放射線育種米「コシヒカリ環1号」「あきたこまちR」の問題、推進側は使われているのは歴史も長く世界で広く使われている技術なのだから安全で問題ない、と言っています。だけど、おかしいのは、実は使われているのがその実績のある技術とは違う技術であることです。そして長く使われているとしている技術は実は世界では終わった技術で、日本でも昨年、ひっそりと終わりになっているのです。だから、この言い方はまったくおかしいと言わざるをえません。
つまり「コシヒカリ環1号」には従来のガンマ線を照射する放射線育種ではなく、イオンビーム照射によって放射線育種されたもので、この技術は世界広く行われているものでもなく、そしてこれによって育成された品種もわずかしかないのです。
だからまず、このガンマ線育種とイオンビーム育種を分けて考える必要があることを提案しました。
しかし、同時にこれまでのガンマ線による放射線育種をどう捉えるのかも問われるべきでしょう。ガンマ線による放射線育種をどう捉えるべきか、どう対処すべきか、考えたいと思います。 “終わりを迎えたガンマ線放射線育種品種をどうすべきか?” の続きを読む
グアテマラで再び「モンサント法案」世界で進む危険な動き
「モンサント法案」がかつてラテンアメリカ中を駆け巡った。「モンサント法案」とは農家に数少ない企業の種子を使うことを強制し、在来種の自家採種による農業を実質的に不可能にしてしまう法案を意味する。でも、ラテンアメリカの農民は大きな運動を起こして跳ね返した国も少なくない。たとえばグアテマラは2014年のサッカー・ワールドカップのどさくさに議会が「モンサント法」を承認してしまったが、全国的な抗議行動を受けて、裁判所はその法成立を無効とし、議会も撤回を決めた(1)。
でも、いったん潰した「モンサント法」がグアテマラで再び甦り、議会に提出された(2)。 “グアテマラで再び「モンサント法案」世界で進む危険な動き” の続きを読む
重イオンビーム放射線育種正当化のおかしな論理
農水省や「あきたこまちR」などの「コシヒカリ環1号」系品種を擁護する人たちがいつも繰り返すのは「放射線育種は長い歴史があり、その品種も日本や世界で広く普及している」ということだ。
しかし、これはとんでもない飛躍がある言い分だ。というのも長い歴史がある放射線育種はガンマ線照射であって、この技術はもうすでに終わった技術なのだ。米国は基本的に軍事研究のみで実質的に終わりにして撤退してしまったし、効率が悪く、その施設は世界でもほぼ閉鎖されている。日本はそれでも続けてきたが、昨年閉鎖になった。
これに対して、「コシヒカリ環1号」系品種は重イオンビーム育種であり、この技術を使っているのは日本の他にどこにあるのか、と農水省に聞くと、答えが返ってこない。世界が捨ててしまった放射線育種にこだわっている国は日本くらいしかないのだろう。重イオンビームを育種(品種改良)に使っているケースはほとんど聞いたことがない。 “重イオンビーム放射線育種正当化のおかしな論理” の続きを読む
UPOV条約で危うくなった日本の種苗
種子法廃止や種苗法改正は農家以外の多くの方の関心も引きつけたと思います。でも、実はこの動きにはUPOV(ユポフ)条約という国際条約が関わっていることはまだあまり知られていないかもしれません。しかし、このUPOV条約というのは大きな問題を持つ条約で、この条約による影響を日本も大きく受けているのが現実なのです。そこで8月8日にOKシードプロジェクトが日本消費者連盟、家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)、農民運動全国連合会と共催でこの問題に関する学習会が開催されました。そこでの印鑰の発表を少し補強してまとめたのが以下の記事です。長くなってしまったので、印刷版のPDFファイルもアップしました。
動画でも公開されています。末尾にそのURLを掲げます。 “UPOV条約で危うくなった日本の種苗” の続きを読む
放射線育種から「ゲノム編集」へ? 「コシヒカリ環1号」はトロイの木馬か
「あきたこまちR」や「コシヒカリ環1号」系の放射線育種によって遺伝子を破壊した稲は通過点に過ぎず、今後向かうのはやはり「ゲノム編集」稲。
汚染のない世界に向かうのか、それとも遺伝子破壊で対応できると考え、世界を汚染し続けるのか、今、問われている。 “放射線育種から「ゲノム編集」へ? 「コシヒカリ環1号」はトロイの木馬か” の続きを読む
汚染者負担原則を守れー「風評ファッショ」に抗して
東電原発事故汚染水の海洋放出問題、この問題はまさに日本が生み出してきた公害への対応姿勢が見事に現れてしまっており、この問題にどう向き合うかは、日本の未来を決定してしまう大きさがある。 “汚染者負担原則を守れー「風評ファッショ」に抗して” の続きを読む
カドミウム汚染の政府の責任を問うー「あきたこまちR」について
秋田県が作るお米をすべて放射線育種(重イオンビーム育種米)に変えようとしています。その手始めが「あきたこまち」を「あきたこまちR」に変えることなのですが、それに関してパブコメが8月21日まであります。
ここではこれまでにあまり書いていないことに触れたいと思います。
なぜ、こんなことが必要になったかといえば、カドミウム汚染です。主要なカドミウム汚染は鉱山から来ています。しかし、日本では多くの鉱山はかなり前に閉鎖されてしまっています(1)。それなのに、なぜ、今、カドミウム汚染対策なのでしょうか? それは汚染が放置されていたからに他なりません。 “カドミウム汚染の政府の責任を問うー「あきたこまちR」について” の続きを読む
放射線育種米「あきたこまちR」への全量転換に関する秋田県議会への意見
秋田県議会が8月21日まで11のテーマに関するパブリックコメントを求めています。そのテーマの1つが「あきたこまちR」への全量転換についてです。この問題についてはすでにいろいろ書いてきたように大きな問題があり、以下のコメントを送ることにしました。秋田県議会のパブリックコメントに関する情報は以下から得ることができます(手紙、ファックス、メール、Webフォームのどれでも送ることができます)。https://pref.akita.gsl-service.net/doc/2018050800035/