ブラジル政府が巨大ダム建設政策を転換?

 ブラジル政府が巨大ダム建設政策を転換?

 もし、本当だとすると、これは時代を画する政策転換となる。ブラジルでは水力が7割以上のエネルギー源となっており、経済発展政策の中で、巨大ダムをアマゾンを中心とした地域に作り続けるのがこれまでの柱となってきた。いわば、核をエネルギーの核に据えてきたフランスがその政策を変えるに等しい大きな政策転換となる。
 これまでこのブラジルの巨大ダム建設は先住民族を筆頭に多くの人びとの生活を破壊してきた。そして発電された電力はブラジルの地域に使われるのではない。たとえば世界第2位の発電量のトゥクルイダムの3分の2の電力は日本から進出したアルミ精錬工場に使われている。アマゾンを破壊する鉱山開発のエネルギーとなっている。そして作られたアルミなどは国外に輸出される。地域にはほとんど残らない。
 アマゾンに建設されたベロモンチダムは先住民族や伝統的住民の生活を大きく破壊した。軍事独裁政権時代から建設を国際的な反対の声のもと、建設を許さなかったものが労働者党政権の下で建設が強行された。それがなぜ今、政策の転換なのか?
 1つにあげられるのが汚職問題。労働者党政権を崩壊させ、現在もくすぶる汚職問題を引き起こしたペトロブラスの汚職問題、巨額の汚職が指摘される巨大ダム開発にブラジル開発銀行はもはや融資が困難であること、そして、もう1つは巨大ダムのコストの高さと効率の悪さ。巨額の投資が必要になるが、ダムの寿命は短く、また環境被害も大きい。さらに乾期には発電ができなくなる。さらに水資源の持続性にも大きな影響を与えることが懸念される。これに対して風力や太陽光発電の方が効果が高く、環境に与える影響も小さい。

 今のところ、目立つのは国外の報道や国外の団体による声明。まだ十分探せていないだけかもしれないが、ブラジル国内のダム反対運動は慎重に動きを見ているのかもしれない。ダム建設のすべてが止まるわけでもなく、またアマゾン破壊や先住民族への脅威が消え去るわけでもない。しかし、ダム政策が変わるとしたら、これは巨大な影響をブラジルに与えていくだろう。それは今後脅威にさらされる人びとに大きな希望を与えることだろう。

 ブラジルでは画期的政策が発表された後、覆されるケースも少なくない。今回の報道がそのケースでないことを祈るが、昨年、タパジョース・ダムの建設が止まったこともあり、今後、巨大ダム建設を止める可能性は大きくなってきたと期待できる。

 フランスが原発一辺倒であった政策を変え、ブラジルもダム政策を転換するとなると、日本が原発事故を起こしたにも関わらず、原発推進政策を変えられないことがあまりに異常なことであるように見えてくる。

Brazil raises hopes of a retreat from new mega-dam construction

The Era of Mega Hydropower in Brazilian Amazon Appears Over

Brazil announces end to Amazon mega-dam building policy

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