8月20日にブラジル国内、22日に海外でベロモンチダムに反対する国際行動が組まれる。
日本でも何らかの行動をしたかったけれども、そこまでできなかった。何もしないというわけにはいかないので、ブラジル大使館にメッセージを送ろうと思う。
その前にベロモンチダムとは何か、何が問題なのかを簡単に振り返る。資料を参照しながら書く余裕がないので、正確さに問題があるかもしれない。
ベロモンチダム建設が計画されたのは今から30年ほど前の軍事政権時代。ベロモンチダムの建設地周辺にはブラジル社会に接触をまだ持っていない先住民族をはじめ、数多くの先住民族がいる。
その中でも先住民族カヤポは伝統的な生活を保ちながらもブラジル社会に対して積極的にデモ反対の意思表示をしてきた。カヤポのリーダー、Raoni(ハオニあるいはラオニ)がStingといっしょにベロモンチダム反対の世界ツアーを行っていて、日本にも来ている百一姓Blogカヤポ族 呪術師長老ラオーニ、日本を行く2007。
なぜ、このダム計画が問題なのか?
同じく軍事独裁政権時代に計画され、建設されたトゥクルイダムはその発電量の多くが日本の出資したアルミ精錬工場のために使われている。一方、地域に住む先住民族や伝統的住民にはこうした電気は供給されていない。このアマゾン地域はカラジャス鉱山など、鉄鉱石、アルミの原料、金など豊かな鉱山資源がある。要するにそうした鉱山開発のためのエネルギーであり、その鉱山資源は主として海外に輸出される。地域住民からすれば地域の必要などはまったく無縁。このベロモンチダムも同様だ。人口の多い地域から隔絶されたアマゾン奥地に作られる水力発電は海外の必要に応じるため、地域を破壊するために作られるエネルギーだということになる。ブラジル社会のニーズに即する限り、このダム建設は不要であるという報告もある。
こうした破壊的計画は実際に直接間接に生活に影響を与える先住民族にはまったく事前の説明がされていない。ブラジルも批准しているILO条約169号違反である。
水力発電は自然エネルギーで地球温暖化対策としても優れているとブラジル政府は強調しているが、熱帯地域におけるダムはメタンガスを大量に発生させるため、必ずしもクリーンとはいえない。しかも、水体系を大幅に変えてしまうことにより、魚を中心に川の生態系は大きく破壊される。トゥクルイダムでは大量の蚊が発生し、多大な被害が出ている。川とともに生きる生活を続けてきた先住民族や伝統的住民にとってはまさに生存の危機にさらされることになる。
このダム建設が始まると、ダム周辺で巨大な規模で森林破壊が進むだろう。そして、さらなる鉱山開発なども始まり、多くの人びとが流入していくことになる。その結果、伝統的な暮らしをしてきた人びとの生活は破壊され、多くの森林が失われ、とりかえしのつかない生態系が失われてしまう。
このダムには多くの批判があり、30年間着工されずにきた。地域の先住民族もダム建設に対しては闘って死ぬまで反対する意思表示をしている。国際社会もまたStingに加え、映画『アバター』の監督ジェームズ・キャメロンが現地をたびたび訪れ、ベロモンチダム反対の声を上げている。
アマゾン破壊で作られたアルミ缶を日本でも使っている。そうした破壊を続けるのかどうか、これは現地の先住民族の生存権のみならず、日本社会のあり方の問題でもある。
ブラジル大使館にベロモンチダム建設に反対するメッセージを送ろう!
ブラジル大使館