畜産のあり方を考える

 土壌微生物と植物の共生関係は興味が尽きない(1)のだけど、これだけ見ていると近視眼的になってしまう。この世の中には動物もいる。当然、人間もいる。
 動物の出現はこの土壌微生物と植物の共生関係をさらに拡大している。雨の少ない地域、特に寒冷な地域ではこの動物の存在が重要になる。なぜなら、そうした環境では土壌微生物は繁殖していくことが困難であるからだ。微生物たちは動物の腸にそうした環境でも繁殖していくことができる場所を見つける。あらゆる生命が必要とする窒素は微生物が空中から取り入れ、植物を通じて、動物にも供給される。そして炭素は植物の光合成によって微生物や動物に与えられる。
 わずかな草を草食動物が食べ、その動物のお腹の中で微生物が繁殖し、糞となって排出されることで、土の中に炭素が蓄えられる。また草食動物が草を食べるたびに土の中の根は土に還るスピードが加速し、土が増えていく。肉食動物の存在が草食動物の増えすぎをコントロールし、過度に草が食べられないように維持される。土の中には水分や炭素や窒素が蓄えられ、気候変動も抑えられる。
 この動物相を失うと、草、土壌微生物、土の循環が維持できなくなり、砂漠化してしまう地域がある。砂漠化すれば土は失われ、植物も、土壌微生物も激減する。その結果はさらなる気候変動が加速されることになる。 “畜産のあり方を考える” の続きを読む

気候変動の1つの現れとしての新型コロナウイルスとその解決策

 新型コロナウイルスの被害が世界で止まらない。特にブラジルでの感染拡大が急速に拡がっており、米国を上回り、現在世界でもっとも急速に拡大を続けている。
 新型コロナウイルスだけでなく、その他のウイルス、あるいは耐性菌(ウイルスではなく、バクテリア、病原菌)による感染症もここ近年急増している。さらに気候変動の激化はそれに拍車をかけるだろう。

 これまで気候変動の問題を話していても、どこかみな危機感がなかった。でもこのウイルスも気候変動がもたらす問題の1つと受け取れば、気候変動がもたらす被害が少しリアルに感じられるのではないか? これは命に直結する問題なのだから。気候変動によって感染症の危険は増すのだから。 “気候変動の1つの現れとしての新型コロナウイルスとその解決策” の続きを読む

Wake-Up Callとしての新型コロナウイルス

 世界が新型コロナウイルスを緊急の「Wake-up Call」だと呼んでいる。目を覚まして、われわれのあり方そのものを変えなければ大変なことになると言っているのだ。ただ単にこのウイルスだけの問題ではない。われわれの社会のあり方全体に関わりあることである。 “Wake-Up Callとしての新型コロナウイルス” の続きを読む

新型コロナウイルスによる危機 vs グリーン・ニューディール

 新型コロナウイルスは南の国々にも蔓延し始めている。ワクチンも治療法も確立していない今回のウイルス、肺炎が深刻化して命を落とすケースが世界各国で報告されているが、ドイツなど人工呼吸器の設備が整っているところでは致死率がとても低い。一方、南の国の貧しい地方ではそうした機器がほとんど得られず、そうした地域で蔓延すればとんでもない数の犠牲者が出てしまう可能性がある。 “新型コロナウイルスによる危機 vs グリーン・ニューディール” の続きを読む

もう1つの致死的感染症:抗生物質耐性菌

 今回の新型コロナウイルス感染、情報に踊らされずにじっくり考えないと大変なこと。まずは安全の確保。特に免疫の弱い人をどう守るかという防御が第一。そして、この騒動でパニックになっているうちに、とんでもない火事場泥棒的な動きがなされてしまわないように警戒しないといけないと思う。 “もう1つの致死的感染症:抗生物質耐性菌” の続きを読む