティングに注意!” の続きを読む
食料危機をどう回避する? 乗り越える?
食料危機に日本は明らかに脆弱すぎるのになぜ日本政府はこれまで抜本的な対策を取らなかったのか? 米国の食料戦略が日本政府の思考の前提となってしまっているからだ。飢えるかもしれないという事態に対して、政府官僚は「解決策は農産物輸出だ」などと平気で応える。民が飢えるのにどうして農産物輸出? なんでそんなに愚かなの? エリートなんでしょ? なぜそうなってしまうかというと、彼らが米国の農産物輸入が大前提というマインドコントロール状態だからだ。食料自給率を上げたら、輸入ができなくなってしまう。彼らは食料自給率を上げるポーズを見せるが、本音では御法度なのだ。だから「日本の農業の発展は輸出以外ない」という話になってしまう。
でも、弱った日本の農業でなぜ輸出で稼げるの? そこで持ち出されるのが技術依存政策(しかも「ゲノム編集」などのバイオテクノロジー)になる。
この輸出・技術依存政策は彼らの農業政策の柱である。でももちろん、輸出で儲かるのは一部の企業だけだ。しかも成功する確率は高くない。その利益のおこぼれは農家にはほとんど届かない。 “食料危機をどう回避する? 乗り越える?” の続きを読む
三倍体は養殖に適していない、ノルウェー政府が10年の調査を発表
養殖魚に関するもう1つの情報、三倍体。
三倍体は魚だけでなく、植物でもある。通常の場合は雌雄双方から1組ずつの2組の染色体をもらう2倍体が有性生殖をする生命の基本なのに、これを3組持ってしまうもの。減数分裂できないので、不妊になる。それを利用した「品種改良」も行われてきているが、この3倍体の養殖サーモンは健康などに問題があり、養殖に適さないとノルウェー政府の食料規制機関は報告を出した(1)。 “三倍体は養殖に適していない、ノルウェー政府が10年の調査を発表” の続きを読む
「ゲノム編集」サーモンをノルウェーで海面養殖?
CRISPR-Cas9を使って生殖機能の遺伝子を破壊し、より大きく成長できるようにしたサーモン、ノルウェー政府の検討では否定的な結論になったというが、一方で、EUで「ゲノム編集」生物の規制緩和が準備されていて、それが通れば、こうした問題ある遺伝子操作生物が自然界に放たれてしまうかもしれない。 “「ゲノム編集」サーモンをノルウェーで海面養殖?” の続きを読む
イタイイタイ病、カドミウム汚染の告発はどう可能になったか?
『神通川流域民衆史 いのち戻らず大地に爪痕深く』能登印刷出版部
カドミウム汚染と言えばイタイイタイ病。なぜこの公害病が生まれたのか、そして行政やメデイアはどう動いたか、事態解明・打開を可能にした主体は誰であったかを浮かび上がらせる本。 “イタイイタイ病、カドミウム汚染の告発はどう可能になったか?” の続きを読む
「農薬」と「農毒」:ブラジルではなぜ農毒と呼ぶか?
「農薬」って変な言葉。農の薬? なんで薬というのだろう。実際に薬じゃない。毒で雑草や虫、菌を殺すもの。実際にブラジルでは“Agrotóxico”と呼ぶ。直訳すれば農毒。まさにぴったりの言葉。しかも、これは決して「運動用語」じゃなくて、政府もこの言葉を使っている。方や「薬」、そして方や「毒」、正反対の表現になっている(1)。
なんでこうなるのか、前から疑問だったのだけど、それが1つの記事で氷解した。ブラジルで農毒という言葉を作り出したのは、アグロエコロジー研究者、アディルソン・ディアス・パスコアル氏(2)。
彼は「除草剤(herbicida)」「殺虫剤(Praguicida)」などという表現が本来の持っている毒性を隠すとして、それをしっかり表す言葉として“Agrotóxico”という言葉を作り出して、1977年の著書にそれを書いた。そしてこの言葉はブラジルで広く使われるようになり、1989年にはブラジルの連邦法 (第7,802号)でも使われ、行政用語となった。だから農薬反対運動だけでなく、行政でも社会でも同じ言葉が使われている。 “「農薬」と「農毒」:ブラジルではなぜ農毒と呼ぶか?” の続きを読む
汚染土壌回復の試み:下水汚泥肥料を禁止したメイン州の例
もしあなたが農業を生業にしていて、その農地が汚染されたらどうするだろうか? 当然、汚染した者に責任を取らせようとするだろう。でも相手が強大で責任を取ろうとしなかったら? 取らせたとしても農地はどうなる?
メイン州にあった空軍基地が閉鎖され、その土地は先住民族に返還された。しかし、PFASの汚染度がひどく、農業にも、人の居住にも適さない状態だった。果たして先住民族はその地をどうしただろうか?
汚染源は他にもある。米国メイン州は下水汚泥を肥料に使うことを禁止した。下水汚泥肥料の利用は環境保護局もその利用が安全であり、土壌を調整し、栄養を与える下水汚泥肥料の利用は優れた公共政策だと太鼓判を押していた。でも、その後、その汚泥肥料には永遠の化学物質PFASが含まれ、いくつかの農場は閉鎖を余儀なくされた。
でも、そんな状況の中でも、生きた安全な土、安全な環境を取り戻すための試みが行われている。 “汚染土壌回復の試み:下水汚泥肥料を禁止したメイン州の例” の続きを読む
下水汚泥肥料、なぜここまでノーチェック?
農水省と国交省が力を入れている下水汚泥の肥料利用、懸念が募る。化学肥料の原料が高騰し、入手困難になるということで下水汚泥の利用が進められつつある。安全が確保された糞尿はリン酸や窒素に富み、利用するのは江戸時代から行われている。だけど、江戸時代にない危険な物質に満ちた現在、果たして安全は確保されているか、疑問に感じざるをえない。 “下水汚泥肥料、なぜここまでノーチェック?” の続きを読む