「ゲノム編集」食品といっても流通しているのは世界でも日本のトマトと魚くらいだった。でもこれまで「ゲノム編集」作物流通の拡大にストップをかけてきたEUの動向によっては劇的に変わるかもしれない。米国で昨年いったん商品化された「ゲノム編集」からし菜が年末あるいは来年初頭に米国の市場に出る見込みだという警鐘が米国のNon-GMO Projectから届いた。問題はからし菜に留まらない。
バイオテクノロジー企業Pairwise Plants社は昨年、「ゲノム編集」からし菜の商品化を行った。しかし、市場を広げる上での困難に直面し、その能力を拡大させるためにパートナーを探すために販売をいったん停止した。そのパートナーが決まり、10品種の「ゲノム編集」からし菜の本格的な販売へと乗り出すことになった。
そのパートナーとはモンサントを買収したバイエル。このパートナーシップは包括的・長期的なもので、すでにトウモロコシや大豆、小麦、綿花、ナタネですでに27の新しい形質を作ることに成功し、バイエルに提供されたという。もし、遺伝子組み換え農業の基軸となる大豆、トウモロコシなどで動き出せば、巨大な動きになってしまうかもしれない。
Pairwise Plants社は独自のCRISPR技術Fulcrum ™プラットフォームを開発し、その技術を他社に提供して、その他社が「ゲノム編集」バナナやコーヒー、土壌改良材などを開発している。さらに同社はバイエルのライバルの遺伝子組み換え企業であるコルテバとも技術提携を発表している。
Pairwise Plants社がキーとなって、本丸の遺伝子組み換え企業が「ゲノム編集」品種の市場化に乗り出す体制が整いつつあると見た方がいいのかもしれない。
一方、バイエルは韓国のバイオテクノロジー企業G+FLAS社と連携して、ビタミンD3を強化したトマトの開発にも取りかかっている。
もしEUが規制緩和をしてしまうと、これらの「ゲノム編集」食品が一気に世界の食卓に向かう可能性がある。そうすれば、規制も実質ほとんどない遺伝子操作食品の天国が実現してしまいかねない。それだけにEUでの動向には注目せざるをえない。
New GMO Alert: They’re Back! The Return of GMO Mustard Greens!
https://www.nongmoproject.org/blog/new-gmo-alert-theyre-back-the-return-of-gmo-mustard-greens/
EUの動向(2月7日)について印鑰がまとめた投稿
2月の決議に基づき、「ゲノム編集」生物の検出方法の動向について印鑰がまとめた投稿